マリーナベイ・サンズ/シンガポール

MARINA BAY SANDS。SMAPが出演したソフトバンクのCMで一躍有名になったホテルです。初めてあのCMを見た時は度肝を抜かれましたねえ。完全にCGと思いきや実在するホテルだとは。
さて今回、ああいうIR型の化け物建造物を日本にも作りたいと勝手に私は企んでおり、その視察として当ホテルに宿泊することにしたのです。タワーは3本あり南から123の順。
タワー3の車寄せに停めてもらい、荷物を預けます。2,500室ものホテルで荷物預けて迷子にならんのかいなと不安になる(この写真はタワー1のもの)。
チェックインカウンターに行列は無かったのですが、部屋の割り当てがうまくいかないらしく、スタッフ全員が頭を抱えながら慌しく端末を操作します。この時点で不安度マキシマムザホルモン(この写真はタワー1のもの)。
私はタワー3のチェックインカウンターで手続きを行ったのですが、結局割り当てられた部屋はタワー1でした。タワー3で荷物を預けてチェックインして、酷く時間を要しながら結局割り当てられたのはタワー1。。。ちゃんと荷物届くんかなあ。
エレベーターで18階へ。外観とは裏腹に内装はそっけないです。金太郎飴形式の分譲マンションのそれに近い。
通路から下を望む。
部屋は想像以上に広い。50平米近くありました。ただし、リッツのように夢のある家具配置ではなく、伝統的なホテルのそれです。
テラスがついており、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイが一望。これは気持ちいい!夜景が楽しみじゃ。
バスルームの広さも充分。卵型の浴槽が可愛らしいです。
アメニティは名だたるブランドのものではなくオリジナル。漢字で表記されているのが若干のテンサゲポイント。
トイレも広い。1畳近くあります。
クローゼットも充分な大きさ。セキュリティボックス、アイロンとアイロン台、ドライヤーなど必要なものは一通り揃っています。
冷蔵庫は取り出すと自動的に課金される方式。間違って取り出さないように注意しましょう。

さて、この時点で1時間経過。懸念していた通り、待てど暮らせど荷物が届きません。こういう直感はあたるものである。持っているのは財布とケータイとパスポートのみであり、そのケータイの電池も刻一刻と減っていく。充電したいが充電器はカバンの中である。

デスクに電話し、1時間経っても荷物が届かないんだけど、と伝えると「すぐにお調べして折り返しお電話差し上げます」とのことだったのですが、さらに30分経っても何の音沙汰もありません。重症かよ。

業を煮やして再びデスクに連絡すると、「すぐにお調べして折り返しお電話差し上げます」と同様の回答。そこから30分経ってようやく荷物が届きました。

荷物が届くまで合計2時間以上かかりました。全くどうなってんだこのホテルのオペレーションは、とブツブツひとりごちながら荷解きしていると、日本人のとっても偉いマネージャー(?)から電話。

「お詫びとしてフルーツ・バスケットをお届けに参ってもよろしいでしょうか?」との申し出でした。超いらない。もう夕食に出かけるので切っていいですか?とあしらうと、「それでは2時間お待たせしたのでチェックアウト時間を2時間遅らせて頂きます」とのことでした。はあ、ずいぶんと的外れなお詫びだこと。このままでは何の解決にもならずホテルのためにも良くない、と意を決し、いくつか質問することに。

通常であればどれぐらいの時間で届くのか?と訊ねると「10〜20分」との回答。それではなぜ今回は2時間以上かかったのか?「荷物を管理するバーコードが正しく処理できなかった」。なぜ正しく処理できなかったのか?「システムでエラーが出たから」。なぜシステムでエラーが出たのか?「申し訳ありません」と、これ以上話しても無駄と判断し質問打ち切り。

このサービスレベルではとてもビジネスでの利用はできないですよ、と結論だけをお伝えし、『タケマシュラン・ブラックホテルリスト』に名を連ねることになりました。
夕食時に在住者にこの話をすると、「知り合いが何人かMBSで働いているけど、離職率がめちゃめちゃに高くて、サービスレベルが安定しないみたい」とのことでした。

また、最終日にディナーを共にする大先輩は「俺も日本から要人を迎えた際にチェックインに30分以上かかった。2度と使わない」とのコメント。

当ホテルの従業員の名誉のために言っておくと、彼らひとりひとりの能力は決して低いわけではないと思います。そもそも2,500室という並外れて巨大なホテルをそつなくこなすこと自体がムリゲーなんですよね。

偉そうに色々と述べていますが、じゃあお前やってみろよと言われても上手く管理する自信は全くありません。私はリッツから移って来たばかりだからそのサービスレベルの差を過度に感じてしまいましたが、じゃあリッツのオペレーターなら2,500室を回せるのかというと、それもまた違うでしょう。

つまり、当ホテルのコンセプトが決まった時点で「勝負あり」なのです。多すぎる客室数はどこかで必ずボロがでる。全てを完璧にすることはできない。銀の弾丸など無い。このような事態を予見していながら予約を入れた私にも非があります。アナハイムのグラカリ(1,000室)でも同じ目にあっているというのに学習しない私。
ちなみに当ホテルのウリである「インフィニティ・プール」は早朝は空いていて快適なのですが、日中は他人と肌が触れ合うほどの混雑ぶりであり、泳ぐなどもってのほか。
1泊4万円以上するホテルなので、客層もそれなりに安定していると期待していたのですが、人種の別なく低俗な騒ぎ方をする客が多く、気分はかなり落ち込みました。このホテルの美点は外観だけです。
フィットネスルームからの眺望は素晴らしい。下界を眺めながら運動に勤しむ爽快感と言ったら無い。
ただし広さおよび器具の充実度合いには不満です。リッツは608室と4分の1の規模であるのに、MBSの倍ほどの広さおよびマシンの数でした。

と、ここまでコテンパンに書いてしまいましたが、人に拠っては使い勝手の良いホテルだとも思います。何しろ世界最大のカジノが併設されているので、ギャンブル客にとってはたまらん立地。また、とんでもなく大きいMICE施設(ビッグサイト的な展示会会場)も備えており、イベントに参加するビジネス客を一手に引き受けることができるという意味では意義のあるホテルでしょう。

上層3フロアだけをホテルとして残し、プールなどの設備はそのままでスモール・ラグジュアリー・ホテルとして生まれ変わって欲しいな。何ていっても、ハコ自体は画期的かつ圧倒的なのだから。


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シンガポール目次

シンガポールはどのようにして国力を高め、国際的なステイタスを上げているのかが整理されています。防衛・外交・労働・経済・教育・環境・農業・情報・交通について網羅的に知ることができる名著。

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MARINA BAY SANDS旅館 / マリーナ・エリア)
夜総合点★★☆☆☆ 2.0