お通しは左から鶏のなめろう、ぬか漬け、焼きナスの豆乳スープ。鶏のなめろうは期待通りの旨さでありもっと量を食べたくなる。単品注文できるのかなあ。焼きナスの豆乳スープもお通しとしては最高レベルの美味しさ。茄子の香ばしい秋の香りに円やかな豆乳の風味が堪らない。
事前にビールを飲んできたので早速日本酒に入ります。当店は日本酒を多数取り揃えてあるのですが、それぞれに値段が記載されていないのが少し不安。なのですが、なんと当店はあの愛すべき采(サイ)の姉妹店(というか床島が先)とのこと。なんだそれならガブガブ飲んでも大丈夫だ。
とりわさ。透き通るように新鮮な鶏肉に、その場ですりおろす本ワサビ。本物志向だなあ。鶏そのものの旨さにワサビの爽快感がヒットエンドランのように駆け抜ける。
鶏皮ポン酢にしては珍しく、ほんのりと温かい。それゆれ若干脂の野暮ったさが目立ちました。
ここから串に入ります。当店はお任せのコースもあるのですが、アラカルトで食べたいものを好きなだけ注文することができるのが嬉しいですね。
ハラミ。鶏肉のハラミを食べるのは初めて。濃密な脂の香りがひたすらに甘くジューシーな逸品。
背肝。腎臓です。当店は鶏を丸ごと仕入れて厨房でさばいているので、稀少部位もお手の物。野性味あふれる味覚に思わず赤ワインが欲しくなる。クセのある食材なので、人に苦手かもしれませんが、フランス料理好きには堪らない素材。
ネギマ。モモ肉の部分が特大の唐揚げほどのサイズであり、食べ応え抜群です。バリリとした皮を紐解くと溢れ出る肉汁、元気いっぱいの肉本体。あまりに旨すぎて抱きしめてやりたいぐらいです。
風の森を注文。淡く爽やかの飲み口。しかしながらこの後続くタレ系のことを考えれば赤ワインをボトルで入れたほうが良かったかもしれません。
つくね。ハンバーグもかくやと思わせる大迫力のポーション。その見た目とは裏腹に、肌理が細かくふんわりと優しい口当たり。所々顔をのぞかせる軟骨も素敵なアクセント。
シビレ。胸腺です。濃厚なタレに濃厚な脂。焼鳥というよりもホルモン焼に近い風味。他の部位に比べて小さめのポーションではありますが、その凝縮感から満足度は同等かそれ以上。
レバー。なんてエロティックな外観なのでしょう。ピシリピシリと角が立ち、タレをまとってぬらぬらと輝く血肝を一口で頬張る。野趣溢れる味覚に品の良い鉄分がその存在を声高に主張する。ああ、やっぱ赤ワインにすりゃ良かった。
ハツモト。肝臓と心臓を繋ぐ部位で血管のような存在。グロい響きですが、その味わいは意外に上品。クチュクチュとした歯ごたえと脂の旨味を噛み締める一本。
以上、ふたりで好き放題飲み食いして12,000円程度です。これは安い。こんなにもレベルの高い焼鳥をたっぷり食べてこの値段はミラクルです。もちろん鳥かどのような話題店もいいですが、比較的予約が入れやすく自由度の高い当店のほうが個人的には好き。毎月第一日曜日はキッズデーであり、小学生以下の子連れもOKと、その懐の深さに好感が持てます。また来よう。
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三茶は店主の思い入れの強い哲学のあるお店があっていいですね。ちなみに三軒茶屋は「さんげんちゃや」ではなく「さんげんぢゃや」と読むのが正解です。これ豆な。
- 采(サイ) ←三茶で一番のお気に入り。美味しいツマミに日本酒1杯500円!
- 床島 ←元祖予約の取れない焼鳥屋。間違いのない味、かつ、割安。
- 夕(セキ) ←駅から少し歩くけど、高次元の料理にリーズナブルな日本酒。
- クチーナ イタリアーナ エンネ ←本格的なイタリアン。安く旨し。
- トロワ ←落ち着いた雰囲気のワインバー。ツマミがリーズナブル。
- 赤鬼 ←東京屈指の予約困難店。わかりやすく天狗で私は好きじゃない。
- ラルテ ←正統派ナポリピッツァ。ランチがお得。
- いざかや ほしぐみ ←味のある店内。安旨の代名詞。
- サンバレーホテル ←賛否両論。難易度の高いお店。
- 三軒茶屋飲み屋巡り vol.1 ←目次的まとめ。vol.2~と育てていきたいな。
三軒茶屋のことを広く浅く知るに打ってつけの本です。ポイントを押さえた情報がコンパクトにまとまっており便利。Kindleだと実質200円程度なので凄くお得です。
床島