西本/森下(名古屋)


名古屋の中心地からは少し離れた場所にあります。創業1930年と歴史が長い。
観光客は見かけず、地元のおっちゃんたちが談笑しながら鰻を掻き込むお店、と言った風情。テーブル席、座敷、個室があり、窓から見える中庭の誂えが素晴らしい。
うまきやうざく、肝焼きなど酒飲みメニューもありますが、今夜は上まぶし3,800円のみを注文。
鰻は二段重ねです。これは萌える。名古屋の国旗にしたいぐらいです。
当店は肝吸いは別料金のようで、特に何も言わなかったので、普通のお吸い物が出てきました。それでもこのお吸い物は簡潔にして念入り。実に私好みであり、お茶漬けの際のだし汁に対する期待が膨らみました。
まずはそのままで。見かけ上、タレはダラダラと取り付いてはいないのですが、味はものすごく濃く、甘い。何度も重ね塗りされじっくりと焼き上げられているのでしょう。名古屋トップクラスに味の濃い鰻です。

タレがたっぷりと沁み込んでいるためか、あまり食感は鋭くなく、ジャクジャクじゅぶじゅぶといった歯ざわりです。
薬味は別皿。海苔の量がたっぷりで気が大きくなります。
2杯目は薬味を載せて。ネギの水分が鰻の味の濃さを程よく中和し、後から振り返るとこの瞬間が一番美味しかったです。
お漬物は浅漬け?これは手抜きですね全然美味しくない。
3杯目はお茶漬け、と思いきや、だし汁ではなくあんかけが供されました。未体験ゾーン。
結論から述べると私が最も苦手とする味わいです。ぬるぬるデロデロとした舌触りになり、また餡もぼんやりとした味わいで焦点がぼやけてしまう。これは完全に企画倒れ。
あんかけを早々に切り上げ、4杯目は薬味で頂きました。しかし先に述べた通りものすごく味の濃い鰻であるため、そのまま食べ続けると飽きが来る。普通のだし汁でサラサラと行きたかったよう。

一通り名古屋の鰻を食べこんだ方に向けての企画モノといったところでしょうか。数日の旅行者にとっては、場所も中心地から離れていますし、あえて行くお店では無いなと思いました。



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