花山椒(パークホテル東京)/汐留

パークホテル東京。汐留メディアタワー内上層階部分にある独立系ホテルです。汐留タワーの上にあるホテルはロイヤルパークホテル ザ 汐留。このあたりややこしくて、私はすっかり間違えて、最初は後者のほうに行ってしまいました。
25Fから34Fまで10層吹き抜けは都心のホテル最大級。25Fでは日本の四季をテーマとしたアート作品を常設しています。私が見る限り、ゲストの殆どは外国の方でした。
当ホテル内にある和食レストランが当店、花山椒。ヘンな時間にお邪魔したのでガラガラ貸切状態。
スパークリングワインで乾杯。和食には日本酒と決めているのですが、昼または食前酒に日本酒は似合わないため泡としました。
滝川豆乳豆腐。裏ごしした豆乳豆腐をところてん突きで細長く突き出したもの。優しい出汁にジュンサイのゼラチン質、オクラのヌメヌメかんが加わり、柚子の香りが爽やかさを演出する。見事な先付なのですが、箸でつかむには柔らかすぎ恐ろしく食べ辛かったです。
お椀は焼き目をつけたスズキに茄子。出汁が旨く水筒に入れて遠出したくなるレベルです。白瓜や柚子のアクセントもグッド。
お造りは鯛の洗いにキハダマグロ。鯛旨し。余分な脂や臭みが抜けつつも旨味はしっかり。身が白く爆ぜており歯ごたえ抜群。キハダマグロは普通です。
焼物は鮎の一夜干し。自家製です。頭からかぶりつくと品の良いアミノ酸が溶け出し今度こそ日本酒が飲みたくなる。サツマイモはレモンで煮ているとの説明で大層期待したのですがそれほどでも。
焚合せは霧島豚の柔煮に冬瓜スープ煮、パプリカ、ミニトマト、きぬさやです。霧島豚の柔煮が絶品。冷えて白く固まった脂は本来避けたいものですが、本件に限っては美点に感じます。クリーミーな脂に豚の繊維が調和する。
酢の物は焼き鱧。これはどうでしょう。文句なしに美味しいのですが、酢の物にする必要はあるのかどうか。この後食事に続くのですが、どうにもクライマックスが見当たらずハシゴを外された印象が否めません。
食事はシラスと梅のご飯。梅の味わいが人工的であり平板です。もう少し立体的なもの、すなわちタイであったりトウモロコシであったりの具材が良かったなあ。赤出汁は想像を絶する濃厚さでパス。他方、香の物は歯ごたえを残した心地よい漬かり具合で美味しかった。
甘味は酒粕プリン。プリンというよりもカステラに近いザラついた舌触り。酒粕の芳醇な香りにカラメルの控えめな甘さを絡める。実は本日一番のお皿です。
食後にコーヒー。和食店でもしっかり美味しいコーヒーが飲めるのが嬉しい。カップも可愛いですね。

それなりに美味しいですが強い主題性に欠け、その割にしっかりと高いお店でした。もちろん高級ホテル内の和食店なので当然と言えば当然なのですが、深い印象を残す料理が無いためこの日1日が忘却の彼方へと消えうせてしまう。夜だともう少し違うのかあ。接客は完璧なだけに惜しいです。


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黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

プラチナフィッシュ 魚菜市庭/新橋

新橋・銀座・神谷町で居酒屋・バルを展開するプラチナフィッシュグループ。なんだか突然、ものすごく店舗数を増やしましたよね。まさに疾風迅雷の活動であり、一時の魚金の勢いを想起させます。
烏森神社のすぐ近く。飲み屋が密集する路地の2階にあります。カメラを忘れてしまったので、当記事においては全ての写真を公式ウェブサイトより引用しています。
簡素なカフェのような店内。結論から述べると素晴らしいお店だったのですが、なぜかこの日はガラガラでした。タバコもOKで手を叩いて笑ってもOKな、徹頭徹尾カジュアルなお店です。

