今月のグラグル部。本日は初期メンの夫妻とカップルがもう一組で開催です。会場は広尾のアラジン。「料理の鉄人」において勝率8割高を誇る坂井宏行を鶉料理で打ち破ったジビエの達人は「日本のジビエはフランスの真似事に過ぎない」と鼻息が荒い。
泡のボトルは8,500円と、このクラスのレストランとしてはリーズナブル。それにしても昨日の19時からシャンパーニュしか飲んでいない幸せ。
最初にクッキー(?)が出されました。フォアグラの香りとバターのコクが通じ合いコレ単体では美味しいのですが、初っ端からマッタリとし過ぎてお腹が膨れてしまう向きもあります。
北海道産の肉厚なホタテをセップ茸と共にキャベツで包んだもの。ホタテはやや火が通り過ぎる嫌いがあるものの、素材の味が引き立ちます。ソースの酸味が良い。ポーションも確立されており、今何を食べているのかはっきりと理解できる料理でした。
連れはカリフラワーのムースにキャビア。これは凄い。絶対的なキャビア量としては先日のロブションを凌駕するのではないか。
パンは普通なのですが、バター代わりのリエットが秀逸。量もケチケチしておらずたっぷりと塗りたくり放題。ひしひしと伝わる北島亭感。やはりこの世代、すなわちコートドールやヌキテパあたりのシェフの料理は直線的で大好きだ。
限定食材のオマール。そう、当店は食材の仕入れが限られており、「オマールは5食、カリフラワーは2食…」のように煽ってくるので、どうしても自由に食べたい場合は開店と同時の時刻を予約しましょう。
料理は味噌が素晴らしく一日中舐めていたいほどの濃厚さ。パスタはグズグズとして好きじゃなく、身の調理もやや強引に感じたのが残念。
メンバーが追加した毛ガニのロワイヤル。これもまた濃密で濃厚。人の皿ながら思わず舌なめずりしてしまいます。
皆、ボリューム感のある魚料理をチョイスしていたのでワインにも負けず劣らずの力強さを求めます。Domaine Bouchard Pere et Fils Meursault Les Clous。コッテリとした樽の味わいが舌に迫る。海老料理にピッタリ。値付けも良心的で、すっかり恋に落ちてしまいました。
スペシャリテの鶉のオーブン焼き、ワイルドライス詰め。おお、「料理の鉄人」で観た料理が目前に。立ち込める脂の香りとカレーの風味。表面こそパリパリと印象的なナイフの入りですが、コンドームのように薄く弾力のある皮の旨さと言ったらない。モモ肉からライスに至るまでの食感のグラデーションにも大昂奮。鶉の繊細な味わいとキノコの野性味、ダイレクトな味付け。これは間違いなく本物のフランス料理です。旨い!
連れは鴨を選択。野性味溢れる香りがプンプン。鶉に比べると量こそ少ないものの、その凝縮感は想像に難くありません。
鴨の付け合わせであるグラタンも嫉妬するビジュアル。ううむ、この店には何度でも通い詰め、あらゆる料理を食べてみたい。
デザートにはリンゴの薄焼きタルトを選択。ふくよかなリンゴの甘味と爽快感。リッチなバニラアイスクリームも極上品。
礼儀正しいコーヒーも外しません。
ドライフルーツや
小さい焼き菓子もご用意下さいました。いずれも派手さはありませんが、本質的に美味しい。最後の最後まで大満足。
奇をてらった最先端の科学技術や絵画のような現代料理とは一線を画し、質実剛健であの日あの時あの場所で何を食べたかの記憶がハッキリと残る料理です。季節とテロワールに寄り添うひたむきさ。シェフのフランス料理に対する精神性に敬服。また必ずお邪魔したいと思います。
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