本日は20代半ばの丸の内バリキャリOL。オープンと同時に丸の内カフェ会に突入し、かき氷をかっ喰らうという、かなりシュールなデートです。
彼女のコーディネートは思わず手を触れたくなるような独特の生地に斬新なカットのツーピース。すごく素敵。
「ハイ、どうぞ!」ニッコリと私に土産を手渡す彼女。モノそのものよりも、出張先に行ってまで私のことを考えていてくれた事実が何より嬉しいですね。「出張中はずっとひとりでゴハンなの。すっごく寂しいんだから」と口をすぼませる彼女。
その後、丸の内界隈をお散歩しランチタイムとなり、「この辺りは任せて!」と、当店にお連れ頂きました。ちなみに私は夜までコースを期待していたのですが、「夜は合コンだから」と秒で断られたのは実にここだけの話です。
クラフトビールは4種。飲み切れる種類であればコンプリートしたくなるのが人情。彼女はホップが強い爽快感溢れるエール、私は円みのあるホワイトエール。
今夜は合コンか。合コンってさ、キミたちの世代はどういうお店に行くの?女子側もお金って払う?今、友達にアレンジをお願いされてて、お店選びに困ってる最中なんだ。
「うーん、同世代とは合コン行かないなあ。ほとんどが年上の経営者とかだから、お金を払うことはない」
いや、経営者とかじゃなくてさ、もっとこう、普通のサラリーマンとの合コンの話を聞きたいんだけど。
「だからさあ、あたしたちは(メチャメチャ美人で聡明でイケてるから)サラリーマンなんか相手にしてないんだって」
くみあげ湯葉、豆乳のムースと和辛子エスプーマのカクテル仕立て。これは面白い。湯葉ならびに豆乳のムースは想像できたのですが、和辛子のエスプーマが出色。刺すような爽快感が舌先に染み入ります。
前菜はサーモン。見た目通りの美味しさなのですが、とりわけ付け合わせの有機野菜のサラダが美味しかったです。西田農園という生産者指定のものだそうな。
連れはサーモンが苦手なので、お店にワガママを言ってイサキのカルパッチョに変えてもらっていました。若くて美人のパワーとはこのように使うのです。
「合コンのお店は味よりも雰囲気だよね。合コンは食事をしに行くんじゃなくて、出会いを求めに行くんだから。美味しいお店は親しい人と行きたいな」例えばキミみたいにね。ちろりと舌を出す彼女。
カボチャのポタージュ。シルクのように滑らかな質感に、バランスのよい甘さ。量もたっぷりであり、食べ応えのある1品でした。
「個室は好きじゃないなあ。逃げ場がなくなっちゃうし、何より自分の発言に重要性が増すから嫌だ。だいたい、個室にするってことは、そもそもそのお店の全体的な雰囲気がイマイチってことでしょ?お店そのものの雰囲気が良ければ個室なんて必要ないもん」
メインは和豚もちぶたロース。豚肉は柔らかく食べ易いのですが、肝心の旨味に乏しく、あまり印象に残らない一皿でした。付け合わせのジャガイモは思い切りの良い火入れで食感に楽しみがあり、シェリーヴィネガーのソースも正統的に美味。
「あと、大皿料理を取り分けるのは面倒だからひとりづつ出してもらえるお店がいいな。シカダとかは雰囲気いいけど、大皿で取り分けなきゃいけないから合コンではダルい」
デザートは桃のコンポートに桃のゼリー、ヨーグルトアイスです。期待通りの味わいであり、また、ポーションが非常に大きく、並みのケーキ屋の一品よりも食べ応えがあることでしょう。
「そうそう、『ひとり4,500円づつ振り込んでください』の記事読んだけど、あの男たち、旧世代でしょ?振り込みとかオワコンだよね。あたしたちの周りはみんなアプリでやりとりするもん、LINE Payとか」なるほど世代間格差。
もしかして『受話器』って知らない?とおそるおそる訊ねると「何それ?」とのことでした。ちーん。
「今日はあたしにごちそうさせてね」と胸を張ってカードで支払う彼女。カードを預けてからなかなか店員が戻ってこないなあと案じていると、数分後に「あの、ちょっとこちらのカード、端末に対応していないみたいで」と、申し訳無さそうに結果を述べる。
「こんなどこにでもあるカードが使えないなんて」と色めき立つ彼女。いや、これは実は限度額オーバーというオチじゃないか?と私見を述べる。
あ、と彼女は思い出したかのようにスマホを取り出す。「そうだった、ずっと出張してて、交通費とホテル代がかさんで限度額がこえてる!」彼女に恥をかかせないよう『対応していない』と自ら頭を下げる一流の振る舞い。素敵なお店でした。
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