名古屋まで来いと唐突に出頭を命じられました。行くのは全く構わないのですが、お店の予約とか何も準備していないのがつらたん。
夕食までの時間つぶしにコンビニで立ち読み。近くに良いお店無いかなあと地元雑誌をザッピングしていると、Vecchia Romana da Hizumeという、名古屋イタリアン界の重鎮が新たに手がけたお店がオープンしたとの情報。今すぐ入れるかと電話してみるとOKとの回答。ツイてるなあ。
高岳駅徒歩10分。マンションの1階に当店はあります。鮨屋を居抜き(?)で借りたようであり、「あの真実の口的な円いオブジェ、鮨屋時代は竹とか障子が組み合わさった窓だったんだから」と歴史を知らされ心和む。
キレイに内装はされているものの、佇まいが心から鮨屋で笑ってしまいます。ガラスのネタケースなどは100%鮨屋のままであり、これはひとりでフラりと訪れるに最適なお店でしょう。
この日の名古屋は脱衣所のように暑く湿気があり、新幹線で降りた瞬間そのまま引き返したくなってしまうほど。どうにもワインの気持ちにならず、まずはイタリアのビールで喉を潤す。
コース料理に惹かれたのですが、デザートとかコーヒーとかは別に要らないなあという気分であり、アラカルトで3皿注文という結論に達しました。
まずは魚介のフリット盛り合わせ。揚げたてアツアツのイカ、甘エビ、アユがテンコ盛り。冷たいガスパチョ的なスープとの対比が心地よく、この味このボリュームで1,200円は奇跡です。
事件発生。メニュー表に燦然と輝く「クレジットカード不可」の10文字。やべえ、今、サイフに10,000円も入ってないぞ。
ボッタルガ(カラスミ)のパスタを注文。どうだ、と言わんばかりの気前の良いカラスミに圧倒される。玉ねぎも入っているのか、甘く優しい風味も感じられ、カラスミの奥行きのある旨味と塩気と相俟って、鼻血が出そうなほど美味しかった。ノック クッチーナ・ボナ・イタリアーナのカラスミパスタも絶品ですが、当店のそれはノックを軽く量がします。それでいて1,700円なのだから堪らない。
カラスミの旨味に誘われスプマンテを注文。たっぷり入ったフェラーリが1,200円とお買い得。よしよしこの調子だと10,000円に収まるぞ。税サを考慮しても良いペースだ。
アクアパッツァは貝が充実。特大のホンビノスガイに始まり、ハマグリに桑名の沖しじみ。ちなみに桑名といえば、15年前に桑名の女と遠距離恋愛をし、とてもとても酷い目にあったのですが、それはこの物語にはあまり関係がありません。
たっぷりの貝の下にはこれまた大容量のマダイが鎮座。さすがに爆発的なポーションのフリットに100g超のパスタを食べてからなので満腹この上ありません。普通の人であれば2皿注文で充分でしょう。お会計は8,600円と、手持ち現金ニアピン賞でした。
名古屋のイタリアンでは一番好きかもしれません。味わいとしてはドディチ・マッジョやアンティカ オステリア バーチョとも甲乙つけがたいのですが、当店は費用対効果という恐るべき武器がある。予約なしでフラりと訪れることができる気軽さも堪らない。近所にあると通い詰めてしまいそうな中毒性があるお店です。次回はきちんと現金をおろしてきてからワインをたっぷりと楽しみたいと思います。オススメ!
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仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。
- 名古屋うなぎランキング2017 ←1ヶ月集中して昼夜うなぎを食べまくった成果。
- トゥ・ラ・ジョア/金山 ←名古屋の嫁入り道具のような料理。
- 壺中天/新栄町 ←王道フレンチ名店中の名店。
- 千亀/栄 ←リーズナブルで直線的。素晴らしい焼き鳥屋さん。
- ドディチ・マッジョ/久屋大通 ←「日本一こだわり卵」というブランド卵を用いたカルボナーラが絶品。
- ビストロ ダイア/新栄町 ←ランチの前菜盛り合わせが圧巻。
- アンティカ オステリア バーチョ ←堂に入ったトスカーナ料理。
- トラットリア トペ/新栄町 ←これだけ食べて税サ込3,300円見事な費用対効果。
- うどんの千/伏見 ←讃岐をぶっちぎって日本一好きなうどん。
食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。