Rocco bar (1976) /カオサン(バンコク)

カオサン通りの東端にあるタイ料理屋。客のほとんどは観光客であり外国人です。
鶏肉の串焼き。クリアなササミ肉にカレー風味の調味が優しく響きます。地味ですが確実に旨い一皿。
トムヤムクン。正統的でバランスの取れた1杯であるものの、やはり観光客向けにマイルドに作られているためか、いくつか物足りない点があります。レーダーチャートが小さい面積となった皿という印象。
ガイヤーン?これは全然ダメですね。安物の手羽先を揚げただけ。山ちゃんの手羽先のほうが数段レベルが上でしょう。
ガパオ。肉の旨味に濃い目の味付け。外さない味覚です。
3センチぐらいと幅広な米の麺をパッタイ的に炒めたもの。思いのほかエビの量が多く私得。甘さも控えめであり、これまた無難に食べることができました。
メニューにはカオマンガイと書かれていたのですが、これは本当にカオマンガイと言って良いのでしょうか。大ぶりなフライドチキンをカットし、鶏ガラで炊いたご飯と共に食す。間違いなく美味しい味覚ではあるのですが、疑問の残った一皿でした。

これにビールひとり1本飲んで、ひとりあたり1,500円。ちょっと高いかなあ。もちろん世界的に見ればお値打ちであることは間違いないのですが、タイとしてみると割高に感じてしまいます。

いずれにせよ、観光客向けの店と調理であり、万人ウケするお店であることは確か。タイ料理入門編としては良いかもしれません。


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ワイン食堂トランク ニカイゴハン/おもろまち(那覇)


数年前に、ひょんなことから知り合った沖縄在住の堀未央奈似ダイバーと飲みに行く。
「お店、予約しておきました!那覇で予約が必要なお店なんてほとんど無いんだけど、このお店は別格!」と頼もしい。
なるほど賑やかな店内。空いている席には全て「Reserved」のサイン。女子会率高し。女という生き物は安くて旨いものを見つけてくる天才なので、女性の比率が高いレストランはまず間違いありません。
コンセプトは「がぶ飲みイタリアン!」とのことで、酒が安い。19時までのハッピーアワーであればビールやワインが1杯200円です。「ダイビングが終わった後のビールって、最高ですよね!」片目をつぶる堀未央奈。
彼女がオススメするカルパッチョ。県産マグロ特有のクセの無い瑞々しさ。ガリっと強めに振られた塩がビールの消費を後押ししてくれます。
島豚のテリーヌ。味の濃い豚肉を上手く固めた一品。ジュレとの食べ合わせもグッドです。キャロット・ラペは、実は人参シリシリだったりして。
赤ワインをボトルで注文。酒屋で1,000円程度のものであり、そのクラスのワインは値付けが悪いことが世の常ですが(レストランで飲むと3〜5倍の価格設定が多い)、当店はそれをたった1,900円での提供です。なんと気前の良い。家賃や人件費、グラス代を考えれば全然儲けが無いのではないかと心配になる。
イワシのコンフィ。骨ごとバリバリと食べるカルシウム系食品です。適度な苦味にたっぷりとした脂。複雑な味覚であり、付け合せのジャガイモと共に大満足。
スペシャリテとして推されていた「俺たちのカルボナーラ・フェットチーネ」ですが、これは中くらいの味わい。麺そのものは美味しいのですが、ソースの味わいが暴力的かつ単調です。肉もフニフニした食感の薄いもので、パンチェッタ的凝縮は感じることができず。意外に麺の量も少なかった。
再び県産マグロ。こちらはカマ焼きであり、たっぷりのハーブと共にきっちりとマリネされていてグッド。ニンニクの使い方も思い切りが良く、手づかみで1ミリも余すことなく食べ切りました。

ところでどういう流れかディズニーについての議論となり、ディズニートリビアを互いに披露し盛り上がる。ちなみに私の豆知識は「タワー・オブ・テラーは国によってストーリーが違う」であり、彼女の雑学は「エレクトリカルパレードのテーマ曲には『バロック・ホウダウン(Baroque Hoedown)』という原曲がある」でした。
こちらもスペシャリテの「特製! 俺たちの手ごねハンバーグ」。これはわかりやすい味覚であり老若男女問わず誰でも好きな料理でしょう。個人的には付け合せのタマネギが好き。じっくりと火が通されており、芯の芯まで実に甘い。
〆に県産鶏もも肉。こちらもたっぷりのハーブでマリネされており、ややもするとエスニックな味わい。身の味わいもさることながら、バリィと火入れされた皮目がジューシーで実に旨い。

