Kyo gastronomy KOZO/丸太町(京都)


京都御所南に2017年4月オープン。和食をベースにフレンチの要素を取り入れた料理と日本酒のペアリングで評判の新店です。
カウンター5席にテーブル8席と小さなお店。シェフとホールの2名体制で滞りなく回せており、オープン半年とは思えぬオペレーション能力の高さです。
いきなりスペシャリテの苔テラリウム。フォアグラやベーコン、トリュフ塩などを活用し本物の苔に見紛う程の完成度の高さです。しかしながら味はちょっと凝り過ぎで、何を食べているのかわからなくなりました。ベーコンの風味は取り易いのですが、その他の味覚は印象に残らず。
日本酒のペアリングを注文。このペアリングが全体を通してたったの1,700円から。この手のレストランとしては破格の値付けです。レフェルベソンスのペアリングは半分が日本酒で何万円も取ることを考えると、非常に良心的なお店と言えるでしょう。
白黒しめじと九条ネギ、出汁コンソメのスープ。素直に美味しい。ただしシメジだと風味が素直すぎるきらいがあるので、もう少し香りの高い食材、例えばポルチーニ茸などを用いたほうが私は好きかもしれません。
野菜の和風テリーヌ。ソースはタスマニアの粒マスタードを利用。ソースがいいですね。マスタードの酸味を活用できており、何リットルでも舐めていたい美味しさです。テリーヌそのものはお洒落ではあるものの、一般的な味わいです。そういう意味で、ラ・シャルキュトリー釜津田はテイクアウトながらレベルが高い。
私は2,250円のミディアムペアリング(量がMサイズ)を注文。全体を通して料理を邪魔しないクリアな日本酒が多かった。
黒七味の衣で揚げた甘鯛のフライ 。ソースは柚子と大葉です。揚げたてのホクホクであり、衣のサクサクとした食感が堪らない。甘鯛の味わいも実に率直であり、本日一番のお皿。フィレオフィッシュの2万倍ぐらい美味しいです。
白桃のように豊かな香りと米そのものの甘さがグッド。料理にもピッタリです。
メインは京都牛というブランド牛のランプステーキ。やや肉に硬さが目立ちます。味そのものは悪く無いのですが、一生懸命に嚙みこまなければならない食感が気になりました。カボチャや紫芋のペーストは非常に重く単調な味わいであり、胃袋が一気に膨らんだ瞬間です。
また、この肉に日本酒は合わないような気もします。ここはひとつ濃い目の赤ワインを是非。
〆の食事は京都美山のお米で炊いた松茸ご飯。こちらは香りも良くシンプルに美味しいです。柚子と三つ葉のお吸い物や自家製のおかか昆布もいい味を出しています。先のマッシュと合わせておなかはもうパンパン。
デザートはパイ生地で挟んだリンゴのコンポートとシナモンアイス。液体窒素で仕上げるアールグレイのチップスも名脇役。4,000円かそこらのコースとしてはデザートが豪華です。エディブルフラワーの使い方も品が良く美しい甘味。
お茶菓子は標準的なものなのですが、プレゼンテーションが素晴らしいですね。当店のシェフは根本的な美的センスがあり空間設計に優れているように思えました。
お茶にはほうじ茶を指定してごちそうさまでした。

食べログなどではフレンチに分類されていますが、印象としてはもはや和食です。シンガポールや香港あたりに同じものを持ち込めば大人気となりそう。酒も含めて6千円代で収まったので、非常にリーズナブルなお店と言えます。

ただし費用対効果という意味では見事なレストランですが、深く記憶に刻まれた料理は残念ながらありませんでした。したがって、個人的にはもっと値上げをして素材の質を上げ、シェフの本領を楽しんでみたいところです。

いずれにせよ、シェフはまだまだ若い(20代前半?)ので、今後が楽しみなお店です。


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