8864/新橋


スブリム後の2次会。さすがに高級フランス(デンマーク?)料理の後にラーメン二郎新橋店に行くのは気が引けたので、すぐ近くの8864へ。
ハッパロクジュウシ、と読みます。たこ焼きとワインを出すお店。こういう所まできちんと確保している私の引き出しの多さに感服せよ。
ドリンクはいずれも500円前後、ボトルワインは2,000円代と良心的。

突然ですが富裕層ビジネスに本腰を入れたいと考え始めている私。本日の参加者の中にも普段から爺やがいる級の大富豪がいるのでインタビューを開始。
焼き上がりまで15分ほどかかるので、頃合いを見計らって注文しましょう。素焼きは会津屋を彷彿とさせるシンプルさ。タコが結構大きく食べ応えがあります。ソースマヨネーズ味は絶対的な安定感。これらを飲み屋で6個500円で食べることができるのはとても嬉しい。

「そうそう、この前、絵のオークションにヨーロッパまでお義母さんと行ってきてさ。あたしはよくわからないからカバン持ち状態だったけど」こういう世界が本当にあるのです。
なあ、やっぱ外商とかついてるわけ?と大富豪に問う。「もちろん。ただ、私についてるっていうよりは、昔からウチに出入りしてるってカンジだから、あんまり私には関係ないかも。親から引き継いでるってだけで、私の手柄じゃない」

「あ、百貨店じゃないんだけど、新製品の家電が出るたびに勝手に家まで持ってきて置いて行く業者がいる」これが21世紀の朝貢。
ポン酢味はネギがたっぷりと。まるでネギサラダの様相を呈しており、ネギマシュランとしては至福のひと時。

参加者のうちのひとりは不動産投資として8,000万円(タケマシュラン調べ)ほどのマンションを購入したばかり。「ああ、あそこいいよね。わざわざ飛行機乗ってあたしの家まで営業に来たよ」。そう、大富豪はピンポイントで狙いを定めて営業をかけられるのです。

うーん、それでも不動産なんて要らないなあ、同じお金を払うのであれば、ナリサワに2,000回行きたいな、と呟くと完全に異常者扱いされました。「そんなことをしたって何も残らないじゃない。あたしは相続とか本気で考えないといけないんだから。あなたにはわからないかもしれないけど」彼女が言うと決して嫌味に聞こえない。『ミリオネアとビリオネアの違いにつき、前者は自己顕示欲や自己投資を拡大させるに留まるが、後者は如何にして血を絶やさないかに腐心する』という話を思い出しました。
その後は芸能ゴシップネタ。ちょづいている有名人の糾弾が始まりました。夫の職業を詐称、とは言わないまでもミスリードを誘うようなプロモーションを展開していることが槍玉に。「医療系で勤務時間も不規則で~」と説明しておきながら実は病院の事務方でしかなかった、のようなノリです。一番可哀相なのはありのままに語られることのない旦那様。

ただ、私も記事を執筆するにあたり面白おかしく書いたりすることも無くは無いので、それを快く思わない方も多数いると思うと途端に口にしたワインが苦くなる。ま、いいか。私は私。そのままを受け止めてくれるか、そうでなければ放っておいてちょ。


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スブリム/御成門


大学時代の友人が「グラグル部」という同好会を立ち上げました。なんでも、「グラマラス・グルメ」の略らしく、死ぬほどダサい。部員は彼女と彼女のご主人の2人のみらしいです。アメリカのコメディ番組だと大笑いされているところです。