以上、腹がはち切れそうなほど食べてひとり4,000円程度。店員の立ち振舞いやサービスは申し分なく、料理は普通に美味しいし(変な言い方でスミマセン)、何より酒が安い。東京クオリティのレストランでお値段は3割引な感覚。オススメです。
「日曜日、投票行けるかなあ?離島は土曜日に前倒し投票することに決めたんですって。なんか、緊張するなあ」緊張?政治に関心があるだなんてエラいね。僕なんて、メルカリで売れるなら売ってしまいたいぐらいだよ、選挙権。

「ええ〜、そりゃ、緊張しますよ。だって生まれて初めての選挙だもん」ちょっと待て。ここまであんまり深く考えて来なかったけど、キミは一体何歳だ。青春は花にして恋こそはその果実なれ、その実ゆるやかに熟するを待ちて、これを摘まさん者こそ幸いなれ。


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この年は1年で10回沖縄を訪れました。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。

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Moka Mania DECOR/アソーク(バンコク)

バンコクのコーヒーレベルは意外に高い。スタバでは当然にニトロコーヒーを取り扱い、欧米を意識したカフェやコーヒー専門店も百花繚乱。しかしながら、一般的なレストランやホテルで出されるコーヒーは泥水を煮詰めたようなモノであることが殆ど。
手軽に飲める旨いコーヒーは無いものかと街を彷徨うと、猥雑な街角に欧米人が列を成す店を発見。
写真店を居抜きで利用した当店。看板はそのままにしてあるところが潔いですね。
エスプレッソベースのコーヒーがいずれも150~200円程度と、スタバのほぼ半額です。面白いのがコーヒーの淹れ方で、機械式エスプレッソ・マシンを用いるのではなく、ひたすら直火式エスプレッソ・マシンを熱し続けるのです。
内装は中々シャレオッティ。荷物をそこらへんに放置したり椅子がパイプ椅子だったりするのが実に惜しいですが、タイとはそのような国である。
カプチーノを注文。予めヤカンで湯を沸かしておき、マシンの下のタンクに注いで作るという時短ワザを駆使します。押し寄せる客を捌くには仕方ないのかもしれませんが、いつかヤケドするぞキミ。
フォームミルクの泡立ちがイマイチで、もはやラテ状態ではありますが、味そのものは結構美味しいです。私も自宅でエスプレッソを飲む際は直火式を利用しているため、自宅と同じ味を楽しむことができました。スタバなどのチェーン店の風味とも遜色ないため、テイクアウトに徹するのであれば当店の利用はアリですね。
ちなみに直火式エスプレッソ・マシンとはこのようなモノです。私は自宅でコレと全く同じものを使用中。6杯取りであり、朝に淹れて魔法瓶に入れてしまえば夕方までずっと美味しく頂けます。本格的な家電を買うことも考えたことがあるのですが、やはりこのコンパクトさと手入れのし易さは魅力的。自分でコーヒー淹れている感もあり心も満たされる。オススメです。


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リストランテ・ジャニコロ・ジョウキ/麻布十番


ローマ風ピッツァで名を馳せたジャニコロが2号店を出しました。ブルズ鉄板バンビーナと同じビルの9Fにあります。
1号店と異なりリストランテです。開放的な空間に抜群の採光。テーブルクロスもピシリと完璧であり、限られたテラス席で泡を楽しむ先客に嫉妬する。

1,800円のパスタランチを注文。ふたりで注文すると、ハーフポーションでパスタを別々に2種お出ししてくれるとのこと。
秋刀魚のカルパッチョに梨とマッシュルームのサラダ。オマケのセットものと思いきや、几帳面な前菜が届いて望外の幸せ。

秋刀魚の表面が香ばしく炙られておりビターな味わい。ふっくらとした脂が多幸感を刺激し、野趣溢れるマッシュルームのソースにぴったりです。梨とマッシュルームのサラダも食べ応えがあり、周りも彩るエディブルフラワーも美しい。1,000円代のランチでここまで手の込んだ前菜は稀有でしょう。
パンは前菜に比べると印象に残らず。
ムール貝と九条ネギのスパゲッティ。ムール貝のものはモンサンミッシェル産であり、凝縮感と野性味が激しい。ややもするとケモノ臭にも取れてしまい、人に拠っては苦手かもしれません。他方、九条ネギとオイルベースのパスタは清澄な味わいでベーシックに旨い。
茄子とトマトソースのスパゲッティ。白いフワフワは塩漬けしたリコッタを削ったもの。若干トマトの酸味が強いものの、全体としてまとまりのある一皿でした。
パンも追加でお持ち頂けます。
巨峰とブラックベリーのパルフェ。こちらも恐ろしく手が込んでますねえ。ショウガの泡やチョコとナッツの焼き菓子などが良いアクセントとなり、余韻の長いアイスクリームと調和します。たっぷりの巨峰には爽快感。美味しかった。
エスプレッソで〆てごちそうさまでした。

