カンテサンスに1日2回訪れる田舎の金持ち(以下、2カンテ/日)がまたまた東京に遊びに来てくれました。
私は翌朝早くに予定があったので、お誘いがあった際には脊髄反射でお断りしたのですが、よくよく考えるとせっかく東京に来てるのに、しかも今夜は旦那さんも同伴だというから申し訳ないなと考えを改め、「1~2杯だけね」とメッセージを入れて家を出ます。
お店はAWkitchen5-5。AW系列で朝まで営業という、夜光虫には心強い味方。
旦那さんのお話はよく伺ってはいましたが、実際にお会いするのは初めて。硬い握手を交わしビールで乾杯。今日からトモダチ。
私は昼にしっかり食事を摂ったので夕食はパス。他の2夫婦は済ませて来たとのことだったのでツマミに留めます。トリュフ香るフレンチフライ。ちょっと高級な気分が心地よい。
「タケマシュラン、○月○日あいてる?カンテサンス予約してあるんだけど、まだ一緒に行く人決めてなくて」ワオ!空いてる空いてる朝から晩まで全部空いてる!カンテサンスは大好きなレストランのひとつなのですが、人気店すぎて予約を取るのが億劫になり、つい疎遠となっていたのです。ラッキー!
私はひたすらにビールを飲んでいたのですが、何人かがワインを飲みたいと言い出したので、リーズナブルな白を。当店はボトルが2,000円台から楽しめるので、ちょっとしたカフェでお茶するよりも安くつくのです。
「ちょっとお時間よろしいでしょうか~?」とスーツ姿の好青年に声をかけられる(写真は公式webサイトより)。テーブルマジックをチップ制で披露しているとのこと。
久しぶりの友人と旧交を温め合う夜であり、会話を邪魔されるので正直乗り気じゃなかったのですが、「まあまあ、せっかくなんだしちょっとだけ見てみようよ」と2カンテ/日。ゲストの貴女が言うのであればしょうがない。
鳥肌が立ちました。凄いを通り越して恐ろしい。例えば「トランプの絵柄と数字、好きなものをイメージして下さい」と言われ、適当なものを頭の中に浮かべると、彼の手元のトランプの中から一枚だけまさにその札がひっくり返って出てくるのです。
何か特殊な細工をしていないか入念にカードを調べる2カンテ/日夫婦。「特にカードに仕掛けはありませんよ。これはテクニックです」と言い切るマジシャン。裏返しに4枚のカードを手に乗せると、知らない間に1枚づつ順番に表にひっくり返っていく。怖すぎる。文章でうまく説明できないのが残念。
じゃあ、彼女の服の闇のパープル・アイから雛形あきこを取り出してください、とリクエストすると、「雛形あきこって誰ですか?」という無情な回答。歳は取るものではない。ちなみにこのネコちゃんセーター、ロエベのすごく高いお洋服ですからね。
「それじゃあ、ハイテクなマジックやりましょう。iPhone持ってる方~?」ということで、いくつかの簡単な質問に答えると、あっさりとロックが解除されてしまいました。阿鼻叫喚の店内。これがマジックなのは恐ろしい。超能力のほうがまだいいんだけど。
「とろとろ卵をからめて食べる!鉄板ナポリタン」を啜りながら「何だったんだあれは」と昂奮を抑えきれない私たち。
さすがにバンメシ抜きで24時まで飲み屋で過ごすと腹が減る。「北海道 尾藤さんの長芋のふわとろお好み焼き」でカロリー補給。一見ワインバーと見せかけて、このような安旨居酒屋メニューが揃うのはありがたい。
2カンテ/日が「納得がいかない」と、他のテーブルを対応していたマジシャンを有り金を叩いて再召集。引き続き様々なマジックを披露して頂き、また、誰でもできるマジックなどをご指導頂きました。
また、彼の身の上話についてもいくつか。芸名はKEIGO。10歳からマジックを始めて芸歴は19年。大学時代はストリートマジックで資金を得ながら世界中を旅したとのこと。マジックは言葉や文化を超えて楽しめるからこその芸当です。将来のノーベル平和賞候補がここに。
大学卒業後はDeNAに就職したものの、26歳で独立し、フリーランスのプロマジシャンに転向。セロのチームに居たこともあるんですって。何かのパーティに来てもらえないかと、必要なギャラや連絡先などを教えて頂きました。名刺を出すのも凝っていて、スマホに名刺の画像を映すと、いつのまにか手元に名刺が乗っているのです。どうなっとるんや。
「今年一番ノリの良いお客さんです。やりがいがありました!」と、丁寧に礼を述べ、いつの間にか姿を消したKEIGO氏。うーん、あれだけのショーを至近距離で楽しむことができて実にラッキー。テーブルマジックだけでなくイリュージョンなどの大技もできるということなので、機会があれば是非お願いしたいと思います。
公式webサイト:http://www.keigo-magic.com/
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。