大根おろしから始まる定番の並びです。十番の天冨良よこ田のように、カレー塩が用意されているのが印象的。中央のゴマ豆腐は前菜なのでしょうか、それほどゴマの風味を感じることの無いザラりとした豆腐で印象に乏しい。
暑い一日だったのでまずはビールで乾杯。銘柄は何だったのでしょうか、コクが豊かでありつつも余韻がスッキリとしており、かなり美味しい1杯でした。
まずはお頭。エビに罪はないのですが、どうもベタついた揚げでありそれほど好きな調理ではありません。個人的にはみかわ是山居のような高温系がタイプです。
お吸い物。このタイミングでお吸い物が出る天ぷら屋は初めてです。決してまずくはないのですが意図がわからない。冒頭からハテナマークが続く食事です。
車海老。しっとりと水分を湛えた甘い海老。
2本目も同様に美味。最初はプレーンな塩で楽しみましたが、今回は抹茶塩で複雑性を添加します。
キス。揚げ方も魚そのものもあまり好きではありません。どうにも衣が分厚く油を大量に吸っており胃にもたれます。天ぷら畑中とまでは言いませんが、もう少しデニール薄めでお願いしたいところです。
ヤングコーン。はっきりとしした食感の固体で美味。最近自宅でのピクルス作りにハマっているのですが、やはり水煮の常備ヤングコーンに比べると歴然とした美味しさがここにあります。
オクラ。アツアツの衣からドロリととろけ出す食感が面白い。
ホタテ。中心部は完全に生であり、そこから放射状に広がるグラデーションを楽しむ逸品。
カボチャは中くらい。色も味も薄い存在感の薄い野菜でした。
水ナスはジューシー。素材そのもののポーションが大きく、ここにきて衣の分厚さとようやくバランスが取れたような気がします。
鯛の大葉巻き。長野くん事件が脳裏に浮かぶ。あっさりとした鯛でありふくよかさに欠け、大葉の香りも貧弱でした。
シイタケもどちらかというと扁平であり3D感覚に欠け、旨味も薄く食べ応えに乏しかった。
シジミの赤だし。スープ自体は悪く無いのですが、シジミにやや臭みがのこりあと一歩といったところでしょう。
おしんこは美味しかったです。
お食事には天丼をチョイス。これまでの凡庸な天ぷらとは一転して、旨味に溢れた1杯でした。ゴハンの炊き方からタレのコクまで申し分なく、本日一番のお皿です。
簡単なデザートで〆、ごちそうさまでした。
個人的にはあまり好きでない天ぷらです。全体的にぼんやりとした味わいであり、ホテルの浴室ドアのバスタオルかけぐらいかかりが悪い。
料理人たちも職人というよりは驚くべき実務家というタイプであり、淡々と事務的に調理し続けるだけ。せっかくのカウンター席の利点を活用できてないように思います。
もちろん精神力を賛美することで料理が成立するわけではありませんが、どうにも元気がないお店。そういう意味で、天冨良よこ田の大将のうっとうしさが懐かしくなった食事でした。
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