端的に言うと、2016年秋からカナダで乗り継ぐだけでもビザみたいなのが必要となり、その承認がなければカナダ入国はおろか日本からの飛行機にすら乗せてもらえなくなりました。
空港には余裕を持って出発時刻の2.5時間前に到着するようにしているのですが、この日は航空会社のシステムに障害が発生しておりチェックインカウンター前はプチパニック状態。搭乗時刻が近くヤバくなってきたのか、我々の便名が掲示されたボードを持ち歩く職員が「バンクーバーに行かれるお客様!」と声がけを始めたので慌てて申し出る。
どういう仕組みかは不明ですが、我々の手続きはシステムで処理できるようになったらしく、そのまま急ぎで処理をお願いした矢先、職員の顔が凍りつき手が止まり一言「ETAの申請はされてますか?」
ESTA(エスタ)のこと?そりゃあもちろんやってるよ、何ならつい3ヶ月前にアメリカに行ってきたばっかだし、と、にこやかに申請用紙を見せると、「あ、そうじゃなくて、ETA(イーティーエー)です」と職員。
イーチーエー?何それ食べれんの?僕ちん去年の今頃カナダ行ったけど、そんなん機内食で出なかったよ?「2016年の秋から、カナダに訪れる場合はESTAのような手続きが事前に必要になったんです」
え、でも僕たちカナダに入国しないし。乗り換えるだけだし。「トランジットだけでも必要になったんです」
ふーん。ま、でも、ESTAだって未申請でも、現地に着きさえすれば何とかなるよね、と、処理を進めるように促すと、「ETAの場合、未申請だとお乗せすることができません」ちーん。ようやくことの重大さを認識することができました。
どどどどーいうことだ!?どうすりゃいいんですくぁ?と慌てふためくと、「今すぐスマホでカナダに申請して下さい!通常であれば30分もあれば承認されますので。なお、承認に時間がかかった場合、当便にはお乗せすることができず、お客様の券種だと、新たにチケットをお買上げ頂くことになります」ちーん。
この職員に言いたいことは山ほどあるのですが、まずは申請が優先度AAA+だと判断し、慌ててカウンターを離れスマホを取り出し登録作業へ。「あ、お荷物はコチラでお預かりしかねますのでー」いちいち癇に障る女だぜ。
とにかく焦る。ここ数分で承認されないと数十万円が吹っ飛ぶ。いや、もうお盆だし金を積んだからと言ってチケットを買えるかどうかもわからない。仮にクルーズの出港に間に合わなかったら、、、と血の気が引き膝が震えます。
慌ててetaと検索し、最初にヒットしたそれらしきサイトをクリックし、そのまま手続きを進めると、費用は6,400円との表示。えー、乗り換えるだけなのに高いなあ、まあでもビザで50ドルとかいう国はザラだからそんなもんなのかと納得し、そのままクレジットカード決済へと進む。
受付完了のメールが届き、「通常であれば72時間以内に完了」との連絡。えー、72時間どころかあと数分で何とかしろよと思わず毒づきたくなりますが、それは機械のすることなので、ただただ待つしか策は無い。
「あ、あたし、承認おりた」と妻。どれどれと送られてきたメールを見せてもらうと、どうにも文面の雰囲気が私と異なる。「申請するとすぐに承認されるんだね。7カナダドルって結構安いよね」
どういうことだ。不安で気持ちが悪くなり、ふたりで「eta 高い」「eta 6,400円」などで検索すると、妻が言いづらい持病を告白するように、「ねえ、あなたそれって『詐欺サイト』で決済しちゃったんじゃない?」と私に告げる。膝から崩れ落ちそうになりました。
よくよく読むと、実際には詐欺というわけではなく、れっきとした申請代行業者のようです。ただ、確かに代行はしてくれるそうなのですが、本物のサイトと同様の入力項目であるにも関わらず6,400円という不当な価格設定。SEO対策や広告を駆使して検索トップに来るようにしているなど違法ではないが一部不適切。まあ、テンパってよく読み込まず処理を進めた私が悪いです。
また代行業者であるため、そもそもきちんと処理してくれるのか、時間をどれぐらい要するのかが全く読めないので、念のため本物のサイトを用いて再申請。結果、数分後にいずれのサイトからも承認OKの連絡が届き、代行業者分の6,400円はドブに捨てたこととなりりました。
チケット買うときとか、搭乗前にメールとか送ってくれてもいいんじゃないですか?と彼女に問うと「渡航先で必要な書類については全てお客様にご用意して頂くことになっておりますから」と歯牙にもかけない。じゃあなんでESTAについてはあんなにしつこく連絡してくるんだ、とも思いましたが彼女に文句を言うのはお門違いなのでそのまま引っ込みました。
うーん、これは航空会社の姿勢としてどうなんでしょう。もちろん最終目的地がカナダであれば利用客がそのような書類を用意すべきだとは思います。しかし今回の我々の最終目的地はシアトル。シアトルに着きさえすればそれでよく、どこを経由するかなんてハナから気にかけておらず、航空会社のwebサイトで提案されるがままの旅程を買っただけです。航空会社が提案する旅程のそれぞれの空港で必要となる書類につき、知識を常にアップデートできている日本人はそんなにいないと思うんだけどなあ。
また、こういった目に遭う客がそれなりに居ることを把握しているのであれば、チケットを販売する際にヒトコト告知するなり、リマインドのメールぐらい送ってくれてもいいと思うのだけれど。チェックイン・カウンター最前線でのやりとりのコストのほうが安い、と言われればそれまでですが。おもてなしやホスピタリティに力を入れる前に、このような最低限の事務処理をきちんとサポートして欲しいところです。
今回、我々は何とか土壇場で搭乗できるようになりましたが、インターネットや英語に慣れていないお年寄りの場合は完全にアウトでしょう。今後、海外に行く際は乗り換えを含めてきちんと情報収集するように気をつけることとします。勉強になりました。格好のネタができて良かったです(ブロガーは生活の中で何か嫌なことがあってもそれがネタになるので精神状態が極めて良い)。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。