これだけ手の込んだ料理をいくつか頂いて1,800円とは信じられないほどの費用対効果です。家賃考えてやっていけるのかしら。1号店のリーズナブルさもかなりのレベルですが、当店はそれを凌駕するかもしれません。次回は是非、夜にフルセットでお邪魔したいと思います。


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麻布十番はイタリア料理屋も多い。ただし、おっ、と思えるお店は少数です。個人のお店のランチが狙い目ですね。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。

Kyo gastronomy KOZO/丸太町(京都)


京都御所南に2017年4月オープン。和食をベースにフレンチの要素を取り入れた料理と日本酒のペアリングで評判の新店です。
カウンター5席にテーブル8席と小さなお店。シェフとホールの2名体制で滞りなく回せており、オープン半年とは思えぬオペレーション能力の高さです。
いきなりスペシャリテの苔テラリウム。フォアグラやベーコン、トリュフ塩などを活用し本物の苔に見紛う程の完成度の高さです。しかしながら味はちょっと凝り過ぎで、何を食べているのかわからなくなりました。ベーコンの風味は取り易いのですが、その他の味覚は印象に残らず。
日本酒のペアリングを注文。このペアリングが全体を通してたったの1,700円から。この手のレストランとしては破格の値付けです。レフェルベソンスのペアリングは半分が日本酒で何万円も取ることを考えると、非常に良心的なお店と言えるでしょう。
白黒しめじと九条ネギ、出汁コンソメのスープ。素直に美味しい。ただしシメジだと風味が素直すぎるきらいがあるので、もう少し香りの高い食材、例えばポルチーニ茸などを用いたほうが私は好きかもしれません。
野菜の和風テリーヌ。ソースはタスマニアの粒マスタードを利用。ソースがいいですね。マスタードの酸味を活用できており、何リットルでも舐めていたい美味しさです。テリーヌそのものはお洒落ではあるものの、一般的な味わいです。そういう意味で、ラ・シャルキュトリー釜津田はテイクアウトながらレベルが高い。
私は2,250円のミディアムペアリング(量がMサイズ)を注文。全体を通して料理を邪魔しないクリアな日本酒が多かった。
黒七味の衣で揚げた甘鯛のフライ 。ソースは柚子と大葉です。揚げたてのホクホクであり、衣のサクサクとした食感が堪らない。甘鯛の味わいも実に率直であり、本日一番のお皿。フィレオフィッシュの2万倍ぐらい美味しいです。
白桃のように豊かな香りと米そのものの甘さがグッド。料理にもピッタリです。
メインは京都牛というブランド牛のランプステーキ。やや肉に硬さが目立ちます。味そのものは悪く無いのですが、一生懸命に嚙みこまなければならない食感が気になりました。カボチャや紫芋のペーストは非常に重く単調な味わいであり、胃袋が一気に膨らんだ瞬間です。
また、この肉に日本酒は合わないような気もします。ここはひとつ濃い目の赤ワインを是非。
〆の食事は京都美山のお米で炊いた松茸ご飯。こちらは香りも良くシンプルに美味しいです。柚子と三つ葉のお吸い物や自家製のおかか昆布もいい味を出しています。先のマッシュと合わせておなかはもうパンパン。
デザートはパイ生地で挟んだリンゴのコンポートとシナモンアイス。液体窒素で仕上げるアールグレイのチップスも名脇役。4,000円かそこらのコースとしてはデザートが豪華です。エディブルフラワーの使い方も品が良く美しい甘味。
お茶菓子は標準的なものなのですが、プレゼンテーションが素晴らしいですね。当店のシェフは根本的な美的センスがあり空間設計に優れているように思えました。
お茶にはほうじ茶を指定してごちそうさまでした。

食べログなどではフレンチに分類されていますが、印象としてはもはや和食です。シンガポールや香港あたりに同じものを持ち込めば大人気となりそう。酒も含めて6千円代で収まったので、非常にリーズナブルなお店と言えます。

ただし費用対効果という意味では見事なレストランですが、深く記憶に刻まれた料理は残念ながらありませんでした。したがって、個人的にはもっと値上げをして素材の質を上げ、シェフの本領を楽しんでみたいところです。

いずれにせよ、シェフはまだまだ若い(20代前半?)ので、今後が楽しみなお店です。


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