チーズをめぐる冒険 vol.9~いつか親切なお金持ちが~


日曜日の朝はあいにくの雨、それでも人っ子一人いない雨に濡れた街並みは絵になります。やっぱりヨーロッパの街ってカッコイイですよね。アジアももちろん、京都をはじめとした各種古都の素晴らしさは認めますが、どうにも繁華街の極彩色の街並みはあまり絵にならない。
ガイドと合流して一路グラン・クリュ街道へ。今回は我々2人に対してガイド1人と貸し切りです。
この日に備えて妻の爪も葡萄仕様。
まずはコチラのドメーヌへ。様になるエクステリアです。このあたりの建築物は全て地元の石を用いて建築されているため、街全体に自然と統一感が出るとのこと。
地下のカーヴは現在も拡張中。これがワイン王国の強みですよね。自然の力のみでワインに適した熟成庫を永久的に無料で使用することができるのです。
試飲に用意してくれたボトルを一目見て跳ねて喜ぶ。ジュヴレ・シャンベルタンの1級クラスがずらり。ワインに興味のない方向けに解説すると、大して期待していない人数合わせの合コンに付き合いで顔を出したら女性陣が全員レースクイーンだった、そんな感じです。
一番のお気に入りはこちら。素晴らしい熟成でありピノとはわからないほどのコクと重圧感。複雑に複雑を重ねあわせたややこしい味わいで心から美味しかった。

100ユーロ弱の値段でしばらく逡巡しましたが、やはり良いワインはレストランで飲んでこそ、家で飲んでもツマラン、と考え諦めました。「まあ、それでいい。ワインはやっぱり蔵出しでなくちゃ。東京だのアメリカだの、世界中を旅したワインは僕らのワインじゃなくなってるから」と、生産者。
コート・ド・ニュイのグラン・クリュ街道をのんびりとドライブ。ソムリエ協会の教本で学んだ畑が実在していることに感動です。何なら畑の中に立ち入ってツマミ食いできるレベルです。

これまたワインに興味のない方に解説すると、アカデミー賞のアフターパーティにうっかり紛れ込んでしまい、ハリウッドセレブたちと談笑できてしまう程の興奮です。

教養は人生を豊かにしてくれますね。何も知らない人からするとただの畑ですが、知っている人にとっては感涙モノ。
聖地巡礼。ロマネ・コンティ様。ありがたやありがたや。いつか親切なお金持ちが私に無償で飲ませてくれますように。

雨が降っていたので貸し切り状態。普段はこの十字架をバックに写真を撮る列ができているくらい、ちょっとした観光名所になっているとのこと。
ボーヌの街に到着し、ブルゴーニュの郷土料理を食す。詳細は別記事にて。
オテル・デュー。昔々のボランティア病院です。病院が所有するブドウ畑から造られるワインを競売にかけ、チャリティー・オークション的に病院の維持費としていたとのこと。

私は資本主義至上主義なので、競争心を削ぐという意味でボランティアや寄付というものをあまり信用していないのですが、趣味(ワインを飲むこと)が病院の維持ひいては傷病者の回復に役立つと目的が明らかなのであれば、義援も悪く無いかもしれないと、少しだけ思いを新たにしました。
ブルゴーニュの巨大ドメーヌ、Patriarcheへ。ブルゴーニュのワイナリーは小さな家族経営であることが多いのですが、こちらはシャンパーニュのメゾンのような巨大企業です。地下のカーヴもシャンパーニュのそれのように広大。
試飲にはグラスではなくタストヴァン。利酒用の器です。エンターテインメント性に溢れたドメーヌである。
十数種をテイスティングさせて頂き酔っ払ってヘロヘロに。その中でもお気に入りはこちらの1本。まだまだ若く刺々しさはあるものの、将来が楽しみなワインです。
帰路は酔いに任せて完全に爆睡。街の広場が噴水に濡れて鏡のように輝き幻想的でした。
夕食はレストランが集中する区域の中で一際賑わいを見せる当店へ。詳細は別記事にて。



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