ノック クッチーナ・ボナ・イタリアーナ/六本木

KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA。都内に複数お店を構える勢いのあるイタリアンレストラン。今回は東京ミッドタウン店にお邪魔しました。
テラス席が気持ちいい季節になりました。それにしても常連率が凄まじく、客という客が店員と軽口を叩きあっています。常連にはたまらない空間かもしれませんが、ド新規だと居心地の悪さがあるかもしれません。
テラス席にはビールが似合う。今シーズン初のビアガーデン。
古代米のチップス。目の付け所がいいですね、古代米。塩気も強く最初の一口にちょうどいい。
マスカルポーネにゴルゴンゾーラで塩気を加えたチーズの塊。野球ボールほどのサイズであり迫力満点。こんがりと焼いたレーズンパンにぴったりです。もうちょっとパンがあったほうが嬉しい。3人で食べると1人1本しか食べることができないので。
キレのある酸に心地よい果実のコク。爽やかで水のように飲めてしまいます。しかしながら値付けは市価の3~4倍と結構高い。
キャベツのサラダでしょうか、白髪ネギもかくやと思わせるほど細く細く切られたキャベツ。ポテトチップ(?)によるアクセントも良いですね。素朴ではありますが整合的なサラダであり美味しかった。
宮崎鶏もも肉のチョキチョキ焼き。チョキチョキするほど量がなく拍子抜け。味わいも引っかかりがなく、捉えどころがありません。添えられたチリペッパーを山ほどかけてしまいます。
骨付き豚の炭火焼きを350グラム。こちらも味付けが薄く、それでいて素材の味が濃いかというとそうでもありません。脂が重く胃袋が悲鳴をあげる一方で、イチゴの意図はよくわからない。ううむ、当店は北イタリア料理主体で肉料理はお手の物と聞いていただけにガッカリだ。
凝縮感があり甘味を感じます。それでいて酸とミネラルもしっかりしているので、結果的にバランスが良く飲み易い1本でした。ここでやはり気になるのはワインの値付け。酒屋の5倍近いです。
〆の炭水化物。カラスミがたっぷりと塗されており金色に輝いています。これは美味しいですねえ。パスタそのものの味、茹で加減、塩加減。いずれも文句のつけようがありません。銀座しまだのインチキからすみ蕎麦とは格が違います。

ということで、パスタが美味しいお店でした。となるとランチで充分という気がしないでもない。ワインは値付けは高いものの、絶対値としては4,000円代から用意されているので、夜にフラっと立ち寄り軽くつまんでワインを飲んでパスタで〆るという使い方が良いでしょう。
連れの胃袋にも隙間があったのが、「銀だこ食べたい!」と腕を取られ連行される。ひとり1,000円づつ出し合い、3,000円の原資が尽きるまで2次会を継続することに。
やはり銀だこは旨い。「たこ焼きは大阪」と妄信している方が多いですが、全然そんなことないですからね。むしろ大阪のたこ焼きは東京に比べてレベルが低いような気がします。18歳で上京して間もない頃、銀だこを試す機会があったのですが、その時の感激を今でも覚えています。こんな旨いたこ焼き、今まで食べたことが無い、と。

もちろんその美味しさの理由は材料費に拠る部分が大きいでしょう。東京のたこ焼きはとにかく高い。例えば銀だこだと1粒100円近くします。冷静に考えるとマックのハンバーガーと同じ価格です。大阪には10粒100円という破格の値段でたこ焼きを提供する店もあり、ここまで来るともはや別の料理なのでしょう。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。

どこかにマイル第2弾/鳴門(徳島)


JALが全員を幸せにする仕組みを開発」につき、第1弾として由布院に行って参りました。キャンペーン期間はまだ続き、今回は徳島・北九州・帯広・秋田の4都市からのランダムチョイス。本命は北九州だったのですが、第2希望の徳島へ何とかお連れ頂くことに。

