トルコの国旗のようなロゴマークが印象的。 シェフはNOBUという世界的に有名な創作和食レストラン出身。ミシュラン1ツ星です。
お客は個室が1組と 我々のみ。年の瀬の掻き入れ時にこの調子で大丈夫かと不安になる。
東郷ビールを注文。当店のプライベートブランドというわけではなく、新潟の醸造所が少量生産しているものを分けてもらっているそうな。コクがありつつもややフルーティーで、度数は4.5%という面白いビールでした。
いきなりお椀。小海老とウニのサンラータン風。適度な酸味と強い旨味のスープの中にエビの歯ごたえが弾ける。ウニも程よく濃厚であり先頭打者ホームランです。
前菜の盛り合わせ。一番左は国産合鴨の薫製にザジキソース。合鴨は野趣溢れる逞しい味わいでグッド。しかしながらザジキソース(ギリシャ風ヨーグルトソース)の意図は不明。長芋と春菊のお浸しは普通。アナゴのパートブリック(チュニジア風春巻)はホクホクとした食感が魅力的ですが梅酒ソースが実にクドい。炙り〆鯖の握りはそれほど酸味が強くなく食べ易い味覚です。
カンパチのカルパッチョ。素材そのものは良いのですが、ブロッコリーと豆板醤の中華風ソースの狙いがわからない。
日本酒は十数種取り揃えられており、好きなものを3つセレクトできる利き酒セットもあり、消費者にとってアクセスし易い試みです。
トリッパ。なぜここでトリッパ。調理に工夫があるというわけではなく、場末のバールのと同等かそれ以下です。
自家製の手打ち蕎麦。これはびっくりするほど美味しかった。麻布十番の蕎麦屋3巨星のどこよりも私好みです。生海苔や刻み山葵、カブの千切りの味変要素もグッド。本日一番のお皿でした。
鮭のソテーカルボナーラ風、イクラのせ。うーんこれは全然美味しくありません。ソースが薄ぼんやりとした味付けで、コクは無いのに脂っぽさばかりが目立ちます。シャケやイクラの塩気も薄く、見た目とは裏腹に薄っぺらい味覚でした。
メインはローストビーフ。こちらも至って凡庸な一皿。坂を下ってナニワヤで買ったほうが余程レベルは高いでしょう。
せめて食事では挽回して欲しい、カニとかウニとかマツタケとかサンマとか、なんでもいいから旬の素材のパワーをそのまま活かしてくれますようにと主にお祈りしていると、
予想の遥か斜め上を行くものが出てきました。なんでも先の蕎麦つゆでルーを延ばしているらしく、確かに出汁の風味が響き、そして甘い。決して不味いわけではありませんが、客単価が1万円を超える店で食べる料理でもありません。同じカレーで〆るとしても、やはりスガラボや東洋軒(ナリサワプロデュース)は偉大な店であるということを再認識。
デザートはミカンのゼリーに柿のシュークリーム。いずれもコンビニスイーツレベルです。
「デザートとご一緒にコーヒー、紅茶、エスプレッソ、カプチーノなどのご用意がございますが」と促されたのでコーヒーを注文すると、キッチリと別料金でひとり600円が加算されていました。フランスならまだしも、日本の商習慣にはそぐわない手口です。
2人で3.3万円。割高です。料理も創作性に富んでいるというよりは混乱をきたしているようにしか見えず、ストーリー性や哲学が全く感じられない。同じ創作和食というジャンルのかどわきや龍吟とは雲泥の差でした。
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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- かどわき/麻布十番 ←人生で一番の和食かも
- くろぎ/湯島 ←吉野川の天然鰻に悶絶。ただちょっと割高。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- たきや/麻布十番 ←龍吟を天ぷらにするとこうなるのではないか。
- えさき/青山 ←創作気味。ミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 歓盃 人形町田酔はなれ/人形町 ←飲んで食べて1.5万円。このあたりが分水嶺。
- 日本料理TAKEMOTO/代官山 ←2万円を切ってくる。私にはこれぐらいがちょうど良いです。