友人が病気にかかったので、入院前に豪遊しようと慌ててお店を探す。ナリサワとアピシウスは日曜定休、ロブションは満席。そういえば彼女、前衛的な料理は「タレとかカスミ食ってるみたいで味気ないんだよね」と表現してたからクラシックなフレンチが良いのか、ぐぬぬ、と必死の思いで紡ぎ出した店。
乾杯するのはヘンですが、ともかくシャンパーニュで乾杯。こちらが7,000円代と、店の格に比して極めて良心的な価格設定です。果実味が濃く秋口に飲むにちょうど良い泡でしょう。
アミューズはリエットに果物(?)のピュレ。いいですねえこの質実剛健な姿勢。シンプルながら素材の味が濃く、修行先のエスプリを感じます。
前菜その1にはサンマとジャガイモ。文句なしに美味しい。目をつぶっても何を食べているかがわかるストレートな調理であり、一切の隙も許さない真実がそこにはあります。
前菜その2。セップ茸のリエット。こちらもキノコの香りと味覚をきちんと引き出した調理であり、この皿を美味しくないという人はまずいないでしょう。
よく飲む3人なので1人1本のノルマを課すことに決定。先のセップ茸にあわせてやや樽のきいたものを。それでも5,000円代のワインであり極めてリーズナブルです。
魚料理は甘鯛。かどわき、パナメに引き続き、3日連続で甘鯛です。 その中でも当店の甘鯛はもっとも柔らかく粉雪のような舌触りです。魚料理でこの食感はある意味新しい。奥のブロッコリーもシンプルながら実に旨い。
メインは鴨のオレンジソース。フランス料理の教科書にそのまま載せても良いほどのクラシックな調理です。もう少し量があればパーフェクト。
思いのほかサッパリとした鴨だったので、変化球でロゼにしてみました。こちらも5,000円代。お得でしょ。
デザートをチーズと差し替えることができたのですが、私はチーズとデザートを両方頂くことに。悪ふざけでブラインドにチャレンジし(写真取り忘れ)、ラングル・コンテ・フルムドーベルニュと回答。正解はエポワス・コンテ・フルムダンベールと1/3しか当たりませんでした。
言い訳をすると、エポワスの熟成が進んでおらず固体で供出されたからラングルと勘違いしても仕方ないことと、フルムドーベルニュとフルムダンベールの違いを論理的に食べ分けることができる人なんてまずいない。つまり精神的に全問正解です。
デザートはどシンプルなブランマンジェをお願い。これまた料理学校の手本として紹介したいほどの完璧な味覚であり、神々しさすら感じます。
誠実な小菓子を味わい多幸感に包まれる。以上、食べ物だけで6,500円というミラクル。酒を入れてもひとりあたり14,000円です。こんなに費用対効果の高いフランス料理は中々ないぞ。関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ← 何度訪れても完璧
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理
- フロリレージュ ← 間違いなく世界を狙える
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- アラジン ←あの日あの時あの場所で何を食べたかの記憶がハッキリと残る料理
- 北島亭 ←私は大食いでわかりやすい味を好むため当店は黄金センター
- ALLIE ←ワインという食事の知的部分を担うソムリエの重要性を再認識させてくれるお店。
- アルシミスト ←こんなに魅力的なプレゼンテーションのブーダンノワールを食べたことがない
- メイ ←ブロートウェアが何ひとつ無い
- Parc ←当店ほどまでに重みのある二ツ星は東京ではなかなか見当たらない
- ラ・ファソン古賀 ← 強烈な個性をテーマに据えるドクトリン