お通しがブリを素揚げしたものと凝っています。作りおきでなく、客が訪れるたびに調理をするという手のかけよう。今年も沢山のレストランにお邪魔していますが、お通しがきちんと温かかった店はロブションと当店ぐらいです。
生牡蠣は驚愕の1ピース400円。大した品質じゃないだろうとタカをくくっていたのですが、見て驚き食べて驚き、ちょっとした小料理屋で1,000円近くするそれと大差ありません。
刺身の大漁バケツ盛は豪華9点盛。相模湾の漁師から買い付ける朝獲れ鮮魚。2,980円でこの量この品質は新橋の奇跡。スーパーで買うよりも安くつくのではないか。
飲み物も安い。ビールは480円、日本酒も500円前後。 獺祭なんてたったの680円です。 ワインは品揃えが貧弱だったのでパス。
へしことキノコのアヒージョ。凄い組み合わせですがかなりいけます。アンチョビを思わせる強烈な旨味に鋭い塩味。このまま麺をぶちこんでパスタにしてしまっても旨いのではないか。
フライドエッグのせ 大人のトリュフ風味ポテトフライ。たっぷりのフレンチフライにかすかに香るトリュフの香り。半熟の目玉焼きも名脇役です。これで500円。見事な費用対効果である。

その他、イワシフライ、イワシの刺身、エビのエスカベチェ、茹でた魚介のマリネ、旬の鮮魚をハーブに漬け込んだミックスフライ、ブイヤベースなど、高くないのを良いことに食べまくったのですが、いずれも支払額以上の価値があり、大変満足の行く酒宴でした。繰り返しになりますが、スーパーで食材を買って自宅で調理するよりも安上がりだと思います。


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関連ランキング:居酒屋 | 新橋駅内幸町駅汐留駅

まり世/神田

立ち飲み大松を飛び出し、「とっておきの店で、誰でも連れてくるってわけじゃないから」と私の腕を引く美女。
連れられたのはファイナルファイト感あふれるガード下。並みの中学生であればカツアゲされるレベルです。
「ここ3週間で4回来たんだから」と胸を張る連れ。私は世界中の飲食店を食べ歩いてきた自負がありますが、それでも扉を開けるに躊躇するエクステリアです。
8席ほどの小さなお店。肌ツヤの良い女将さんがおひとりで切り盛りされています。

「あら!○○ちゃん!(連れの名)」と一斉に歓待を受ける連れ。入店5回目にしてこの厚遇ぶり。彼女のコミュ力の高さといったらない。
まずはビールで喉を潤す。「○○ちゃん、もうこのお店のアイドルだから、みんなに嫉妬されるわよ」と女将さん。ワッハッハと高らかに笑う年配客は当店きっての古参であり、なんと45年間にも渡る常連とのこと。
お通しはお豆腐になめたけをかけたもの。「今日はいっぱい料理しといて良かった!ホラ、せっかく来てもらったのに、ちょこっとしか種類が無いと、つまんないじゃん?」断言しよう、これは酒飲みであり食い道楽の発想である。
12時から時計回りに人参しりしり(?人参の千切り)、野菜の肉巻きチーズ揚げ、おでんのコンニャクと厚揚げ、茄子の煮浸し、サツマイモのポテトサラダ、中央は煮玉子です。

茄子の瑞々しさが記憶に残りました。また、コンニャクにつける山椒味噌が助演男優賞。こういう料理がサっと出てくる家庭がうらやましい。
炭水化物は焼きそば。作り置きのリヒートではありますが、心和む何かがそこにはあります。

「今夜は17時からずっと入れ替わり立ち代わりでずっと満員。お皿洗いが間に合わないわ。またお客さんに手伝ってもらおうかしら」冗談と思いきや、周りの常連客は特に笑うでもなく心を得たりという表情。「このお店ね、お客さんが手伝うのが普通なの。店内に入りきれなくなったらチームワークで外にテラス席まで作っちゃうんだから」と常連客。

お会計の段になり、財布を開くと現金が全くないことに気づき顔が青くなる。ねえ、もちろんカードって、使えないよね…、と連れに相談すると「いいの、今夜は私が連れてきたかったんだから」と私の財布を押し返す。恐縮でございます。ごちそうさまでした。

残念ながらこの辺りは再開発が決まり立ち退きを求められ、現在は新たな物件を探しているとのこと。「閉めちゃおうかとも思ったけど、ここまで常連さんがいたら、あたしひとり勝手に辞めれないでしょ」物理的にも精神的にもみんなで作り上げる酒場。またお邪魔したいと思います。


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私はヒールからスニーカーまでイケるクチです。三ツ星店もいいけど、場末の飲み屋街も魅力的。
おひとり様大歓迎の名酒場100軒を掲載。ひとり客の割合・男女比・ビールの値段などを「酔い処早見表」として整理されており読み易いです。紙媒体だと1,000円近くする本が、Kindleだとたった500円でお買い得!

