バー・ラ・ユロット(Bar la Hulotte)/麻布十番

モデル様より深夜のお誘い。00:30までに合流できるなら、という前提条件を基に落ち合う店を指定すると、00:23にお店に駆け込んでくる。
「どう?早かったでしょ?六本木で飲んでたんだけど、つまんないから逃げてきちゃった」大きなサングラスを少しズラし、ちろりと舌を出す彼女。
Bar la Hulotte。元麻布の住宅街に佇む紳士淑女向けオーセンティック・バー。麻布れとろの道を丘のほうへ登って行くと左手にあります。客のほとんどが常連客であり、一見の酔っ払い客などは全くそぐわない雰囲気なのでご注意を。
ちなみに当店はタイムアウト東京の『LOVE TOKYO AWARDS 2017』において、BAR部門の大賞を受賞するという実力派。タイムアウト東京の見解では東京で一番のバーということです(以上、画像はタイムアウト東京より)。

「ひさしぶりだよね、元気にしてた?」久しぶりって言っても、2~3ヶ月ぐらいしか間は空いてないよ。「あ、そんなもんかぁ、こっちはセックス依存症の俳優と付き合って、地獄を見たからさ」2ヶ月で別れたけど、と溜息をつく彼女。
ウォッカ・トニックを注文。一般的にウォッカは穀物から造られますが、このウォッカはブドウから造られたものです。不思議と柑橘系果実の風味が漂い大人の味わい。電報のように無駄がなく鋭い味わい。お通しにはレーズンとクルミのパンです。

どういうことだ、と思わず身を乗り出してしまう。「うーん、ちょっと名前は言えないんだけど、あなたも絶対知ってる人。もう、精神的に監禁されててホント辛かった。しかもあたしだけじゃなくて、他にもいっぱい恋人がいるんだから」とんだ絶倫だわ、と、砂を噛むような表情でグラスを見つめる彼女。
ラ・フランスの良いものがある、とのことだったので、ジン・リッキーとして仕立てて頂きました。期待以上に果実の濃度が強く、朝一番に飲んだら健康になってしまいそうな1杯です。

ふうん、キミでも恋愛で苦労することあるんだね。それだけ美人だったら優良物件を選り取り見取りだと思ってた。ブスの気持ちなんて考えたこともないでしょ?

「あたしはブスに感謝してるけどね」は?言っている意味がわけわかめ。「美人が美人でいられるのは、比較対象となる大多数のブスがいるおかげってこと。世の中みんながあたしみたいな美人ばっかりだと、誰もあたしに見向きしてくれないでしょ?ブスなヒトがいてくれるおかげで、相対的にあたしに注目が集まるってこと」世の中は安政の大獄のように理不尽なの、と彼女は付け加える。よくわからん。

ってかさ、キミみたいな顔とスタイルで売ってる芸能人って、小中学校の頃とかどんだけモテたわけ?と野次馬根性丸出しの私。「うーん、5秒見つめれば、その週のうちに告られるって感じかな?」
じゃあ、ちょっと僕のこと5秒だけ見つめてよ、とお願いすると、私の腕を取り肩にちょこんと頭をのせ、上目遣いでわああああああああああ!

これから、という時に彼女のケータイが小刻みに震える。「ううん、ごめん、もう家。またね」息をするようにウソをつく。嘘つきは泥棒のはじまりだぞ、この恋泥棒め。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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