アジアン キュイジーヌ エー・オー・シー(Asian Cuisine A.O.C.)/麻布十番


バンコク滞在中に近所の女の子からお誘い。せっかくのお誘いをお断りしてしまうこととなったため、帰国後の優先度AAA+取り扱い事案。
お店は前からお邪魔してみたかったコチラ。チックエスといった、私の大好きなお店の系列であり、入店前から圧倒的な信頼感があります。
夜風が心地よい季節となったので、テラス席を指定。欧米ではテラスから席が埋まっていくのに、日本はその逆。文化の違いって面白い。
先週1週間で100本は飲んだシンハで乾杯。680円とバンコクのレストランで飲む倍以上の価格設定ですが、輸送費ならびに人件費を忖度するとこんなものかもしれません。

「そうだ、この前ディズニー行ったんだけどね、○○さん(私の名)の言うとおり、ほんとデブとブスばっかだったわ。このあたりに住んでるとあんまり意識しないけど、他所の街に行くと、ああ、港区のレベルってほんと高いんだなって思っちゃう」この辺りに住み続けるって大事ね、と、ひとり得心する彼女。
そうだ、この前A-studioで長澤まさみを観たんだけど、やっぱキミに似てるよね。「ありがと。よく言われるんだけど、ちょうど良いリアクションが難しくってさ。あと、喋り方が吉高由里子とも言われる。少し口調がバカっぽいってこと?失礼しちゃうわ」何を言う、長澤まさみ+吉高由里子=最THE強ではないか。丼で言えばウニイクラ丼のようなものだ。
彼女はビアカクテルのフローズン・マンゴー&ココナツを注文。予想の斜め上を行くビジュアルで登場し思いがけず盛り上がる。量はたっぷりで味も確かであり、これで980円は極めてお徳でしょう。

「これ、すっごくいい!今日の昼にね、六本木のエルカフェでイチゴのスムージーをテイクアウトしたんだけど、1,800円もしたんだから!これ2杯飲めちゃうよね」
ヤムウンセン。小エビと香味野菜の春雨サラダです。魚介と豚肉にたっぷりの野菜。春雨が温かく、日本人にとってはサラダというよりもオカズといった趣き。味付けは極めてマイルドであり、万人受けする味わいです。
ゴイクン。蒸し鶏と野菜の生春巻きです。これはイマイチ。野菜や皮が全般的に乾いておりカピカピとした食感で好きなタイプではありませんでした。

通りを挟んだ向かい側から我々のテーブルに視線を投げかける目つきの鋭い男を発見。すわ文春かと身構えると、これまたご近所のシイタケ嫌いが偶然通りかかりました。「あ、ど、どうもぉ。あ、もしかして○○ちゃん!?話には聞いてますぅ。でゎ」
真鯛のカルパッチョ。やや熟成がかっており鯛の割に旨味が強く美味しかった。が、これは果たしてアジア料理と言って良いものでしょうか。まさか鯛だけにタイ料理?

「フフ、あの人、なんか緊張してなかった?あと、ちょっと寂しそうな目をしてるっていうか、○○さん女の子とばっか遊んでないで、僕にもっと構ってよう、って感じ。カワイイ」
自家製炙り〆サバ 青唐辛子とパクチーのサラダ仕立て。こちらも味は悪くはないのですが、オリエンタルなスパイスが複合的に折り重なった逸品というよりは、主婦の創作料理のような味わいで臨場感はありません。
ビンタンビール注文。ホップが強く香りがあり大好きなビールです。

この後、シイタケ嫌いに感想を求めたのですが、「あの子はただの取り巻きじゃなくて、アンタが最恵国待遇を敷いているってことぐらいわかってる。そりゃあ失礼の無いようにって緊張しましたよ」とのことでした。
トムヤムクン。これは面白い。先週のバンコク滞在において、伝統的なものから創作的なものまで数々のトムヤムクンを食べましたが、そのいずれにも当てはまらない味わいです。

なんというか、甲殻類の出汁が強烈に響くビスクのような味わいなのですね。辛味や酸味は控えめであり、海老の甘味と香りがとにかく強い。なるほど仏伊料理を中心に据えた当グループらしい逸品でした。
ガイヤーン。鶏もも肉のローストです。ガイヤーンと言えばサバイジャイですが、当店のそれも負けず劣らず美味しい。もう少しスパイスを強くすればより現場の雰囲気が楽しめそう。ただ、本場の味を追求することが正義とも限らないので、これはこれで良いと思います。
ワインが飲みたい、とのことだったので、イタリアのシャルドネをボトルで頂きました。

「ねえ、このワイン、どう思う?」との問いかけに対し、値段の割に美味しいんじゃないかな、と返す。「うん、合格」合格って、何が?「女の子とのデートで薀蓄を3行以上語る奴にロクな男はいないからさ。わかってないよね、そんなのであたしたちがキュンと来るとでも思ってるのかしら」だそうですモテない男性陣は気をつけましょう。
自家製煮豚と大葉のブラックチャーハン。これはチャーハンというよりも肉ですね。じっとりと味がしみこんだ煮豚の角切りがこれでもかというぐらいブチ込まれており、たっぷりの大葉と共に至福のひと時。我々の食べるペースが遅くすっかり冷え切ってしまったのですが、冷めても旨さが確かに継続しています。オニギリとして商品開発してコンビニで出せば、バカ売れ間違いなし。
〆に私もビア・フローズン・ブルー・マルガリータ。キンキンに凍ったマルガリータをコロナで少しずつ溶かしながら秋の夜風を楽しむ。何だかんだでオープンからラストまで居座ってしまいました。

居心地の良い夜だ。十五夜お月様に照らされて街は少しだけ金色になった。


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