■大塚国際美術館/鳴門(徳島)
大塚製薬グループの創業75周年事業として1998年に開設された、陶板複製画を中心とした美術館。世界25ヶ国・190余の美術館が所蔵する西洋名画1,000余点を、オリジナルと同じ大きさに複製し展示する陶板名画館です。
入ってすぐにはシスティーナ礼拝堂がお出迎え。いいですね最初にして最大の見せ場を持って来るいきなりステーキ感。
スクロヴェーニ礼拝堂は実物を見たことはないのですが、レプリカながらも圧倒的な説得力があります。当館で予習しお気に入りを見つけ、その後現地に赴くという楽しみ方がここにはあります。
陶板だけでなく、植物や空間とのコラボも面白い。公共施設のなあなあな美術館と異なり、大塚ファミリーが趣味でやっている私的施設であるため、拘り方に哲学を感じます。
ただしあまりに広く展示品も膨大であるため、順路を進んでいくうちに脱落していく人が多数見受けられました。序盤の古代はガヤガヤとうるさい団体ツアー客が幅をきかせているのですが、終盤の現代美術に至ってはガラ空きです。
入場料3,240円は美術館としては非常に高価ですが、その価値は充分にあります。また、「複製?しかも陶器に?」と疑わしげな方についても、そこに行かなければ見えないものがあるということを気づかせてくれる驚異の美術館。オススメです。


■カリフォルニアテーブル/鳴門(徳島)
日本においてはトップクラスに魅力的な雰囲気を提供してくれるお店でランチ。詳細は別記事にて。


■ホテルリッジ/鳴門(徳島)
大塚が手がける10室のみのスモール・ラグジュアリー。やはり1泊10万円を超えてくると凄みがあります。詳細は別記事にて。


■ホテルリッジ(夕食)/鳴門(徳島)
東京の1ツ星店と比べても遜色なく、ホテルの風格に相応しい料理たち。詳細は別記事にて。


■ホテルリッジ(朝食)/鳴門(徳島)
朝食は産地に拘った素材を駆使。鳴門の旬に最高の「じそくじきゅうみたいな取り組み」を楽しむことができます。詳細は別記事にて。


■あらし/なると(徳島)
天然の真鯛をここまで気前良くカットする店は世界でここだけではかなろうか。鳴門海峡でもまれたマッチョな肉質に適度な脂。春期における鳴門の真鯛は絶品。詳細は別記事にて。


■ボートレース鳴門/鳴門(徳島)
ランチ後ぶらぶら歩いていると、ピッカピカに頑丈で巨大な建物に大量の花輪。ボートレース場であり、初出場する選手へのお祝いのようです。モノは試しと100円の入場料を払って潜入。
ルールが独特で面白い。使用するボートは抽選で決まり、出走までのメンテナンスは選手自ら行うため、操舵技術だけでなくエンジニアとしての力量も問われます。

レース前に練習の成果とマシンの調子をファンにプレゼンテーションし、その展示を見てからファンは予想を開始します。
スタートはヨーイドン形式ではなくフライングスタート形式。スタート10秒前から全艇がスタートラインへ加速をつけて進入し、スタート時刻0秒から1秒の間にスタートラインを通過するのが選手の義務です。フライングまたは出遅れた艇は問答無用で失格。関連する舟券は全額払い戻しという潔さ。このようなスタート事故を起こした選手には厳しい制裁が待ち受けており、即日帰郷の末、一定期間の出場停止が命ぜられる場合もあるそうな。

もちろんコース内側が有利であり、ピットを出てからスタートまでの間は内側コース取りの争いが生じるのですが、そうすると自然と助走距離が短くなり、威勢よくスタートを切ることができない。それを嫌ってコース取りには参加せず、思い切り後方から全速でスタートを飛び出す艇もいたりと、駆け引きが面白い。

6艇しか出場しないので、自然と的中確率は高くなる。意外に初心者がすぐに楽しむことができるギャンブルかもしれません(画像は「BOAT RACE OFFICIAL WEB SITE」より)。


■妙見山公園/鳴門(徳島)
渦潮を除くと鳴門の観光地は少ない。「妙見山公園」というのが観光地としてネットに散見されたので行ってみると、思いのほか小高い丘の上にあり、不意のハイキング。
山の頂上には立派な城があり、はて?鳴門に城なんてあったっけな?とじっくり見ると、「トリーデなると」。鉄筋コンクリート造りの展望台でした。おふざけも度を超すと爽快感すら感じられます。
場内の壁には「ナルスタグラム」と称して、鳴門の観光地のインスタ投稿を集めたパネルが展示中。鳴門は今日も平和です。


