日仏スターシェフ5人が1人1皿を担当するパーティ/パレスホテル東京

シャンパーニュ狂から「面白そうなイベントがあるんでご一緒しませんか?」とのお誘い。

なるほど確かに面白そうなイベントである。ただ、数百人一気出しの宴会料理でどこまで作れるものなのかなあと半信半疑でもありました。
会場に到着。ブラックタイや着物など、かなりしっかりとした服装の方が多い。平均年齢は50歳ぐらいでしょうか、われわれ男の子ふたりは若干浮いています。
開演前のフィンガーフードの手の込み方が鋭い。しかもきちんと美味しくて、「パーティー開演前のフィンガーフード」という限られたジャンルにおいては人生で一番美味しかったです。
開場。いくつかの宴会場をぶち抜き数百人のグルマンたちを受け入れる様は圧巻。こんなに重い客が一堂に会すイベントは中々無いでしょう。使用される言語は日本語とフランス語のみ。英語が排除された会って珍しい。
ティエリー・マルクス、オリビエ・ヴァラード、セドリック・グロレ、渡辺雄一郎、斉藤正敏とスターシェフ5人が本日への意気込みを語る。その他、フランス大使やマム日本支社長(?)などの挨拶が続き、フランス人たちの話がとにかく長く、通訳が8割以上省略していて可笑しかった。
前菜は斉藤正敏シェフのサラダ。結構なボリュームがあり、賑やかな一皿です。サーモンの官能的な甘さと野菜の下に敷かれたサント・モール(山羊のチーズ)の酸味が見事に調和。パルメザンチーズと海苔のクランブルもパンチがあって面白い。 ちなみにスポイトの中身はレモンであり、シェフの遊び心です。
白は樽感バリバリのムルソーであり、先の爽やかな一皿には全く合わなかった。謎のペアリングである。
ポップオーバーのように大きなブリオッシュ。 子供の頭ほどの大きさであり迫力があるのですが、ボロボロと崩れ易い生地であり、クロスの上がパンくずだらけになってしまうので、ちょっと恥ずかしい思いをする食べ物です。
バターがすこぶる美味しい。コクがたっぷりであり、まさにミルクのいいとこ取り。
渡辺雄一郎シェフは江戸蕎麦ほそ川の蕎麦粉と貝のエキスで炊き上げたそばがき。なのですが、こんな贅沢なそばがきがあるか?ウニ、小柱、キャビア、カニと豪華食材のオンパレード。それでいて全体をまとめあげる昆布のジュレのパワー。浅草のお店、行ってみようかな。
獺祭の二割三分。ちょっと商業主義的になりすぎて賛否両論ありますが、私は大好きな日本酒です。ゴージャスな香りに濃厚な味覚。背筋が伸びる適度な酸。素晴らしい。
オリビエ・ヴァラードシェフはチュルボ(イシビラメ)。ヨーロッパにおける最高級魚のひとつです。身が厚くよく締まって美味しいのですが、味付けはやや単調。それよりもガロニ(付け合わせ)の大麦とそのソースが印象に残りました。
メインはティエリー・マルクスシェフ。和牛フィレ肉です。びっくりするほど美味しくて、思わず連れと顔を見合わせる。よくぞこの人数に対してこの温度管理を実現したなと拍手を送りたい。和牛特有の嫌な脂臭さは全くなく、美味しさの中核だけを抜き取ったかのような味わいでした。ビーツのラヴィオリまで抜け目無く美味。
サンテミリオンもクドくなくクリアな味わいで肉質にちょうど良し。先のそばがきも捨てがたいですが、調理の難易度という意味も含めて本日一番のお皿ならびにマリアージュでした。銀座のお店、行ってみようかな。
セドリック・グロレシェフのデザート。ゲスト全員の脳裏に「キンタマ?」と浮かんでいるのが見て取れます。
ナイフを入れると中にはフルーツのピュレとチョコレート。このバランス感覚が凄くって、濃厚なチョコレートの旨味にフルーツの駆け抜ける爽やかさがベストマッチ。見た目はアレですが味わいは確かな逸品です。
獺祭二割三分の発泡にごり酒を合わせるのですが、これは全然ダメですね。協賛の押し付けとはこのことです。今夜は料理については何も文句は無いのですが、飲み物は全体を通してイマイチだったかもしれない。
レモンを成功に模したキンタマを2つに割ると、
やはりとろりとこぼれ出るフルーツのピュレ。先のキンタマと異なり酸味が支配的でコチラも美味しい。なのですが、この味覚であればチョコキンタマより前に、食べたほうが良いような気がしました。キンタマの入れ替えが必要です。
小菓子までぬかりなく美味。パレスホテルの底力を見ました。

素晴らしいパーティーでした。酒は実質飲み放題でありスタッフも気前良く注いでくれるので自然と酒が進み酔いがまわり、相席となったゲストのみんなたちと宴会状態。やっぱ旨いもん食べて酒飲んでるときが一番幸せだ。
2次会は西麻布の会員制ワインバーへ。何人か合流して、その中に星野みなみ似の女子大生がいたのですが、「この前、ロブションのお会計が2人で500万円だったの」安定の東京女子医科大学。ごじゅうじゃないよごひゃくだよ。形勢戸か。


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