イル・マニフィコ(il Magnifico)/麻布十番

「二日酔いで死ぬかもしれない」という連絡を受け、大丈夫かと返したものの、そのまましばらく既読にならない。どうしたものかと気を揉んでいたところ、翌日の昼過ぎに「復活!飲みに行こう!」とのメッセージ。人間は学習しない生き物である。
「ただし食事はヘルシーなものね」との条件。この日は日曜日であり当日の予約ということもあって、中々の難問となってしまいました。アラカルト主体のイタリアンレストランで、前菜中心にオーダーすれば何とかなるだろうという願いを込めて当店を予約。
固定メニューは無く、その日のメニューが記載された黒板を基にサービスの方が説明して下さいます。これはきちんと事前に確認しなかった私の責任なのですが、肉にコッテリとしたソースが自慢の濃厚なガテン系料理が勢ぞろいと。二日酔い明けには厳しいラインナップ。
「ワインリストはありますが、ほとんど機能していないのでご相談下さい!」とテンションの高いサービス。2人で1本を注文し、彼女は1杯だけに留めるという作戦に決定。
カプレーゼ。モッツァレラはひとり1個と本場さながらのスタイル。トマトの一粒一粒が凝縮感のある個体で実に美味。ただしこの1皿で2,000円というのはちょっと高く感じてしまいます。もちろんモッツァレラ自体、安くなく日持ちもしない食材ので仕方ないと言えば仕方ないのですが。
フォカッチャは作りおきなのか、冷え冷えのボソボソとした食感でイマイチでした。
名古屋コーチンのロトリーノ。
ロトリーノとはモモ肉をギュっと丸めて薄切りにしたハムのようなモノ。その上に生のマッシュルームを大量に振り掛けます。連れはマッシュルーム大好き人間なので恵比須顔。
玉ねぎのファルシ。淡路島産の甘い甘いタマネギに、優しい味わいの挽肉が詰まっています。ギュウギュウではなく、ふんわりソフトに。全体的に女性的な調理だなあと厨房を見わたすと、その中には女性ひとりしかいなかったので、恐らく彼女がシェフなのでしょう。女シェフって格好いい。
ペスカトーレ。これはどっちゃくそに旨いですね。濃厚な魚介が極限まで圧縮されており、このドロドロの成分は恐らく幸せでできているのでしょう。ロリギッタス(Lorighittas)という、ポンデリングのような輪っかのパスタもモチモチとした食感で美味。12月度最も美味しいパスタで賞を贈呈します。

これだけ食べて、安いワインを2人で1本飲んで合計14,000円。ううむ、ちょっと高いなあ。味は申し分ないし、注文の自由度や余裕のある席間隔などにも好感が持てるのですが、2割高いという印象。まあ、ケ パッキアでも同じ感想を持ったので、十番のイタリアンはこんなものなのかもしれません。もっと言うと、私の感覚ひいてはプリンチピオの価格設定がおかしいだけなのかもしれません。
「ハイ!クリスマスプレゼント!」12月初旬なのに、ずいぶん気が早いねえ。「だって、今年はあなたと、もう、会えないかもしれないでしょ?」花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ。


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麻布十番はイタリア料理屋も多い。ただし、おっ、と思えるお店は少数です。個人のお店のランチが狙い目ですね。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。