■いのたに/鳴門(徳島)
https://tabelog.com/tokushima/A3601/A360102/36000075/
徳島屈指の有名ラーメン店。新横浜ラーメン博物館に出店していたこともありました。オペレーションが変わっており、前払いで(食券機ではない)店員からチケットを買った後にコの字テーブルへ着きます。
おろろ?イメージしていた徳島ラーメンと全く異なります。どちらかというとクリアな醤油ラーメン寄りであり、トンコツの暴力性はほとんど見当たらず。生卵は別料金であり、限界まで火が通った肉からは旨味が抜け切っています。麺も特長に乏しく、心を満たすことはできませんでした。


■あそこ食堂/鳴門(徳島)
https://tabelog.com/tokushima/A3601/A360102/36000895/
写真家の中野晃治氏が「自らのうどんに対する既成概念を根底から崩され、どんぶりを前にアタフタした」と大絶賛する鳴門のご当地うどん。が、極めて普通のうどんです。麺の太さが不揃いなだけでありコシは皆無。讃岐うどんと同列に語ろうとするには無理がある。
ちなみに当店はオカズやおでんが大量に陳列されており、セルフサービスで食べ放題払い放題。冷蔵庫には刺身もたっぷりとあり、地元のおっちゃんがスタバ代わりに昼飲みを楽しんでいました。
お会計を済ますと店のおばちゃんからサービスでお土産を頂きました。鳴門金時をふかしたものでしょうか、繊維質がたっぷりで甘味は控えめ。お世辞抜きで美味しく頂けました。


■鳴門駅/鳴門(徳島)
〆は鳴門駅近辺をウロウロしてみようと思い向かってみると、想像を絶する寂れ方でした。私は地方のスーパーの取り扱い品目とその値段を比較するのが密かな趣味なのですが、唯一見つけることができたのはチェーンのドラッグストアのみ。鳴門駅から空港へ向かうバスは1時間に1本であり、その待ち時間を潰すにはあまりに力不足。今後、公共交通機関を用いて鳴門へ行かれる方はお気をつけ下さい。


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国内旅行もすごく大事にしています。なんてったって安い。ハワイばっかし行くんじゃなくて、日本の名所と美食を巡る旅も中々のものですよ。
日本を代表する名所やグルメなど1,000スポットを一挙掲載。とにかく写真が美しく、旅への意欲が掻き立てられます。この本であたりをつけて、個別のガイドブックやネットで調べるのが通な計画。

