ワタリガラス/東別院(名古屋)


翌日朝に名古屋で用事があったので前日入り。名古屋の名門、名古屋東急ホテルは日月限定で9,000円で泊まれるプランがあるのでお得です。
しかし日中は特にすることは無いのでフィットネスクラブで2km泳ぐ(写真は公式ウェブサイトより)。他に客が全くいなかったので貸切状態で優勝した。
たんぱく質の補給に「ワタリガラス」へ。東別院駅より徒歩8分ほど。こちらも貸切状態でした。
ところで、名古屋の西欧系料理屋はおひとりさまに優しくありません。目星をつけた5軒ほどに予約の電話を入れたのですが、「おひとりさまは受け付けておりません」「予約は2名か4名様以上でしか承っておりません」のように断られっぱなしです。

普通に生活していてこんなにも拒否されることは私はないので、かなりの挫折感を味わいました。そういう意味で、当店は4人席を私ひとりのために確保して下さったので、懐の深いお店と言えるでしょう。
泡はガティノワ。マグナムをグラスで出して頂けました。色が濃く、香りが濃く、味も濃い。ピノ感がムンムン。デビュー当時のMEGUMIのようなボリューム感がありました。

当店のウリは「シャンパーニュのマグナムをグラスで出す」とのことで、ジャクソンなどはマグナムで年間100本出るそうな。
お通し(?)の茶碗蒸し。大容量で標準的な茶碗蒸しの1.5倍はありそうです。カツオや昆布の出汁ではなく、鳥の出汁。エビや銀杏などの具材も多く、空腹でヒクついた胃袋が宥められます。
前菜に琵琶湖の天然ワカサギのエスカベッシュ(南蛮漬け)。素材の味が前面に。心地よい苦味が先のシャンパーニュと抜群のマリアージュ。
イカのイカ墨ソース。味が非常に濃く、旨味の概念を知らない外人にはコレを食べさせれば一発で腑に落ちることでしょう。ポーションもたっぷりで酒が進む。
ヴェネトのガルガーネガ主体なのですが、びっくりするほど美味しかった。辛口なのに、桃やパイナップルのようなテンション高めな香りに満ちています。適度な酸と凝縮感のある旨味。このワインは美味しいぞ。
お待ちかね、子鴨です。「名古屋なら一番ジビエを取り揃えている」と気炎を吐く店主。予約の時点で「メインは何になさいますか?」と決め打ちする必要があり、食材に本気に向き合っているお店です。
右からレバー、砂肝、心臓。いずれも赤ワインを渇望させる深みのある逸品。
赤は思いのほか若かったです。よく言えばフレッシュなのですが、先のレバーの凄味に比べると借りてきた猫のようにおとなしい。
身の部分は手づかみでむしゃぶりつきます。細かな骨であればカルシウムカルシウムとそのまま飲み下す。鴨の味が強いのは当然のこと、味付けも思い切りがよく、酒飲みにはたまらん一皿。

ちなみに当店はワインを飲めない方はお断りとのこと。代々木の「煮込みやなりた」には「2人で1本以上のワインを飲まなければならない」という独特のルールがありますが、当店はそれを凌駕する潔さ。確かに電話予約の時点で「ワインは飲まれますか?」と訊ねられましたそういえば。
調理を終えた店主と共にテーブルを囲み、酒を酌み交わす。私のことを中々に料理がわかっている若者だと認めて下さったのか、かなり込み入ったレストラン談義で盛り上がりました。レストランの開発秘話やブランドストーリーほど聞いていて面白いものはありません。

またコリエドールと同様に、当店においても名古屋オススメのレストラン情報を多数ゲットしました。行きたいリストが万里の長城のように延びていきます。それにしても、名古屋はネット上の情報とローカルのプロから得る情報が大きく異なる。価値ある情報をネット上にディスクローズしない土地柄なのかもしれません。東京が異常なだけかもしれませんが。
そうそう、コチラは店主が趣味で漬けた鮒寿司。サービスでお出しして頂けました。アミノ酸が強烈で、酒無しでは決して食べることができないでしょう。私は冒頭のシャンパーニュと合わせてピッタシカンカン。

店主は御歳75。「毎日ワイン1本と日本酒5合を飲んでいる」とまだまだ血気盛ん。当然に職歴が長く、名古屋の飲食業界で顔がきくらしく、興味深い仕入ルートを多数確保している模様。予約の際に色々相談するのが良いでしょう。


このエントリーをはてなブックマークに追加 食べログ グルメブログランキング

関連記事
仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。

食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。


関連ランキング:イタリアン | 東別院駅鶴舞駅上前津駅