オザミトーキョー/丸の内


ワインをリーズナブルに提供するオザミグループ。そのカジュアルラインであるAUXAMIS TOKYOが丸ビル35Fに出店。
期待通りの抜群の眺望。我々はたまたま良い席を確保できたのですが、夜景の見えない席であれば少し印象が異なるかもしれません。
シャンパーニュで乾杯。気前良くたっぷり注いでくれるので嬉しくなります。
前菜はイワシのマリネに白インゲン豆、トマト、オリーブ、エシャロット。白ワインビネガーの酸味が心地よく気分爽快。シャンパーニュとの相性もばっちりです。
バゲットは超普通。
ズワイガニとセロリのピュレにターメリックをきかせ、フヌイユをアクセントに添えたもの。魚介のエキスが濃縮されたスープが滅法旨かった。

ただ、「ターメリックとはスパイスの一種でカレーに良く使われる…」とターメリックについての解説に一生懸命なのですが、フヌイユ(フェンネル・ういきょう)については一切触れることは無いという、説明の力の入れ所がズレているような気がします。
スペシャリテのフォアグラのパイ包み。フォアグラ自体は意外にあっさりとした個体であるものの、共に詰め込まれたホロホロ鳥の淡白さと相俟って絶妙なバランスを見せてくれました。他方、ソースはトリュフの香りが凝縮されており、肉とソースの濃淡がはっきりしていて非常に美味しかった。
ボルドーのメルロ主体。グラスで1,100円という割にしっかりとした酒躯体でお値打ちです。
マダイ。これはイマイチ。魚の味がスカスカ、かつ、あっさりとした味付けであり、フォアグラのパイ包みの後を務めるには力不足。
シャルドネは上々。これもグラスで1,000円と少しだったはず。やはり当店はワインの割が良いですね。
メインは黒毛和牛ランプ肉。悪く無い調理であり、ソース・ボルドレーズについては見事な出来栄えなのですが、肝心の肉質がイマイチ。もう少し値上げをしてその分を食材に費やさないと、レストランとしても色々ともったいない。
せっかくなのでソースにあわせてカロン・セギュールのセカンドを。メルロの比率が多いのか非常にまろやかに感じました。赤系ベリーやスミレの香りが広がり、味わいはエスプレッソやカカオのようにビター。しっかりと続く余韻。本日一番のワインです。
デザートはチョコテリーヌにグランマルニエのアイス。濃厚でしっとりとしたチョコレートがジンワリと胃袋に響き大好きな味わい。グランマルニエもこってりとした甘さに程よい柑橘の香りが官能的で、シンプルながら好きなタイプのデザートです。

この時も「チョコレートはヴァローナ社のもので!」とひたむきに説明してくれるのですが、ヴァローナのクーベルチュールなんて別に珍しくも何ともないのにどうしてこんなに熱っぽくなるのか不思議でなりませんでした。そんなことよりもグランマルニエの味の方向性(オレンジ風味)について触れるべきだと思います素人に対しては。
コーヒーはバゲットと同様に普通でした。

お会計で一悶着。サービス料と消費税の計算方法が誤っていたのでツッコミを入れると、「そんなはずはない」と反論があり、いいからもっぺん裏で計算してみ、と諭す。数分後に「申し訳ありません」と、やはり私が指摘した通りでした。俺の暗算力なめんなよ。

このような状況で客が指摘するのは相当な勇気を要していることを鑑みて、反論せずに黙って一度再計算すればいいのに。ずいぶんと乳酸が溜まったフィナーレでした。

ちなみにレストランでの食事において、伝票をジロジロ見るのはカッコ悪くてケチ臭いという風潮がありますが、かなりの確率(日本で1~2割、海外だともっと)で誤っているので、堂々と確認したほうが良いですよ。「なんかちょっと割高だなあ、もうこの店来ることはないかな」となっては、客にとってもお店にとっても不幸なことですから。

ワインがリーズナブルで、飲みに来るには最高のお店です。調理のレベルは高いと思うのですが、先に述べたとおり直接材料費をもっと上げたほうが客も料理人も幸せになれるような気がします。今のところシェフの技術力でなんとか補えているという印象。

サービスについては首を傾げるシーンが何度もあったので、一度きちんとした人が監督して欲しいなあ。ちょっとしたキッカケで劇的に素晴らしいお店に生まれ変わるりそうな気がするのだけれど。


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