関連ランキング:魚介・海鮮料理 | 鳴門駅撫養駅

すし初/湯島


「もうすぐ夏だし、そろそろすし初行こうか」と大学時代の先輩よりお誘い。毎度毎度そうですが「もうすぐ夏だし」に特に意味はありません。
お通しはシイタケを炙ったもの。ロブション以来、温かいお通しがマイブーム。
ジャガイモのすり流し。和風ビシソワーズもかくや。滑らかであり、実によく練られています。貝の旨味も良いアクセント。
「そうそう、タケマシュランのことを知っている子が今夜来るかもしれない」と店主。すわ新手のストーカーかと身構える。和光同塵をモットーとしているのにまた見つかってしまったか。変な人じゃないといいのだけれど。
かき揚げは空豆と長芋、セロリ。セロリに全く臭みが無く、セロリ嫌いに食べさせてあげたい程キレイな味。長芋のホクホク感と空豆の青々しさよ。
ガラリと引き戸が開き、のれんの奥から私のことを覗き込む女の子。「やっぱり」と店主。「初めまして」と私に頭を下げる女。どういうことだ。
我々はスペシャルコースをお願いしているので、お刺身は2皿です。まずは白組。タイ、イカ、ヒラメ、甘エビ。初夏を感じさせる爽やかさであり、殊にタイが記憶に残りました。
決まりが悪そうに私に近づく彼女。「あの、去年の今頃、LAで、、、」おおー、タケマシュラン・ファン感謝祭インLAのことですね。確かにお話はよく伺っていました。急な用事で来れなくなったんだよね。
バイガイ。タコヤキ大のポーション。こんなにデカい貝があるか?濃い目に煮られたその味は日本酒を一網打尽。肝を口に含み日本酒で流し込む至福のひと時。
「初対面ですけど、気持ち的には偶然の再会が果たせた感でいっぱいです!」遅れてきた彼女の兄夫婦も含め、謎の貸し切り宴会の始まり始まり。
タイラガイを素揚げしたもの。大ぶりで歯ごたえ抜群。程よい揚げ具合がサクサク感を演出。海苔の磯の香りと共に酒を楽しむ。
5人が初めましてなのは間違いないのですが、それでも魚心あれば水心。カウンターで横一列に酒を酌み交わせばあっと言う間に10年来の飲み仲間。一視同仁などという言葉は欺瞞であり、やはり文化的背景が似通った人々と接するのが一番である。
お刺身の赤組。マグロが特に素晴らしいですね。品の良い鉄分に滑らかな脂。舌の上で流れて消え行く魚の旨み。カツオもちょうど良い季節。赤身とタタキの2種類を楽しむことができるのが嬉しい。
ちなみに私を除けば今夜の客は全てが商社マン。商事・物産・伊藤忠が出揃い、思わず住商を呼びたくなる。
太刀魚は背骨を中心に分厚く二段重ね。この迫力は猫に嫉妬されるほど。
今夜の仲間は私の友人の夫と同期であったり、週1ペースで飲んでいるご近所さんが先輩だったりと、共通の知人が多い。ちなみに私の飲み仲間の女の子は「会社で一番の美人」とのことでした。私の目の付け所はさすがである。
金目鯛はふたりで丸々一匹を食す。煮付けではなくサッパリとした調理がこの量を食べるにちょうど良い。金目鯛、好きだなあ。
而今。この酒の旨さは語るに及ばず。
私の連れは青葉台に一軒家を買ったばかり。写真を見せてもらうとウッドデッキが特に眩しく、近々のBBQを約束する。兄夫婦を見遣ると一軒家を買うべきかマンションを買うべきかで論争中。「だって、一軒家だと、24時間ゴミ出しできないじゃん!」日本は実に平和である。
シャケをワサビで食べるという試み。なるほどシャケは元来淡白な魚ですからワサビもきちんと合いますな。力強い脂を日本酒で飲み下す。ゴハンと一緒でなくオカズのみで食べ切る背徳感。贅沢は価値だ。
にぎりへ突入。怪しく輝くトリガイ。実に逞しい歯ごたえであり、お腹が空いたときのために歯茎の裏側あたりに忍ばせて置きたいレベルです。
冒頭の女の子に、ところで何処に住んでいるの?と尋ねると。恥ずかしそうに「あ、寮、なん、です、、、要町、、、」
身が締まり甘みのある白身がある。先のお刺身とはまた違った趣に溢れています。
大好物の海老。当店の海老のにぎりは特大サイズであり、一口ではおさまりません。黄味酢の誂えも見事であり、このとき私は幸せの頂点にいました。
しかし要町はNGである。平たく言うとダサい。ダサいというか、「要町の寮に住んでる」などと言われると、いつどこにどうやってデートに誘い出せば良いのかサッパリわからない。
連れは満腹でにぎりから脱落。しかも「ワリカンでいいから好きなだけ食え」と、写真を焼き増しして配る程の気前の良さ。舌で踊るホタルイカの苦味と旨味。日本酒は当然におかわりである。
ヅケはマグロの官能性を上手に引き出してあります。ほのかな酸味と甘味のバランス。
スジヌキは脂肪という名の蠱惑的な吸酒鬼。上質な乳製品を思わせる甘さ。
イクラも調子の良い漬かり具合。一粒一粒が輝いており、糸を通してブレスレットにしたいほどです。
アナゴはふっくらと炊きあがり、それでいてクドくない。ムシャムシャという表現が適切なほど肉厚です。
アカガイで磯の香りのスマッシュを決める。その外観は花びらのようでもあり、コリコリとした歯ごたえと共に幸せに入り浸る。
ところで今夜も多種多様な日本酒を楽しむことができました。やはり当店は酒を出す本人が料理を熟知しているのがいいですね。フランス料理もこういうスタイルが流行ればいいのだけれど。
密度の濃いギョクで胃袋を閉じ、ごちそうさまでした!
さて要町問題。最初は仲良くなれるかと思いましたが、やはり私の生活圏内からはかけ離れています。色々考えたけれど要町はちょっとダメだ、今夜限りにしよう、と彼女に絶交を通告。傷は浅いうちに対処する。
「あの、それならあたし、引っ越します!十番とか広尾とかならいいですよね?」こうしてまたひとつ、おにまるの座席が減っていく。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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