ペペロッソ(peperosso)/三軒茶屋


食べログ4.11(2017年12月)と、三軒茶屋で断トツで高評価な老舗イタリアン。この日は2次会使いにと21:30に予約を入れていたのですが、軒先には「本日は予約で満席です」との貼り紙。人気のほどが伺えます。
カジュアルながらも本場感の溢れる店内(以上、写真は公式ウェブサイトより)。清潔でありながらもイタリアの空気はキッチリと伝える素敵なインテリアです。
21時以降の入店で食べログクーポン(当記事最下部リンク参照)を提示すれば飲み物が1杯無料という気前の良さ。私はビールをお願いしたのですが、これがまた気前の良いサイズであり、食べる前から嬉しくなってしまいます。
連れは泡。それにしても、21時以降の入店であればそれほど杯数を重ねることは普通ないのに、1杯サービスしちゃって大丈夫なんじゃろうかと心配になる。

「今年は一年ありがとね。去年までは全く他人だったのに、急に仲良くなっちゃった」そう、彼女とは今年知り合ったばかり。しかし人と人との関係性を深めるのは歴史だけではない。
当店の自慢は自家製の手打ちパスタ。様々な形状のパスタがひな壇芸人のように一堂に会す。我々は出来合いの、すなわちソースとパスタの組み合わせが最適な吊るしのメニューを料理を注文しましたが、経験値の高い方は麺やソースを個別カスタマイズするのも一興かもしれません。
お通しはタコ墨のスープ。ゴロゴロとしたタコ肉に、アーティチョークのムース入り。こんなに手の込んだお通しがあるか?最近は「お通しは無条件で利益上げれるゾーン」のように勘違いしている飲食店が多いですが、ここまで誠実に取り組むレストランもあるのですね。
テーブルに瓶が並べられる。なんじゃらほい、と首を傾げていると「自家製パンに用いている酵母です」
なるほど生の酵母をお目にかかる機会は滅多に無く、ましてや今から食べるものの組成について解説してもらえるのは魅力的なプレゼンテーションです。

「ねえ、さっきの店の隣の客の会話、聞いてた?『俺は2億円のローンが組める』とか豪語してたよ。それってただの借金漬けじゃん。そんなんで女の子の心が揺らぐとでも思っているのかしら」意地悪そうに彼女は言う。確かに私もお金の話は好きじゃない。紳士は納税額と抱いた女の数は語らないものである。
カラスミとセロリのサラダ。カラスミとセロリはサルデーニャ島における定番の組み合わせであり、左党の口角が上がる演出です。既にコース料理を食べた後だというのに急激に胃袋が拡張し、第2ラウンドのゴングが鳴った。

最近はちょっと湘南エリアの飲食店を開拓してるんだ、と近況を述べると「え!あたしの地元じゃん!じゃ、今度、鎌倉デートしよ!」デート。魅力的な響きである。彼女は時々きらめくことを言う。
トリッパをバジリコで調味したもの。これは部位によっては臭みが残り、諸刃の剣な一皿。やはりバジリコのような爽快感を際立たせる味付けだと、内臓の臭みが悪目立ちしてしまうのでしょうか。

ずいぶんカワイイお皿だなあと感心していると「ヴィンテージ品なんです。所々欠けちゃってるんですけど、アジがあるでしょ」と店員。この店のスタッフは皆が皆、お店のことを愛しているのがいいですね。
イタリアのクラフトビールの品揃えが良かったので、継続してビール。水、モルト、ホップ、酵母、スパイス(オレンジピール・コリアンダー)などの原料は全てイタリアで収穫されたもの。彼女は泡をもう1杯。酔うほどに饒舌となり、ビッグスマイルが花開く。

デート、素敵だね。男と女の官能的な間柄かどうかはさておき、僕はキミと精神的に付き合っているような気分だ。「は?あたしはそれ以上のつもりだったんだけど」彼女は時々きらめくことを言う。
〆の炭水化物は羊のチーズと牛乳で練り上げたシャラテッリ(極太のもちもちパスタ)。ソースは羊のラグーであり、これでもかと羊に拘った逸品です。それにしてもよく食べる2人だ。

「じゃあさ、鎌倉の次は十番に遊びに行っていい?あなたの行きつけの飲み屋で、妙にベタベタするの。港区の女たちに、あたしたちの仲睦まじい姿、見せつけてやるんだから」それを人はマウンティングと呼ぶ。


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三茶は店主の思い入れの強い哲学のあるお店があっていいですね。ちなみに三軒茶屋は「さんげんちゃや」ではなく「さんげんぢゃや」と読むのが正解です。これ豆な。
  • 采(サイ) ←三茶で一番のお気に入り。美味しいツマミに日本酒1杯500円!
  • 床島 ←元祖予約の取れない焼鳥屋。間違いのない味、かつ、割安。
  • 夕(セキ) ←駅から少し歩くけど、高次元の料理にリーズナブルな日本酒。
  • クチーナ イタリアーナ エンネ ←本格的なイタリアン。安く旨し。
  • ペペロッソ ←手打ちパスタが絶品。イタリアのクラフトビールも楽しい。
  • トロワ ←落ち着いた雰囲気のワインバー。ツマミがリーズナブル。
  • 赤鬼 ←東京屈指の予約困難店。わかりやすく天狗で私は好きじゃない。
  • ラルテ ←正統派ナポリピッツァ。ランチがお得。
  • いざかや ほしぐみ ←味のある店内。安旨の代名詞。
  • サンバレーホテル  ←賛否両論。難易度の高いお店。
  • 三軒茶屋飲み屋巡り vol.1 ←目次的まとめ。vol.2~と育てていきたいな。
三軒茶屋のことを広く浅く知るに打ってつけの本です。ポイントを押さえた情報がコンパクトにまとまっており便利。Kindleだと実質200円程度なので凄くお得です。

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