トンリー（Tong Lee ）／プロンポン（バンコク）

駐妻が貸してくれた本をもとに今夜も街を彷徨う。人生初のバイタクに乗ろうかと近くのニイチャン声をかけ、お目当ての店の地図を見せると、「ああ、この店ならこの道を真っ直ぐ行ったところだよ」的な身振り手振りをされる。そうじゃない。俺はバイタクに乗りたいんだ。
仕方なしに7～8分歩くと目的地であるお店、トンリー（Tong Lee ）に到着。60年も続く老舗の食堂です。明らかにローカル向けのお店なのですが、奥から音も無く現れた店主が無言でスっと英語表記のメニューを手渡してくれました。こういう店でも外国人対応に慣れている点を考えると、バンコクは東京よりもよほど国際化が進んでいるような気がします。
テーブルが4～5席しかない小さなお店です。犬が放し飼いにされていて一瞬ビビりますが、噛み付き帽子の器具がはめ込まれているので恐らく大丈夫なのでしょう。
まずシンハ。話はそれからだ。当店のシンハは大瓶での提供で飲み応えがあります。
ムーパットガピ。ガピとは小エビを塩漬けにして発酵させた調味料。つまり、豚肉をエビのペーストで炒めるという凄いコンセプトの料理です。動物と魚介のランデブー。ご想像の通り旨いです。
「スチームライス？」と訊ねられたので脊髄反射で首を縦に振る。先の濃い料理には白米がピッタリです。あとからメニューを確認すると、スチームライスは30円でした。
ガイトート。小さめの鶏肉の丸揚げです。注文を受けてから揚げ始めるので気分いいです。パリっとした皮目の内側にはしっとりと水分を湛えた瑞々しい鶏肉。こと大衆店の鶏肉料理に限っては東京よりもバンコクのほうがレベルは数段上。しかもお値段は400程度です。
メインディッシュ、ではなく看板犬のピーコくん。この子の動きを見てるのが面白くって、通りを渡って向かいの屋台に油を売りに行ったり、近所のお姉さんに頭を撫でてもらいに行ったりと中々の人たらし。道路を渡る際の、右みて左みて一気に渡りきる様に妙に感心してしまいます。

お会計はお酒込みでジャスト1,000円。いい街だよなあ、バンコクって。



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