今回の旅行の目玉であったヘリコプターでの氷河遊覧飛行ならびに犬ぞり体験が中止となったため、その足でツアーデスクに駆け込み、代わりになりそうなツアーを手当たり次第に申し込みました。前日の反動からヒステリックに1日2回のオプショナルツアー参加です。
ひとつめはスキャグウェイとカナダのユーコンをつなぐ景観鉄道。エッフェル塔やパナマ運河、フーバーダム、自由の女神像などと共に国際的に賞賛されている土木建築だそうです。なるほど確かに息を呑むほどの美しさです。しかしながら圧倒的な非日常体験という意味ではスイスにおける冬季のグレイシャー・エキスプレスに軍配が上がります。
■ダウンタウン(Downtown)/スキャグウェイ(アラスカ)
現在では人口1,000人にも満たない鄙びた田舎町ですが、1898年のゴールドラッシュ時には人口数万人を誇るアラスカ最大の町でした。
大通り沿いに味のある建物が連なり、ゴールドラッシュ時の雰囲気がそのまま保存されているかのような街並みです。ただし、観光客の瞬間最大風速に大して人口1,000の街はインフラが全く整っていません。どのレストランでもwifiは整備されておらず(長居されないように意図的かも)、唯一ネットに繋がる場所は有料のインターネットカフェと、無料の公設図書館のwifiのみです。
皆考えることは同じであるため図書館に観光客が殺到しており、ダイアルアップ接続を想起させるスピード感であり殆ど使い物になりませんでした。
物価も恐ろしく高い。レストランはそれなりにあるのですが、何でもないサンドイッチが15〜20ドルと、食欲が減退する価格設定です。それならばとタイ料理屋を目指したのですが、パッタイ(焼きそば)が17ドル(税サ別)と信じがたい値段。完全に心が閉じてしまい「船に戻って食べよう」という結論に至りました。
ちなみにアラスカと言えばサーモンですが、一度水揚げされたサーモンはシアトルに集められ、そこから世界中に分配されるらしく、アラスカで食べるサーモンはそれほど新鮮ではないようです(伝聞です)。日本のマグロが一旦築地に集められるのと似た論理なのかもしれません。
■アラスカン・ファッジ・カンパニー(Alaskan Fudge Company)/スキャグウェイ(アラスカ)
https://tabelog.com/america/A5913/A591301/59002396/
アラスカ名物ファッジの専門店です。ファッジとはブラウニーのチョコの比率を減らして砂糖の比率を増やしたような食べ物です。
妻が果敢にも「インサイド・パッセージ」という、チョコ味のファッジにピーナッツバターを流し込んだという、並の年寄りであれば死に至るものを買い求める。
一口頂きましたが、それだけで今後10年は近寄りたくなくなるほどの甘さであり、どう好意的にコメントしたとしても「砂糖の味がハッキリと甘いね」としか言いようがありません。それでいて1切れが11ドルという価格設定。JPHのチョコを3粒も食べることができるじゃないか。
■ホライゾン・コート(Horizon Court)/ルビープリンセス(Ruby Princess)
ダウンタウンで食事をするのはお金の無駄だと判断し、船に戻って無料で食事。残念ながらメインダイニングはクローズしていたため、24時間営業のビュッフェスタイル・レストランへ向かいます。
私はたっぷりの野菜とエビ、ジャークチキンをワンプレートで。ローカーボ、かつ、バランスの取れた食事とはこうである。いずれもビュッフェとしては合格点であり、このワンプレートをダウンタウンで食べれば30ドルは超えてくるでしょうから、精神的に心地よい食事でした。
妻はピザを2スライスにクラムチャウダーを2杯。これは栄養がゼロに等しく、限りなく透明に近いデブーな食べ方です。気をつけましょう。
■Musher's Camp & Sled Dog Experience/スキャグウェイ(アラスカ)
何が何でも犬ぞりに乗りたい私。ツアーデスクの方が「氷河の上を走るのは売り切れで、訓練場を走るのしか残ってない」と案内してくれたのですが、犬ぞりに乗れるのであれば何でもいいや、と、安直に申し込む。それにしてもシャケが多い。
港にツアー会社が迎えに来て下さり、30分のドライブの後、頑丈なオフロード仕様の車に乗り込み山林地帯へと進みます。
途中の川にグロいほどサーモンが集まっていて気持ち悪かった。いくら名物だからってここまで大勢いると引いてしまいます。
山を登り始め15分ほどした頃、犬の鳴き声が聞こえ始め、おお、訓練地も近いか、あれ?でも、雪とか全然ないぞおかしいなあ。「それではコチラにお乗り頂き、犬ぞり体験して頂きます」とガイドからの案内。これは私の知っている犬ぞりではない。
私の中で「そり」とは雪の上を滑るものと定義されており、ある程度舗装された地面を車輪で走る乗り物でもOKという解釈は初めてです。「夏の間はコレで特訓するのよ」と屈託のない笑顔を見せる犬のオーナー。
「ワン!」とやる気を誇示する元気なアラスカン・ハスキー。彼らには決して罪はない。
それでも一般的な犬ぞりを体験した人は多くても、夏に車輪付きの特訓に付き合ったことのある素人は稀有な存在であるはずと自らを洗脳し、1マイルにわたるショート・クルーズを楽しみます。
しかしながらこれが結構楽しい。時速で言うと20km/hは出ており風がビュンビュンと吹き抜けヘタなジェットコースターよりも爽快感があります。総勢15匹の犬たちが我々を引っ張ってくれるのですが、彼らも慣れたものであり、走りながら定期的にチラチラと我々の状態をチェックし、操縦者であるオーナーが何か言葉を発すると日体大の集団行動のような一糸乱れぬ統率力を発揮してくれます。
その後は子犬たちとのふれあいタイム。モフモフと柔らかく暖かい物体に思わず笑みがこぼれます。船に戻り夕日と氷河を眺めながら今日一日を振り返る。終わってみればかなり楽しめた犬ぞり体験でした。
「不都合な真実に脅えてアラスカへ」シリーズ目次
- <1日目>~シアトル~
- <2日目>~3代目社長山内さんが愛される理由~
- <3~4日目>~メキシコ人ゲストが少ない本当の理由~
- <5日目>~ヘリコプターでメンデンホール氷河遊覧~
- <6日目>~想像を絶する犬ぞり体験~
- <7日目>~グッチ社会主義者な氷河~
- <8日目>~乗船150回目1,600泊の老夫婦~
- <9日目>~カボタージュを奇貨として~
- <10日目>~城島健司の心を掴んだスーパー~
- <11日目>~女子供は近寄らないほうが良いスラム街~
- <12~13日目>~ポートランドってそんなにいいですか?~
Alaskan Fudge Company
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