ワイン会~私への優しさだけで生きているようなこの婦人~

久しぶりのワイン会。「一日中ワインのこと考えてる。朝起きたらワインの記事を読むし、通勤中はゆうべ飲んだワインのコメントをケータイにメモしてる」というグルメ誌編集者をお誘いすると、秒で参加するとの返信。
主催者はシャンパーニュ狂。部屋のその辺にお宝がゴロゴロ。「シャンパーニュは瓶が大きくてセラーに入らないことが多くって」と謎の言い訳。
「暑かったでしょう?まずはスッキリこちらから行きますか」と自然な辛口のシャンパーニュ。ちなみにブリュット・ナチュールとは、製造工程において糖分を全く添加しないことを意味します。
凄いロゼです。シャルドネ主体であるものの、ピノノワールの美質が活き活きと弾ける。

「秋が近くなったらキノコ特集でも組もうかと考えているんです」と、グルメ誌編集者。いいねえ、やっぱりマルゴット・エ・バッチャーレとか取材に行くわけ?数秒の沈黙ののち「キノコ=トリュフと決め付ける価値観、間違ってますよ」と窘められました。
単一クリュのブラン・ド・ノワール。クリーミーな口当たりにふくよかな酸とミネラル。品の良いボリューム感もあり素晴らしい泡です。
「ダロワイヨは日本だとスイーツのイメージが強いですが、フランスではレストランがメインです」と、ハウスシャンパーニュを並べる家主。なるほど深い印象のある1本であり、シャルドネだけとは思えないほどの複雑味が感じられました。
「これはブラン・ド・ブランで、その畑は…」軽率すぎるぐらい明朗な男が数分間語りまくるのですが、結局のところブラン・ド・ブランであることしか当たっていませんでした。ちなみにブラン・ド・ブランとは、シャルドネ100%で造られるシャンパーニュを指します。
私はルイロデレールに目が無く、希少性の高いものを除けば最も愛すべきシャンパーニュのひとつです。ふと家主に、すぐ手に入る普通のシャンパーニュだと何が好き?と訊ねると、「クリュッグですかねえ」とさすがの貫禄。"すぐ手に入る普通"の定義とは。
ブラインドで飲み進めており、当然にシャンパーニュと思い込んでいたのですが、まさかのフランチャコルタでした。片山萌美のように迫力とあどけなさが同居する。
ちなみに片山萌美とは先日偶然発見したグラドルでありマイブームです。MOETという名前からしてシャンパーニュ好きであることは間違いないであろう。
1974年のクリスタル・ロゼ以来、40年ぶりの新商品。モダンでシンプルな印象。ロデレールらしくはありませんが、それはそれで見事な味わいです。

ここで美女登場。彼女の妹は現役のアイドルであり、写真を見せてもらうと危うく鼻血が出そうなほど可愛かったです。今月一番かわいいと思った瞬間かもしれません。今すぐ呼んでよと懇願すると「まだ15歳だからお酒はダメなんです」
「ちょっと熟しすぎてるかもしれないですけど」なるほど頂点は超えているかもしれませんが、シェリーのように芳醇で複雑。極めてデリケートな泡であり、唇を湿らせただけでウォオゥと謎のオノマトペを発声してしまう。
La Grande Dame。圧巻。シルクのように滑らかなのに、骨格が感じられるという矛盾。洗練された香りが上品でフレッシュ。素晴らしい。
ドンペリ垂直という神々の遊び。深くて複雑な風味であり、しっかりと記憶に残ります。神懸り的なバランスで酸と旨味が同居する。
偉大なヴィンテージ。果実の香りが大爆発。一方で口の中では驚くほど繊細。とにかく余韻が長く、完全にポルナレフ状態へと持っていかれました。本日一番のワインです。
続く水平。「1985年に生まれて良かった!」と跳ねるように喜ぶ女子。確かに生まれ年が当たり年というのはワインラヴァーにとっては最高の名誉。私はイマイチな年生まれなので羨ましい限りです。
「そろそろ赤が飲みたいねえ」すぐに出てくるグラン・エシェゾー様。どうなっているんだこの家は。果実のパワーが活き活き。濃密でエレガント。私は伝記の読書感想文を「ぼくもこんなひとになりたいとおもいます」だけで済ますタイプであり、その筆致ではこの美味しさを上手に表現することができません。
思わずラ・マルセイエーズを口ずさんでしまう。やっぱボルドー好きじゃけん。しかしこの1本が今夜の転轍機となったのでしょうか、このあたりから記憶がありません。
飲んだ記憶は全く無いのですが、執念で写真は撮っていた模様。
なんやこれ。
全く見覚えが無い。
翌日は後悔と怯えの1日でした。とんだ狼藉を働いてはいないかと関係者にLINEで聞いてまわる。総合すると、家の中に居る間は普通であり、家の外に出てからが面倒であったらしく、自宅に帰ってひとしきり大騒ぎしてから電池が切れたかのように眠りに落ちたらしいです。
それにしても私への優しさだけで生きているような婦人である。このお礼はいずれ精神的に。


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私の参加するワイン会は、ヲタクが集まるというよりは、ワイワイふざけながら飲む形式です。全くの素人もウェルカム。ワインはみんなで飲むものだ。下記にテーマ別にまとめておきました。
ワイン会で料理を提供する際に参考としています。ワイン会の主役はワインであり料理は場が華やぐ程度の彩りさえ確保できればOKと割り切る。あえるだけ、焼くだけ、のせるだけ、ちぎるだけ、混ぜるだけなど、とにかく簡単に作れるレシピがたくさん載っています。