ビストロ チック/六本木

ビストロチック。麻布十番店に引き続き六本木にもオープン。AOCエスなど、当グループと私の価値観は似ているので初訪問ながら大船に乗った気持ちで入店(写真は食べログ公式写真より)。
酒が安い。パイパー・エドシックは私の大好きなメゾンのひとつですが、普段酒屋で5~6千円で買ってるコチラが当店では7千円台でした。その他、より絶対価格の安いボトルもいくつかあり、安心して酔いに行けるお店です。

「ずっと愛読してたので、こうしてお食事ご一緒できるなんて光栄です」ゆったりと長い髪。ややタレ目がちな優しい目。たえず円みのある微笑みを浮かべているゆるふわガール。しかしその正体は世界と渡り合う輝かしい経歴を持った20代のヒルズ族。いわゆるバリキャリ女子って全然ガツガツしてなくて、柔らかい雰囲気を纏っている方が多いです。
数量限定で生牡蠣が出せるとの提案にそのまま乗り込む。サイズは小さいながらも凝縮感のある個体であり、ジュレなどの一工夫も小気味良い。最初の一口として贅沢かつ納得感のあるものでした。

「この前は『タケマシュランがいるから来たら?』って連絡があったから慌ててお邪魔したんですけど、○○さん(私の名)が思いの外そっけなかったんで、ちょっとヘコんでたんです。でも、ファンなんて山ほどいるから、いちいち相手になんかしてらんないですよね」それは誤解。私は基本的に寡黙であり、その日は酩酊状態に近くより本格的に寡黙だっただけのこと。美女と時間を共有するのはいつだって大歓迎。
白鶏レバーのムース。凡百の店であれば小皿にポイっと置かれて終わりの料理ですが、当店はきちんとしたお皿にレイアウトしてくれます。こうした一手間にレストランとしての矜持を感じました。

あの記事って、あたしがお邪魔した時の話じゃなかったんですか!?」そう、既婚者という身分を隠しながら口説く男はこの世にゴマンといるのです。

「不倫でもOKって女の子は一定層いるのになあ。どうしてウソつくんですかね。この前も、妙にこのヒトあたしのこと口説いてくるなあ、って距離を置いてたら、後日奥さんとラブラブにショッピングしてるとこ見ちゃって。ちゃっかり結婚指輪もしてて。超キモい」
パンは中くらい。手の込んだ料理が多いので、パンについてより趣向を凝らしても良いかもしれません。

「あたしも随分ごじらせてるからなあ。一時期は真面目に婚活してたんですけど、あたしの経歴とか仕事とか住んでるトコを言うとドン引きする男性が多くって」なるほど優越意識が高い男ほどハイスペックな女性には気後れするものなのかもしれません。ちなみに私の友人に、本宅は六本木ヒルズレジデンスながら、カモフラージュとして新百合ヶ丘にアパートを借りていた女の子がひとりいます。
秋刀魚の自家製スモーク。程よい苦味と脂の甘味が渾然一体となって味蕾を覆い尽くす。スモークの香りも華やかであり、実に食欲をそそる一皿でした。

「最近は結婚するだけが幸せじゃないかなあって思うようになってきて。でも、子供は欲しいんですよねえ」アルコールに頬を染めながら困り顔を湛えるヒルズ族。それならワインスクールにでも通ってみたら?若くて美人だからアイドル扱いされると思うよ、しかもステータスの高い男性から。
ふわふわのスフレオムレツ ポルチーニのクリームソース。見た目が美味しく、実際に美味しい卵料理。空気をたっぷりと含んだエアリーな卵に濃厚なポルチーニがマッチします。量がたっぷりの特大サイズであり、2人で食べるにはやや量が多いか。3~4人で来店した際に注文したほうが良いかもしれません。

「うーん、でも、ヘンにワインに詳しくなっちゃうと、逆に引かれませんか?例えばあたし、ランシュ・バージュの味が好きじゃないんですけど、どう思います?」ごめん、今、引いた。
赤はイタリアの手頃なものを。確か3~4千円程度でしたが、その金額の上を行く味わい。彼女もガブガブと飲んでいたので、ある意味ではランシュ・バージュを超えたワインである。
〆の炭水化物は北海産ズワイガニと雲丹のクリームソース。当グループの本懐は独自開発の生パスタであり、日本ではトップクラスの味覚を誇る麺と私は捉えています。その麺にカニ×ウニという最強タッグを乗せていけば旨くないわけがない。

「今度○○さん(私の名)のワイン会、参加させて下さいよ」現会員の面々に加わった彼女の絵をしばしの間、空想する。

「ちょっとちょっと、そこはお世辞でも『いいよ』じゃないんですか~?寂しいです」違う違う、本気でイケるかもしれない、と考えてたからこそ黙りこんじゃったんだ。例えば顔面偏差値65の女なんかは秒で断っているんだよ。たしかにキミは上品で柔らかい雰囲気の持ち主だからフィットするかもしれない。ご縁がありましたら私の秘書から最終面接へのご案内をお送りさせて頂きます。
すっかり秋も深まり、コートなしでは少し寒く感じる夜。「ここ、ミッドタウンとヒルズをつなぐ、秘密の抜け道なんです」なんともラグジュアリーな抜け道である。確かに5分ほどのショートカットになりました

ということでワイン会のみんなたち、近々大型新人に加入頂けるかもしれません。その衝撃たるや1999年の後藤真希電撃加入を超えることであろう。


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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。