引き続き南国的なカクテルを楽しもうと、マンゴースムージーにお酒を入れたダイキリ的な飲み物を注文。「女の子みたい」フンと鼻白みながらワイングラスを傾ける連れ。
「でもホントに来てくれて嬉しいわ。ありがとね」だから何度も何度も言うように、私のノリの良さはメジャー級であり、また、私の辞書に社交辞令という単語は存在しない。「遊びに来てよ」と言われればマジで来て逆に困らせてしまうタイプです。
2杯目にはパッションフルーツスムージー。東京では目を剥くような価格の果物ですが、香港であればカクテルにしても1,000円やそこらと非常にリーズナブルです。
「遅い時間になっちゃってゴメンね。21時までコールがあったからさ」コール?未だに一気飲みみたいな飲み方をしてるのかい?それにしちゃ随分とシラフだね、と素直な感想を述べると、そんなことも知らないのか、という目で彼女は私を見る。
「コールってのは電話会議のことよ。ヨーロッパとアジアとアメリカで都合が良い時間なんて早々無いから苦労するの」出来の悪い生徒に諭すような口調で彼女は言う。
「でも、こっちに住むって決めて良かった。日本と違って、みんな自分のことにしか興味が無い人達ばっかりだから、人の目なんか全く気にならなくなったなあ。それから、親。ホラ、あたしって家柄がそれなりに良くって、学歴も良いじゃん?ずっと親から期待されてきた人生で、その期待に応えなきゃってプレッシャーがずっとあったからさ」なるほど上流階級には上流階級の悩みがある。
23時を過ぎると瞼が重くなる。そう、時差の関係上、私の肉体は24時を超えているのです。アジア域での1〜2時間の時差は誤差のようでもあり、ボディブローのようでもある。
「今夜はもう帰ろ。明日から毎日会えるしね」とオフホワイトな表情をつくり、小さなバッグを振りながらスキップでタクシーに駆け寄る彼女。その軽やな足取りを目の当たりにし、ついに彼女は自由を手に入れた、と、心から安心できた夜でした。
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