「タケマシュランには名誉顧問となって頂きたい」と全く意味がわからないのですが、人気店を事務局が予約してくれるのはいいことだ。
会場はスブリム。オープンして1年でミシュラン1ツ星獲得と話題沸騰中のお店です。
「なんかKEYUKAみたいな内装っすねえ」と言い得て妙な部員たち。
シャンパーニュが安い。パイヤールならびにドラピエがボトルで8,000円です。グレープフルーツの香りが強く、泡は繊細。少々の苦味が複雑性を強くし、つまり美味しいのである。
名刺代わりに出てきたのは揚げたケールに黒ニンニクのペースト。うーん、これは手抜きじゃないかなあ。見た目が呪術的でそそられないし、黒ニンニクの味もどぎつくて最初の第一歩としては首を傾げざるを得ません。皆も口々に「方向性、大丈夫っすかねえ」と心配気味。
フォアグラのテリーヌ(?)が挟まったオツマミ。これは旨い。黒コショウのアクセントも爽やか。ラスのアレに近いものがあり、惣菜として売られていればダース買いしたくなる味わいです。
炭を練りこんだミルクパンを揚げたもの。もっさりとしてヘヴィ。不味くはありませんが胃もたれを演出する一品でした。
パンは非常に私好み。パンドカンパーニュ風であり、酸味がきいて噛み締めるたびに旨味が広がります。
ホイップバターは右がオニオン、左は忘れちゃった。こういう一手間は嬉しい。
生のブロッコリーのスライス。普通に火を通して欲しい。裏側に隠れているのはカニの身がぎっしりと詰まったペコロスであり期待通りの味。ソースは貝の出汁とディル?輪郭がはっきりしない味付けであり、もっとビビッドに取り組んで欲しいところ。
後続の料理を考えてブルゴーニュのシャルドネにしたかったのですが、唐突に高額(割高という意味ではなく、絶対額がそもそも高いという意味)であり断念。熟慮に熟慮を重ねて8,000円でこれが飲めるならという極めて資本主義的打算に基づきロゼのシャンパーニュ。
アカイカとカブ、黒大根。全然美味しくない。参加者全員が二酸化炭素の多いため息をつき無言になる。レモンのジュレなどの工夫は見られますが、突飛な味わいで調和していません。
半熟卵の上にたっぷりの生マッシュルーム。濃い色のマッシュルームスープを注ぎ入れます。大変美味しいのですが、キャンベルのマッシュルームスープと絶対的な違いはあるかと言われると難しいところです。また、マッシュルームを生で大量に食べるのは個人的にあまり好きじゃない。フジヤ1935のマッシュルームパスタを思い出しました。
ヒラメにローリエ香りをきかせて。素材の味がスカスカで全く印象に残りませんでした。ソースも思い切りがなく参加者全員が首を横に振る。
エゾジカうちもも。これは素直に美味しい。ただし新しい発見もなく、無難な料理です。
こちらのボトルは7,800円。参加者がワイン好きばかりというわけでもないため酒選びが難しい。皆が皆、葡萄酒に価値を見出しているとは限らないので、なんとか安いものを選ぶ必要があるのです。
ヨーグルトに柑橘系の味わい、白ビールをトッピング。これは残鉄剣のように切れ味抜群。直線的に美味しかった。参加者のひとりは大袈裟じゃなく7秒程度で食べきっていました。
焼き芋をイメージしたデザート。冬が胸にきた。
パリパリは焼き芋のペーストを伸ばしたもので、楽しく美味しい。中には密度の高いスイートポテトで誰もが安心して食べることのできる味。本日一番のお皿です。
コーヒーは中くらい。
ギモーブとフィナンシェ。これも中くらい。どフランス料理の小菓子に比べると至って簡素。

どの料理も決して不味くはないのですが、いずれも北欧に憧れてコピペした系というか、いつかどこかで食べたことがある皿が続きました。外形が変わっており食べ慣れていない人はうっかり取り違えてしまうかもしれませんが、絶対的にレベルの高い味覚というわけではありません。

サービスも料理と似たり寄ったりで至って簡素。全般的によそよそしくぶっきらぼうですらあり、歓迎されているという空気を一度も感じることはありませんでした。

しかしお会計でぶっとびー。ひとりあたり18,000円で済みました。これは安い!カンテサンスのランチを思い出す。「やっぱ1万円台で済むと小躍りしたくなりますねえ」と、途端に和やかな雰囲気に包まれます。

