荒井商店/御成門


たまには趣向を変えた料理を食べようということで、ペルー料理。ペルー料理は1年以上前に麻布十番のインティライミに行ったきりご無沙汰しておりました。
シェフは「オテル・ドゥ・ミクニ」出身。フレンチを学んだ後に単身アメリカ大陸に渡り、南米ペルーで1年間修行。2005年に「荒井商店」をオープン。
ペルーの地ビールがたくさん取り揃えられています。私はキヌアで造られたモノをチョイス。ヴァイツェンのような甘味と果実味があって好みです。
チフレ。エクアドルのバナナを薄切りにして揚げたチップス。一口かじると驚愕。全く甘くないんです。むしろ塩気がきいて最高のツマミ。これはカルビーあたりに製品化して欲しいところ。
セビーチェ。ペルー料理の代表選手。魚介類のマリネです。ブツ切りの真鯛にたっぷりの玉ねぎ。柑橘系の酸味が豊かであり前菜に最適。ジャイアントコーンをこのような形で食べるのは初めてであり、モチモチとした食感がクセになる。
カウサ・レジェーナ。マッシュポテトにほんのりと辛いソースをかけ、ゆで卵とオリーブで飾りつける。エキゾチックな辛味の正体はアヒ・アマリージョという名の黄色唐辛子です。ただし平たく言うとただのジャガイモなので、味についてはまあいわゆるジャガイモ味です。
ペルーのスパークリングワインを注文。TACAMAとはペルーにおける巨大飲料企業であり、日本で言うところのサントリー的な会社とのこと。味は若干の苦味が残り値段相応というところでしょうか。
こちらもセビーチェ。骨付チキンの煮込み(cebiche de pollo)です。フランス料理の鶏肉のレモンクリーム煮に酷似。ホロホロと煮込まれたチキンにたっぷりの玉ねぎ。タレというかスープというか、レモン風味がきいた汁がとにかく美味しく、簡素な料理ながら心から美味しかった。

ライスは香り豊か。煮込みスープの爽やかな香りと相俟って、鶏肉はなくともおじやのように食べても絶品。トウガラシのソースも付随し味変しながら本日一番のお皿でした。
ロモサルタード。牛肉と野菜の炒め物です。野菜だけでなく、フライドポテトがたっぷり入っているのが特徴的。

醤油ベースの味付けで中華料理のようでもあり、日本人ならかならず好きな味でしょう。ブラインドで食べればペルー料理と答えられる日本人は少ないはず。一方で、トマトが幅をきかせているのが印象的。独特の酸味が料理全体をまとめあげ、先の鶏肉と同等に見事な肉料理でした。
ピカロネス。ペルーの伝統的なスイーツです。サツマイモやカボチャ主体で造られたドーナツ。小麦粉主体のものよりもムッチリと弾力が感じられます。ただしデザートとしては重たすぎ。チョコレートソースも強引な味わいであり、繊細なスイーツを好む私の趣味には合いませんでした。

素直に美味しいお店です。ペルー料理とは特殊な料理でも何でもなく、ジャンルの壁を超えた味覚のある料理であると気づくことができるお店。ちょこっと高いのが玉に瑕。もう少し積み増せばベポカのようなシャレオッティ系ペルー料理に手が届くことを考えるとあと1~2割安くして欲しい。

興味を持たれた方はまずはランチ。骨付チキンの煮込みのプレートランチが1,000円以下で楽しめるのでお試しあれ。
シェフがレシピ本を出版されていました。おそらく日本においては唯一無二のペルー料理本。盛り付けがとにかく美しく、思わず写真に見入ってしまいます。食材の入手先まで懇切丁寧に詳述。ペルー料理づくりにトライしたい方は必読の書。


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