バンコクで救急車で運ばれ緊急入院の巻

バンコクで食中毒となり救急車で運ばれ緊急入院しました。人生初めての救急車、初めての入院、初めての点滴、初めての病院食など初めて尽くし。今回はその体験談をご紹介。

深夜2時頃から寒気を感じ始め、寝たり起きたりを繰り返す。4時頃にはガチガチと歯の根が合わないほど震え始め、亜急性壊死性リンパ節炎クラスの発熱を覚えます。

混沌とした意識のまま朝を迎えるのですが、これはただ事じゃないと、まずはカード会社の緊急アシスタント・デスクに連絡を入れる。しかしながら「病院の手配はできかねます」と取り付く島もない。決して安くない年会費を払毎年払っているのにこのサービスレベル。当該カードの解約を決意した瞬間です。

仕方が無いのでホテルのフロントに連絡し救急車を呼んでもらうと30分ほどで到着。意外に遅い。しかしながらドヤドヤと5~6人のチームが部屋に入って、最強のチーム感に溢れ出ており安心感に包まれます。

ホテルの部屋でテキパキと簡易的な診断を済ませ、そのままストレッチャーに乗せられ救急車へ。いわゆるサイレンは鳴らすことなく、10分ほどでバムルンラート病院(Bumrungrad International Hospital)へ到着。

到着後は待ち時間など一切なく、問診・採血・インフルエンザの検査などなどが流れるように遂行されます。私は採血が死ぬほど苦手でよくぶっ倒れるのですが(私に根性が無いというわけではなく、迷走神経反射という体質らしい)、今回は手の甲からの採血と斬新な経験。内ヒジから採られるよりも幾分ラクなような気がしました。

費用の話となる際には日本語を話す通訳が登場。必要となる金額や保険の適用方法などを細かく説明をして下さり、「それじゃあ、デポジットとして40,000バーツ(13~14万円)をクレジットカードにてお願いします」ということで、めでたく入院決定。
あてがわれた個室は高級ホテルのような一室。間接照明のある病室なんて初めて見ました。それもそのはず、当病院は「ライバルは5つ星ホテル」と語り、患者が外来の待ち時間や入院中でも快適に過ごせるよう、高級スポーツクラブなみの着替え室、各国のレストランを開設しての食事提供など、様々なサービスを行っているのです。
抗生剤と栄養を点滴で身体に差し込む。あわせて解熱剤を用いて体温を下げる。この、ひとつひとつの行動とその理由を全て説明するという姿勢が素晴らしいですね。スタッフ全員が英語を話すのも凄い。日本にもそういう病院あるのかなあ。
便意を便意を催した場合は全て検尿・検便にかけ、細かく経過をチェックします。使用しませんでしたが、右奥にあるのはアメニティ・グッズ。
タイ在住の友人がゴルフ場から駆けつけてくれました。「ここの病院は間違いないから安心しろ」とのこと。なんでも東南アジアで最大規模の病院のひとつであり、毎日1,000人の外国人外来患者を受け入れており、900人いる医師のうち200人はアメリカでの医師免許を持つ国際的な病院とのこと。外来患者数は年間約100万人。うち40万人は外国からの受け入れです。

夕方までに全ての検査結果が出揃い、担当医師が丁寧に説明して下さいます。原因は食中毒。私の身体がバクテリアと格闘中のため高熱が続いているが、2~3日もすれば平常運転に戻るとのことです。今夜はこのまま泊まってもいいし、帰っても良いとのことだったので、病院食を食べてからホテルに戻ることに。
ディナーはガパオごはんのお粥バージョンのようなもの。なかなか美味しい。瑞々しいフルーツに心が安らぎます。

病室にホテルから電話があり、「今日退院されるんですよね?後ほどお迎えに上がります!」とのこと。親切だなあ。このホテルの報・連・相っぷりが凄くって、私が救急車で運ばれた時点でバンコクにおける私の関係者にあまねく連絡が行き渡り、また、ホテルに戻ってからは従業員の皆が私に「ミスター○○、お体の具合はいかがですか?」と声をかけてくれるのです。日本で生活しているよりも大切にされている感。
退院後に飲む薬を説明して頂き、いよいよお会計。
最終金額は30,530バーツすなわち10万円と少しです。救急車で迎えに来てくれ、待ち時間ゼロの手厚い処置、1日で退院するという結果を残したという意味で、妥当な金額でしょう。

素晴らしい病院でした。私は基本的に健康であり、病院にお世話になる機会が少なく、日本の病院の評判はなどの人づてに聞くしか無いのですが、「○○時間待たされた」「たらい回しにされた」のようなことは一切ありませんでした。

ちなみに当病院はタイの株式市場へ上場している株式会社によって運営されており、チュラロンコーン大学ビジネス・スクール主催の「タイの最も革新的な企業」賞を受賞しています。

主な顧客層は国内外の裕福層と定められており、経営陣が患者を顧客と考え患者の満足度を高めることを第一義としており、同時に高い医療サービスを提供する医師などの医療スタッフもまた経営陣にとっては大切な顧客であると定めているのです。

日本の医療保険制度については色々と論点が多いとされていますが、その本質が肌身に沁みた1日。日本での治療がややこしい場合にはタイに来てここで処置してもらうのもいいな。タイのメディカルツーリズムの旗手の実力を垣間見た入院体験でした。


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