「傘忘れちゃってさ」と、昨日の全天候型花見大会の忘れ物を取りに来た女の子。手土産のマッタホーンを目ざとく見つける私。こんな忘れ物ならいつでも大歓迎だ。
日が暮れようやく二日酔いがおさまったころ、タイミングを見計らったかのように「今日は忙しい?軽く行かない?」と近所のソムリエールよりお誘い。ちょうど成城石井からの10%オフクーポンも送られて来たため宿命的なものを感じました。
Mirabella Saten, Franciacorta。クリーミーで持続性のある細やかな泡立ちに完熟した果実の香り。ドライで滑らかな口当たり。バランスの良いミネラルと酸味。しかも店で飲んで3,980円(しかも今夜は10%オフ!)という値付けは驚異的な安さ。値付けを間違っているのではないかと思わず心配になります。
「ねえ、あなた十番の店、詳しすぎじゃない?友達から『十番で検索したら全部タケマシュランにヒットしてわろてる』って連絡まであったんだから」確かに評判の良いお店は片っ端からお邪魔しています。ただし幸村だけは未訪問。事情があって私は行く前から予約お断り状態なので、どなたかお連れ下さい。ご馳走してくれるとさらに嬉しいです。
お通しのパン。夕方のヘンな時間に納豆ごはんを食べてしまったのが悔やまれる。
「あたし、インポーターに転職する。フランスに行くね。キミのこと忘れないから」少し前からお話は伺っていましたが、素晴らしい決断です。サービスとしての経歴だけを重ねるよりも、別の視点が加わることにより説得力が増す。
オリーブオイルは2種。いずれも太陽を感じさせる溌剌とした味わいでした。
「急にやらなきゃいけないことがバタバタ増えちゃって気が狂いそう」飲まなきゃやってられないわ、と長い睫毛を伏せる彼女。こういう時に声をかけてもらえるって嬉しいですね。
真ダコのカルパッチョ。カバーガラスのように薄くスライスされたタコの食感が見事。塩とオリーブオイルのわかりやすい味付けに、フライドオニオンの甘味がちょうど良い。こんな皿が1,000円かそこらで食べることができるのだから、東京は懐が深い。
「こんな大事な時なのに風邪気味でさ。だから今夜はアルコール消毒」と片目をつぶる仕草が実に婀娜っぽい。
シャルキュトリの盛り合わせはハーフサイズでこんなにも沢山。専用のスライサーでスライスされたばかりの生ハムは絹のように薄く繊細。脂と酸素が溶け合い抜群の甘味を引き出します。
あっと言う間に閉店の時間が近づきお会計。「あたしが誘ったんだから」 と伝票をひったくろうとするソムリエール。「もうお店に出るのは今週だけだから、最後に会いに来てね」行けばいつでも笑顔で出迎えてくれた彼女。もっと通い詰めておけば良かったと臍を噛む。
帰り道、網代公園の桜の美しさに思わず立ち止まる。「フランスから戻って来たらまた連絡するね。急な連絡だったのに、今夜はありがと」桜の切れ目から見える完璧な円形の満月が眩しい。彼女の未来も輝かしいものとなりますように。
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麻布十番にはフランス料理屋がたくさんあるのですが、残念ながら割高でハズレなお店も多い。外さない安定したお店は下記の通り。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ALLIE ←ワインという食事の知的部分を担うソムリエの重要性を再認識させてくれるお店。
- ラリューン ←クラシックな調理で正統派。むちゃ穴場です。
- 麻布れとろ ←ここで合コンすれば幹事がモテる(と信じている)。
- RRR ←ワインが割安。飲みまくれ!
- ルバーラヴァン52 ←全般的に安い。2時間で追い出されるのが玉に瑕。
- ブラッセリートモ ←和魂仏才、リーズナブル!
- タストゥー ←トリュフを使ったデザートに身悶え。
- 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!
ル バー ラヴァン サンカンドゥ アザブ トウキョウ 麻布十番店