年末年始に11日間のクルーズで海外へ vol.3~豪華客船の食事はファミレス以下?~


欧米系のクルーズ船と異なり、毎回訪れるたびに適当な席に案内されるシステムでした。
妻は品の良いワンピ、私はシワひとつないジャケットと、それなりに清潔な服装を心がけていたつもりなのですが、何故かバックヤードすぐそばの騒々しい席に案内されることが多かったです。

隣のテーブルの席にはアーティストやパフォーマーなどの準従業員たち。つまり、我々はこの船において暗黙的に最低ランクの客に位置づけられたようです。まあそれは年功序列の国ジャパン。この苦難は試練であり、私が実力主義の世界を創り上げる肥やしとなると前向きに捉え、文句を言うでもなくそのまま賄い席を受け入れることとしました。この点、欧米のクルーズ船はシンプルでいいですね。金を多く払っている客に最初から良い席が割り当てられており納得感があります。

食事の内容に参りましょう。結論から述べると味は良くてファミレスレベル。量は極端に少ないです。日本に展開するファミレスチェーンにつき、洋食はロイヤルホストが頂点、和食であれば大戸屋と私は結論づけているのですが、この船の食事はそのいずれの味にも達していませんでした。

例えば初日の夕食。「お手並み拝見」と、ゲストが最も注目する食事に位置づけられているはずです。
寒ブリのカルパッチョ。色の悪いブリに(恐らくは既製品の)ソースがやけくそに振りかけられています。付け合わせのベビーリーフも萎び方がすごい。恐らく洗ってから数時間、お皿の上に放って置かれたのでしょう。
牡蠣とポロ葱のクリームスープ。具材のカットが乱雑であり、スープそのものはクノールをのばしたような味。ポロ葱の瑞々しさは一切感じることができず、学校給食を思い出しました。
国産牛リブロースのロースト。味は悪くありません。しかし特筆すべきはその量。肉は僅か60グラムほどしか無いのです。絶対に許さない。付け合わせのポテトは高級なオーザックのような味で相対的に満足。
フルーツとクリームチーズのミルフィーユ。ミルフィーユというよりは、パイ生地にクリームをとフルーツをのせただけですが、これはコンビニスイーツの先頭集団に入るほどレベルが高かった。
コーヒーも意外に悪くない。豆が良いのかもしれません。

妻はメインディッシュを食べながら「あたし、全然足りない。夜食に行くことに決めた」と選手宣誓。普通の女性ですらこの感覚ですから、成人男性であれば2回転は余裕で食べることができると思います。ただし、平均年齢74.6歳ということを鑑みると、ある意味妥当なポーションなのかもしれません。

いずれにせよ、味の悪さ、料理選択の自由度の無さ、皿出しの遅さ、ポーションなど、欧米系の船に勝る点はひとつもありませんでした。欧米系の船も味についてはドングリの背比べなのですが、選択肢が多いんですよね。「サラダとステーキ2枚」みたいな注文ができるのです。

最も気になったのはサービスレベルの低さ。末端のサービスマンたちが、ごくごく基本的なこと、例えば「配膳は女性が先」のようなことさえもこなせないのです。ワインの取り扱いもなってないし、グラスもチグハグ、水さえまともに注げない。もし私がメジャーリーガーで目の前にバットがあったのであれば、真っ二つに折っていたことでしょう。

これは「従業員に文化圏の異なる外国人が多いから」「海の上で足場が安定しないから」「船の上と陸の上で求められるサービスは異なるから」といった言い訳で済むようなレベルではありません。意義を伝え、反復練習し、成果を確認する。それだけです。

ただしこれは非常に簡単な訓練で解消する問題でもあるので、そのうち突如として改善されるかもしれません。何といっても、従業員の気が良く陽気な雰囲気は既に醸成されているのですから。

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