ミルコローネ(MIRKOLONE)/麻布十番


「あとイッパイだけ」とのことだったので、彼女を家まで送りがてら南麻布のカジュアルなワインバーへ。「へぇ、ここの前、何度も通ってるのに、入るの初めてだ」
ピンク色主体の温かみのあるお店。イタリア人オーナーが狭い店内を縦横無尽に、そして陽気に飛び回ります。
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「○○さん(私の名)、海外移住とかしないよね?最近、しょっちゅう海外に行ってるから、移住準備を進めてるのかって不安になっちゃって…」それはない。私は海外に旅行に出ることは好きですが、住みたいと思ったことは一度もありません。ハワイですら住みたくない。私の脳は徹底的に日本文化に染まっているので、不慣れな海外で毎日ストレスに晒されるのが嫌なのです。
「すごいよね、世界中どこへでも一人で出かけちゃって。あたしも一人旅デビュー、してみよっかなあ」ここで誤解を解いておくと、私は一人旅が好きというわけではなく、同行者との予定調整が面倒なだけなのです。そのため行きたい場所があればひとりで飛行機とホテルを先に取り、「オレはこの時期にココへ行くけど、一緒に来たい人がいれば勝手に来れば?」と呼びかけ、結果だれも来ないだけです。
先ほどはクレマカタラナとかわいこぶっていましたが、彼女の本領は正真正銘の酒豪。「いつもはデザートをチーズに差し替えてもらってるぐらい」とのことだったので、チーズの盛り合わせを注文。

「来月は香港!?いつ?あたしも行こうっかなあ」とスマホを取り出し予定を確認する彼女。あちゃー、ダメだあ、そのあたりずうっと仕事が続いてる、と肩を落とす彼女。私も死ぬほどガックリきたのですが、そのような下心など微塵も感じさせない紳士然とした装い。「じゃあさ、今度、ドバイに行かない?一緒にスカイダイビングするの。この前アブダビに行って、すっかり中東にハマっちゃって」いくいくー。
オーナーより「いいポルチーニが入った」との紹介。Si prega di fare risotto con questo porcini.と申し入れると、店主は片眉を上げ小気味良くGrazie!と答えながら厨房へ戻っていきました。ちなみに先ほどのイタリア語はネットから適当にコピペしたものです。
ポルチーニのリゾット。これはアリよりのアリですねえ。都内の最高級レストランで作られるそれと全く同等かそれ以上の味わいです。キノコも気前良くゴロゴロとぶち込まれており、塩分は高くないのにとにかく濃厚。先の店で炭水化物を注文せず、ここまで我慢して良かった。
「今度、アグリー・クリスマス・セーター・パーティするから、来ない?あたしの友達、可愛い子ばっかりだから、見ごたえあるよ」いくいくー。
ちなみにアグリー・クリスマス・セーターとは、クリスマスに特有の柄を過剰なまでに編み込んだ「悪趣味」さを逆に楽しもうとする衣服。コレを着てダサさを競うのが数年前からのトレンドです。
「最近、結婚しなくてもいっかぁ、って思ってきた。恋人がいなくっても、毎日じゅうぶん楽しいし。でも、子供はちょっと欲しいんだよなあ。あたしって面倒くさい女なのかな」カレシ、別れたんだ?でもこの前、誕生日にルブタンとかジミーチュウとか買ってもらうとか言ってなかったっけ?

「ああ、あれは何でもない人。靴ぐらい買ってもらってもいいでしょ?」誕生日にルブタンとかジミーチュウとかぐらい買ってあげたオジサマに、心の平安ぐらいは訪れますように。


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麻布十番はイタリア料理屋も多い。ただし、おっ、と思えるお店は少数です。個人のお店のランチが狙い目ですね。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。

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