関連ランキング:割烹・小料理 | 神田駅新日本橋駅三越前駅

ベルジアン ブラッスリーコート ルーヴェン/品川

Belgian Brasserie Court Leuven。品川アトレ内にあるベルギービール主体の洋食屋です(写真は公式ウェブサイトより)。
品川アトレ内レストランのランチは一様にサラダバーを展開しているのですが、当店は食べ放題を実施せず「ヘルシーサラダランチ」というセットメニューで勝負です。
ランチセットに付随する本日のスープ。今回はカボチャの冷製であり、ザラりと繊維が残る食べ応えのある一皿でした。
パンは普通なのですが、バター?マーガリン?がプラスチックのような味で気持ち悪かった。お店側がきちんと試食をした上で提供しているのかどうか、気になるところです。
メインキャストのサラダ。葉物野菜が中心で、大量のキャロットラペにブロッコリー、生ハムと温泉玉子、オニオンフライがトッピングされます。

キャロットラペは正統的な味わいでグッド。全体に施されたドレッシングも美味しく気持ちよく食べ進めることができます。しなしながら生ハムは塊のまま乱暴にトッピングされており料理人としての矜持を感じることができません。

品川のランチで1,000円と言えばこんなものかもしれませんが、美点をイマイチ上手く説諭できないお店です。これならお隣のAW55に行っちゃうなあ。


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品川は心からグルメ不毛の地ですね。気取った店はことごとく割高です。エスニック料理屋は割に納得感がある。

「ハイパーローカルなシティカルチャーガイド」を標榜するオシャレな本。今号のターゲットは品川です。とにかく地元に密着した情報が満載で、グルメコーナーは一見の価値あり。別冊の天王洲アイル特集など、色々と目のつけどころが面白い本です。

月光浴/麻布十番


「今から会えますか?」と近場に引っ越してきた女の子。すぐに当店を予約し先に入店し飲みながら彼女を待つ。20代前半にして既婚者と麻布十番のバーで待ち合わせとは生意気な女である。
「遅くなってスミマセン!道に迷っちゃって!」聞くと自宅から港区自転車シェアリングで麻布十番まで来たとのこと。私もすっかり自転車シェアリングにハマっているのですが、「渋谷区と相互乗り入れしてないのがほんと不便!文京区とか超いらないし!」など、全く同じ悩みを持っているのが何だか可笑しかったです。
フレッシュフルーツカクテルが自慢の店なので、私はキウイを選択。果肉がたっぷりで歯ごたえ抜群。氷が多すぎて冷えすぎており可飲部が少ないのが玉に瑕。連れは運動後なのでビールを所望したのですが、ビンビールしかないとのことでリモンチェッロのソーダ割で代替。
お通し。数ヶ月ぶりにポテトチップを食べましたがやはり美味しいですね。炭水化物と油分と塩分のバランスが悪魔的であり、肥満体の気持ちが少しだけわかりました。

ちなみに客は我々しかおらず、カウンターで会話が筒抜けになるのは嫌なのでテーブル席をチョイス。ゆったりと4人席を2人占めしております。
2杯目はブルーベリー。ドラキュラのような色合いに怯みます。先のキウイに比べると氷がスムージー状態になっておりこちらのほうが断然好き。彼女はウイスキーのソーダ割。なんだか私、OLみたいなものばっか飲んでます。

その時、ガヤガヤとうるさい酔客がソファー席に闖入。バーにそぐわない外見のオッサンどもであり、パカパカとタバコを吸い始め、不愉快きわまりない存在に秒で帰りたくなる。どうしてあんなに汚らしい服装で十番のバーに来ることができるのか。服装に関する無関心は自殺に等しい。万景峰号に乗せて送り返したいところです。
「晩御飯まだなので、少しつまんで良いですか?」と彼女はバーニャカウダを注文。当店は牛タンの炙り焼きやタイカレーなどフードも充実しているのですが、遅い時間には野菜しか食べないその決意。やはり美人とはこうだ。

