レストラン エール/銀座


「レストラン間」系列は、私のとっても好きなレストラングループのうちのひとつです。レストラン間を立て続けに2度お邪魔し、その次はこれまたご近所のビストロアムへ。その総集編として、満を持して銀座へ進出した当店へ。
料理はシェフのお任せコース、ワインはデギュスタシオンにして頂きました。シャンパーニュまでついて5,500円はお得です。

トースト香がガツンと響き、リンゴの香りのパンチがきいていてグッド。連れと顔を見合わせ頷きあう。
アミューズの3D感覚は当グループのお家芸。シャレオッティすぎて写真を撮るのが難しい。
カプレーゼはマカロンスタイルで。キャベツ太郎のような軽さに驚く。バジルはもちろんトマト味やチーズの風味も感じられ、面白い一口でした。
タルトタタン。これは衝撃、こんなタルトタタンは初めてです。ブーダンノワールのこってりとした味わいとリンゴの甘さが絶妙にマッチ。本日一番のお皿です。
チョコバナナはフォアグラ入り。塩がきいておりデザートとはまた違う味わい。確かに美味しいのですが、ちょっとマッタリしすぎかも。味が濃く脂質も多いので、序盤にしてはちょっとグッタリしてしまいます。
シグネチャーの野菜パフェ。レストラン間よりも器が幾分ゴージャス。レボリューション!
ポロ葱が主体であり、その他にマリネした種々の野菜たち。20種近くも使っているんですって。桜海老由来の魚介のコクも香ばしく何度食べても美味しい。
変わったミュスカデで、味覚の構成要素が多くゴチャゴチャしています。好みはとても分かれるでしょう。
パンはパイっぽい軽さとコク。じとっとした舌触り。
これはちょっとよくわかりませんでした。カルボナーラをイメージしているそうなのですが、再構築や新しい解釈を提示して食べ手を唸らせるというものではなく、全く別の料理をカルボナーラと言い張っているだけのように感じてしまう。
あわせるワインもシラー。うーん、難解。なぜこの料理にどす黒いシラー?と、頭から及び腰になってしまい、実際に飲んでもサッパリ合わずチンプンカンプン。普通にシャルドネでいいのにな。
ふたつめのパンは普通です。
魚料理はヒラメ。昆布、生ハム、アサリなどからとった出汁が優しい。パプリカがややどぎつく悪目立ちし過ぎかもしれません。全体的にはすごく好きな一皿でした。
こちらはロゼらしいのですが、玄人好み。私にとっては難しすぎて意図がわけわかめでした。あれこれ考えず先入観なしで飲んだほうがいいのかもしれません。
口直しにはソルティドッグ。これはすごく良いですね。グレープフルーツにウォッカ、塩のゼリーときちんとソルティドッグしていますし、液体窒素を用いたコロコロのシャクシャクも面白い。味についても素直に美味しかった。
メインは鴨を選択。ソースが焼鳥のタレのような味わいで、醤油が入ってるんじゃないかと思うほど日本人的な味付けでした。つまりとってもとっつき易く、私の大好きな味わいです。付け合わせも一切の手抜きはなく万全の状態。特にゴボウが良い。
ローヌらしいブレンドですが、やはり刺激的で複雑。連れも「結局、基本的なワインはひとつも出なかったわね」と当店のワインに係るメッセージを受け止め切れなかったようです。
イチゴのショートケーキ。ユーモラスなデザートです。味はきちんとショートケーキですが、様々な食感と温度帯が使い分けられており、先のソルティドッグと同様に見事な一皿でした。
こちらは飲むショートケーキ。痛快な遊び心。きちんとスポンジも詰まっており、イチゴ味もしっかり。
小菓子はヨーグルト(?)に生チョコ的なものと ガレットデロワ。最後の最後まで凝っています。甘味も好きな私にとってこのこだわりは嬉しい。
コーヒーもしっかりと美味しい。ごちそうさまでした。

さて、ちょっと評価に困っています。この価格帯でこれだけの料理とワインを提供できるのはそれなりに驚異的なのですが、レストラン間と比べるとその費用対効果は見劣りしてしまう。真心を込めて期待はずれでした。

間のことは一旦全部忘れて、もっとガツーンと振り切ってしまうのも良いかもしれません。客単価を5万円とかにして、シェフの本気を見てみたい。+500円で料理を変えれるとかフォアグラを付けれるとかケチ臭いことは言ってないで、「原価など知らん!これがウチの哲学だ!ジャーン!」みたいな勢いを味わってみたいなあ。

ワインはシャンパーニュを除いては捻りすぎであり、私のレベルにおいては常に頭の上にハテナが浮いている状態。現代アートや現代音楽に直面した瞬間の心の在り様に似ています。ワインについてもっと詳しくなればまた違う世界が見えてくるのかなあ。



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