Pont du Gard。銀座の少し外れたところ。橋のたもとにある緑のスペースに面した可愛らしいお店。数年前のひらまつ株主向け食事会において、テーブルを共にした夫妻が「新富町のポンデュガールがすごくいい」と勧めてくれたので、行きたいお店リストに加えていたのです。
フランスのビストロをそのまま移設してきたかのようなキュートな店内。 店名はアヴィニョン郊外にある世界遺産から取ってきたのかしらん。なるほど確かに南仏のワインが多い。酒屋が母体のお店であり、がぶ飲みワイン文化の先駆者です。
やはり初夏にはビール。夏のテラス席で薄暮に包まれながら飲む酒ほど旨いものはない。
「今夜は飲もう!『おかあさんは明日の朝まで帰ってこないからね』って子供たちにも言い含めておいたから大丈夫!」いったい何がどう大丈夫だというのか。
燻さばのポテトサラダにラタトゥイユ。当店は種々の前菜を取り揃えているのですが、相談すれば盛り合わせにもしてくれます。 自由度高し。サバをポテトサラダに練りこむというのは初体験。フラットなポテトサラダにクセのあるサバの旨味が溶け込み、思わずCa va bienと呟いてしまう←つまんねえ
バケットは普通です。
「国内出張だったら、子供連れてっちゃうけどね」なんと斬新なワークスタイル。彼女は結果さえ残せば他には何も言われないという職に就いているため、思いも寄らない考え方に接することができて楽しい。
タコとアボカドのわさびマリネ。これ超旨い。大ぶりにカットされた食べ応えのあるタコに、これまた荒いカットのアボカド。わさび主体のマリネ液が気分爽快。白ワインが進みます。
「樽のきいていないシャルドネ」をお願いすると、ブル白、ローヌ白などいくつかボトルをお持ち頂き、こちらの南仏ワインをチョイスしました。ルーサンヌも混じっているのか、そっけないシャルドネに深みが増し、値段を考えればかなりレベルの高い1本。
田舎風お肉のパテは味こそ中くらいではありますが、iPhone5台分ぐらいの量があります。これで650円はものすごい企業努力やで。
「子供の話なんてつまんないからやめようよ。あたしはキミの話が聞きたいな」ここまで言い切る2児の母に拍手喝采。確かに大して親しくも無いのにひたすら自分の子供の話をする人がいますが、正直リアクションに困ってしまう。自分の子供に興味があるのは自分とその家族ぐらいであり、数字に換えると世界で10人もいないであろう。「他に話題が無いだけじゃない?どんだけくだらない人生送ってるのよ、ってカンジだけどね。生まれてきてくれてありがとう?ハァ?SNSじゃなくて本人に言えっつーの」
ホタルイカとネギのペペロンチーノ。酒を手招きする逸品。もはやワインではなく日本酒が欲しくなる。ホタルイカの苦味とネギのシャキシャキとした歯ごたえ。強めの塩味。本日一番のお皿でした。
メインは 看板メニューのカスレ。カスレとはフランス南西部の豆料理。肉と白インゲンマメを、料理の名前の由来にもなったカソール(cassole)と呼ばれる深い土鍋に入れ、長時間煮込んで作る豆のシチューです。
当店のそれはカルカッソンヌ風であり、自家製ソーセージから溢れる肉汁と鴨の香ばしさが特長的。しっかりとした味付けがワインにピッタリ。先のパスタと双璧をなす美味しさでした。
ワインも合わせて南仏ものを。太陽を感じるボリューム感にしなやかなタンニン。カカオらしきニュアンスもあり、やはり値段を考えると極めて優秀なワインです。うむ、当店は食べてよし、飲んでよし。
彼女のお誕生日が近かったので、バースデープレートを用意して頂きました。 「お祝いされるほどの歳じゃないけれど」と言いながらも頬に赤みがさす彼女。
チェリーパイはゴロゴロとチェリーが埋まっており、強く焼いた生地と共に食べ応え抜群。面白い形状のプリンは綿菓子のような軽さである一方で卵黄とカラメルが主張する。ふたりともかなり満腹だったのですが、あっという間に食べきってしまいました。
河岸を変え、〆にふたりでもう1本。「ふたりで3本かあ、結構飲んだよね。もう横になりたいな。あたしの家、この近くなんだけど」もちろん彼女の発言に深い意図はなく、彼女は事実を述べたに過ぎない。それは状態に過ぎない。
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