先のリーマン共にうんざりしていたところ、追い討ちをかけるように隣席に品の無い男女客が登場。大声で「すみませぇええん!」とカウンターの店員に声をかけ心からうるさい。お前は水素水でも飲んでおけ。

パワポがどうのこうのと農奴みたいな仕事の熱弁に始まり、「浮気には良い浮気と悪い浮気があって…」などとウォーズマン理論を展開。我慢の限界に達したのでさっさと支払いを済ませ、逃げるように店から出てきました。
近くのワインバーで飲みなおし。「何ですかね、あの新橋にいそうオジサンたち」と温厚な彼女も少々ご立腹。「隣の男も小太りなくせに浮気とか語っちゃって気持ち悪い」

「あ、もうすぐ終電だ!引っ越しでお金がかかっちゃったから、節約しなきゃ!」タクシーを乗り回す勘違い港区女子と違って、このように地に足がついた感覚は素晴らしい。男の読者のみんなたち、結婚するならこういう女の子ですよ!

「そうだ、今度のデート、楽しみにしてますね!あたし、次の日のお昼ぐらいまで空けてますから」突然血圧が20程上がる。それまでに小太りにならないように気をつけないと。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

関連ランキング:バー | 麻布十番駅赤羽橋駅

雅山GARDEN/麻布十番

麻布台にある米沢牛専門店。ガザンガーデン、と読みます。生まれた瞬間から5キロもあったことで有名な大関雅山とは読み方が異なります。
ランチタイムの口開け11:30に突入。おひとりさまなのでカウンター席に通されました。ディナーはひとりあたり数万円もする高級焼肉店ですが、お昼であれば1,000円程度とリーズナブル。
牛丼を注文。1,000円です。米沢牛の牛丼が1,000円、という響きは人生を豊かにしてくれます。
主役の牛丼。当店で扱うのは3歳までの雌のみに限定。未経産牛は雄よりも円やかな風味であり、なるほど女性的な味わいです。
スープはイマイチ。これなら牛丼とラーメンのセットにすれば良かったなあ。ラーメンのスープは牛テールのスープで深みのあるものらしいのですが、牛丼のスープはよくある普通のすまし汁でした。
紅生姜も普通。味変に用いましょう。
卵も特殊な品質のものではなく、一般的なものでした。
卵を溶いて牛丼に流し込む。確かに上品で美味しい肉なのですが、どうにも味が薄いというかアタックに乏しい。一方でライスの量は1合近くの大容量であり、バランスが悪く感じました。肉と共にある程度ごはんを楽しんでから溶き卵を流し込むTKGスタイルのほうが良いかもしれません。
セットでつくコーヒーを飲んでごちそうさまでした。

米沢牛専門の超高級焼肉屋の牛丼が1,000円で食べることができるという触れ込みには心躍るのですが、事前情報なしでフラットに臨むと満足度は低いかもしれません。ラーメンとのセットだとハーフサイズづつになるので、飽きずに食べることができそうなので、セットものがいいのかな。
それでも駅弁の「牛肉どまん中」が1,250円もすることを考えると、やはり当店のランチは極めてリーズナブルと考えるべきなのか。そもそも「牛肉どまん中」は米沢牛ですらないし

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麻布十番は隠れた焼肉激戦区。突出したお店は無い一方で、優等生が多い印象です。
  • 焼肉 おくむら ←ランチでは都内トップクラスの費用対効果。ハラミが旨いんだ。
  • ブルズ ←半個室なのでのんびりできる。
  • 山本牛臓 ←サムギョプサルが良い。レタスとエゴマはお代わり無料♪
  • おんがね十番 ←ランチだとオイキムチとカクテキが食べ放題♪
  • 鳳仙花 ←老舗の超有名店。
  • 純豆腐 田舎家 ←近日公開
  • 三幸園 ←ランチの焼肉丼が特徴的。
  • 新鮮ホルモン ランボー ←味と量と価格のバランスは十番焼肉業界でトップ
  • 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。