「今は珍しもの好きを集客できてるってところかしら。彼らが一巡した後が勝負ね」「あたし全然足りない。近くにラーメン二郎があるらしいよ」と、百戦錬磨の参加者たちは口々に厳しい評価。そう、みんな私のことを辛口だの毒舌だのと評価しますが、実は世の人々も言っていることは大差ありません。違いはそれを明文化するかどうかだけのこと。


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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。



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龍IMPROVE/六本木


自称上戸彩似プロ専業主婦との焼肉の後、2次会に私と大先輩が出会ったバーへ移動。
こちらの店長は私の高校時代の同級生。「ねえ、タケマシュランってどんな生徒だったの?」との問いかけに対し、「いつもかわいい女の子とキャッキャ遊んでる変わったヤツでした」と店長。三つ子の魂百まで。
ちなみに我々の母校は中々の名門校なのですが、こちらの店長はトップで合格し入学式において生徒代表として挨拶したのです。ところが突然「俺はロックスターになる」と宣言し大学進学を放棄。この高校から大学へ進まないという選択は前代未聞であり、教師たちが慌てふためいていたのが何だか可笑しかったです。ざまあみろ、これが俺の人生だ。
お通しに鶏肉の南蛮漬け。そう、このバーは変わっていて、ツマミが異常に豊富、かつ、どれも非常に手が込んでいるのです。
また当店の自慢はミクソロジー。ミクソロジーとはリキュールやフレーバーシロップを一切使わず、果実や野菜を蒸留酒とだけ組み合わせて作ったカクテルです。

「OLみたいなもん飲んでじゃねーよ」とパスティスを飲む自称上戸彩に絡まれる。酒の飲み方が南フランスのオッサンのそれである。
とっても楽しくてこのまま酔いつぶれてしまいたい気分だったのでウイスキーに移行。私の中のスイッチが入った瞬間。
ちなみにお店のオーナーは静岡出身。静岡出身者がいるということで、静岡名物のつけナポリタンをふるまって下さいました。それなのに「え?なんですかコレ?初めて食べる」と、この自称上戸彩は本当に静岡県民なのでしょうか。富士山にも登ったことがないし、「だら」と「ら」の使い分けもできないし。
唐突にズラりと並べられるテキーラ。全く意味がわかりません。
どういう経緯でこうなったのか、ピコピコハンマーで殴られる私。気持ちいい!もっとぶって!と懇願すると大きく振りかぶって派手にアタックされ眼鏡が吹っ飛びました。
「ええ!?タケマシュラン?本人?」とたまたま居合わせた読者の方も輪に加わりドンチャン騒ぎのはじまりはじまり。系列の会員制カラオケ店へと移動し大宴会。ピコピコハンマーをお店に置いてきたため、ここでは素手でバシンバシン殴られました。下戸彩め。

初対面とは思えないほどの盛り上がりを見せた夜でした。ブログを通じて私の人となりを事前に納得した上でのご対面なので、心の距離が縮まるのが極めて早い。趣味も合う。話も合う。ブログやってて良かったなとしみじみ感じた夜でした。翌日は二日酔いで丸1日を棒に振ったけど。



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龍 IMPROVE
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13101197/

格之進R/六本木

大学の大先輩より「○○くん(私の名)って有名人?女の子に紹介してって言われたぞ。タケマシュラン愛読者だって」との連絡があり、トントン拍子に食事会がセッティングされました。
「肉好き・六本木」とのお題を頂戴したので、「祥瑞」「イル・フィーゴ・インゴルド」「エルビーシックス」「格之進R」を候補として挙げ、「格之進R」に決定。かくのしんあーる、と読みます。
5分前に入店すると既に皆さんお揃いでした。「遅刻は絶対に許されないことを存じ上げておりますので!」と前のめりの愛読者。
前菜は肉入りのポテトサラダ、生肉(?)、タケノコです。肉はさすがの素材味であって旨いのですが、その他は作りおき感が抜群であり心は揺さぶられない。

