ポートランドで最も人気のあるドーナッツ店。日本進出は秒読み段階。24時間営業ながら行列が絶えることはなく、金曜日の深夜が一番並ぶという前代未聞のドーナッツ屋です。
我々は日曜日の9時から並び始めてちょうど1時間待ちでした。「お前ら、ただのドーナツじゃねえか!」と道行く浮浪者が我々の5メートル先で挑発してきます。
ドーナッツの種類は常時30種類以上。1ドル台のものから7.5ドルのものまで値段の幅が広い。大きさやトッピングの量に比例すると考えて良さそうです。
レジ横にはガラスケース入りのサンプルが置かれており、英語ができなくても指差し注文できることでしょう。現金決済のみ。ピンク色の大きな箱に詰めてくれます。
このピンク色の箱を持ち歩く人はポートランド中にいるのですぐにピンと来るはず。私は1日で10人以上見かけました。
我々が購入したのはこの3つ。「Voodoo Doll」「Bacon Maple Bar 」「Ain’t That a Peach」です。
まずは「Voodoo Doll」。「ブードゥー」は「ブードゥー教」のことであり、呪いの人形のアレです。人形をかたどったドーナッツの心臓部にプレッツェルが突き刺さり、中には血を連想させる赤いジャムがたっぷり詰まっており悪趣味この上ありません。
味は想像を絶する甘さでした。絶望的な砂糖の量であり、呪いをかけるまでもなく人を糖尿病に追い込む破壊力があります。
「Bacon Maple Bar 」。同様に常軌を逸した甘さのドーナッツの上に、カリカリに揚がったベーコンが2枚。ポートランドでは飲み会の〆にこのドーナッツを食べるのがクールと言われているらしいのですが、もはやネタでしかありません。
「Ain’t That a Peach」。先の2つを凌駕する甘さと大きさ。生まれてきたことを後悔するような甘味が詰まっています。これ1つで1,000キロカロリーは超えるのではなかろうか。ところどころ桃の果肉が入っているのですが気休めでしかなく、ただひたすらに甘い。人生で食べた最も甘い物体かもしれず、その気になれば空をも飛べるほどの熱量です。ここだけの話ですが、「Ain’t That a Peach」については半分を食べた時点で頭が痛くなり吐き気をもよおしてしまったため、残してしまいましたゴメンナサイ。
ピンク色の箱を丁寧に閉じグッタリと座り込んでいると、隣の席で同様の姿勢で座り込む老夫婦に声をかけられる。「並んだ価値はあったかい?」と問われ思わず首を横にふる。彼も同じくため息をつき、「写真を撮るだけだな、こりゃ」と大きな箱を片付け始める。
冒頭のホームレスの叫びは真実であった。
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