永坂更科 布屋太兵衛/麻布十番


永坂更科布屋太兵衛。麻布十番にある更科そば三巨頭のうちの一角を担います。元禄の初め(約300年前)太物商としての布屋清助が、領主である保科兵部少輔に招かれて江戸屋敷内(当時の麻布十番長屋)に住まうようになったのが始まりとのこと。
蕎麦屋にしてはかなりの大箱。宴席のための座敷もあります。店内では年寄りが大声でケータイで話しており、店員は特に注意する様子もありません。私はこのようなマナーが靴の中に入った小石ぐらい気になるのですが、「年寄りにとってのスタバなんだからしょうがないよ」と達観する連れ。
二色天せいろ2,160円を注文。
天ぷらはエビ、ナス、カボチャ、シシトウ。若干ベタついた揚がり方であり、衣もジュクジュクとしておりあまり美味しくありません。しかしエビは太く大きいため、結果的に満足してしまう。
右はそばの実の芯の部分で打った純白の、いわゆる更科そば。デビュー当時の新山千春のような白さがあります。通に言わせると無垢で繊細なのかもしれませんが、ざっかけない味わいを好む私としては少々物足りない。ちなみに山形の友人に言わせると「更科蕎麦って本当に蕎麦?素麺じゃね?」とのことでした。

左は太兵衛ざる。石臼挽きの喉越しの良いそば。これは香りも強く美味。
から汁とあま汁の2種が供され、その量もたっぷり。更科系はつゆが無料でおかわりできたりと気前が良いのが特長です。たまに400円もの別料金を取る店もあるので嬉しい限り。
連れは生粉打ちそば。石臼挽きのそば粉のみで打った香り豊かなそばです。「このお店で何回か食べたけど、これが一番旨い」とのことです。ひとくち味見させて頂きましたが、なるほど蕎麦の香りが荒々しく響き、ワシャワシャとの食べ応えも抜群。次回からはこれを注文することにします。

江戸の蕎麦屋の老舗は「砂場」「藪」そして「更科」という3つ。麻布十番ではその源流にほど近い店3店(当店、総本家更科堀井麻布永坂更科本店)が揃っています。週末に一気に巡り、歴史を感じながら食べ比べるのもまた一興。



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