「へえ、タケマシュランってこんなカンジなんですね。記事読んでるとすっごくモテそうな方だったから」とバリキャリ女子。続けて口にはしませんでしたが『どんなイケメンが来るかと思ってて楽しみにしてたら全然大したことねえじゃねえか』とその目は語っていた。
サラダも盛り置きしているのかシナシナです。倉科カナのボリューム感とは大違い。
「あたし今日、実家の静岡から来たんです!」とビッグスマイルを向ける人妻。オデコ丸出しで歯並びが美しい向日葵のような笑顔。上戸彩にそっくりだなあと思って見惚れていると「上戸彩に似てるってよく言われます!」自分で言いやがった。
おでん的な一皿。大根や厚揚げに旨味の強い出汁が沁み込み抜群に美味しい。実はこれが一番美味しかったかもしれません今夜は。

「今夜は来て下さってありがとうございます。『グルメブロガーの苦悩2017』を読んだばかりだったから心配で。あたしたちで大丈夫ですか?」何をおっしゃる、美女との食事はいつだって大歓迎。
左からウチモモ、ハネシタ(ザブトン)、ヒレアタマ(?)。拳骨大の塊肉に嬌声があがる。楽しいプレゼンテーションです。
調理はすべて店員さんにお任せ。バシっと焼き目をつけた後は、弱火で入念に熱を通していく。昨今は炭火焼原理主義者が睨みをきかせていますが、ガス焼きでもきちんと美味しく焼けるものです。
10分ほど焼いた後、アルミホイルで包んで休ませる。焼肉屋でここまで凝った調理をするのは珍しく、食べ手を飽きさせません。
塊肉の調理と並行してショートプレート。かなり脂がキツく、肉の一口目としてはいかがなものか。牛丼屋の肉のように脂身が多く、悪い意味で印象的でした。

肉には赤ワイン。ボトルは4,000~6,000円といったところ。酒屋の3倍ぐらいの値付けであり少々割高かもしれません。

「この子、プロ専業主婦なんです。昔は同僚だったんですけど、いつの間にかイイ男捕まえて海外に移住なんかしちゃったりして」えへへと笑いながら特に否定もしない自称上戸彩。愛嬌もまたひとつの能力。
左はハバキ、右はトモサンカク。ハバキとは後ろ脚のももの外側、おしりに近い部分です。筋肉質でありながらも適度に脂が備わっており美味しい。トモサンカクは言わずと知れた稀少部位。なのですが、ちょっと脂が強かったかなあ。味そのものは深いコクがあって好きだったのですが。
塊肉が焼きあがる。これは文句なしに旨い。味の濃い健康的な赤身肉が皆のシア充レベルを押し上げる。

肉質としてはこれまで出されたものとそう変わらないと思うのですが、どうして段違いに美味しく感じるのでしょうか。いっそのこと焼いた肉はこれだけにして、もう少し手の込んだ前菜などバリエーションを持たせるほうがコース料理として良いような気もしました。
肉が旨すぎて思わずもう1本。ところで自称上戸彩の実家は富士山の近くにあるらしく、へえ、富士吉田とかそこらへん?と何気なしに訊ねると「あれは山梨県だから。富士山は静岡のものだから」と鬼の形相で烈火のごとく怒り出す。
デザートはごくごく普通のシャーベット。肉料理との落差が激しく投げやりに感じました。

「これが静岡の富士山!山梨みたいに裏側から見たってつまんないでしょ?」と実家の屋上から撮った写真を掲げる自称上戸彩。おお~、確かに威風堂々としてカッコイイ。それにしても実家に屋上があるっていいな。ここでバーベキューしたい。

そういえば何年か前に富士山に登ったよ、と富士山に係る持ちうる限りの話題を披露すると、「あ、あたしは登ってないや」と、なんと中途半端な富士山愛。今日から君は中戸彩だ。



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それほど焼肉は好きなジャンルではないのですが、行く機会は多いです。有名店で、良かった順に並べてみました。
そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。


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