Grill & Cow/Dijon


行こうと目論んでいたレストランがまさかの臨時休業で夕食難民に。やはり予約はきちんとしておくべきですね。旅行中の貴重な時間がレストラン探しに奪われてしまう。
何の手がかりも無いので、夏夜の虫のように明かりの有る方、人の居る方に歩みを進めると、マルシェをぐるりと取り囲む道にレストランが点在していることを発見。その中でも飛び切り活気があった当店へと飛び込みます。
室内が満席だったのでテラス席へ。テラス席と言っても屋根がしっかりとあり、ストーブもガンガンに焚かれているので室内とそう変わりません。
肉の前菜プレート。12時から時計回りに牛肉のタルタル、牛の骨髄、牛肉のカルパッチョ、ブリトー、トマトのタルタル、ミニバーガー。

タルタルはスパイスや野菜のアクセントが無くちょっと飽きてしまう。単品で注文しなくて良かったです。

骨髄は不味い、ブヨブヨで味の無い脂が詰まっているかのよう。この後、アンドゥイエットが来ることになっているので、内臓系の調理に暗雲が立ち込める。

カルパッチョはまあ普通に美味しく、ブリトーは野菜の千切りとミンチ肉が入ったものを揚げており春巻のよう。誰でも美味しく食べることができるでしょう。

トマトのタルタルは悪くないのですが、ぼんやりとした味付けとスパイスが物足りなく、あまり印象に残らず。

ミニバーガーはステーキ肉が一切れ挟み込まれており、安定した味わいでした。素材が良ければ結局はこのようなシンプルな料理が一番美味しい。
今回のブルゴーニュで手頃かつ飲んでないワインは 何かと考えコチラを。ピノらしい果実味がありつつ、思いのほかドッシリとした味わい。4,000円にしてはお買い得です。
妻はハンバーガーを注文。彼女は育ちがアメリカであるためか、せっかくフランスに来ているのにうっかりハンバーガーを選んでしまう習性があります。
成人男子のゲンコツよりも大きいハンバーグが丸ごとイン。とにかく食べるのが難しくアゴがハズレそうである。一口頂きましたが、特徴的な味わいではないものの、ボリューム感で寄り切った印象です。
私はフランス最後のディナーということで、フランス料理らしいアンドゥイエットを注文です。アンドゥイエットとは豚の小腸に豚の胃腸や肉を詰めたソーセージの事。腸に腸を超詰めるというコンセプトが異国を感じる。

日本で食べると丁寧に下ごしらえされ、臭みが一切なく内蔵の食感のみを豊かに楽しめることが多いのですが、フランスで食べるアンドゥイエットは日本人にとって玉石混交。日本のようなクリアな味わいであることもあれば、内蔵の香りがプンプンしてこそのアンドゥイエットと言わんばかりに、無茶苦茶臭い場合もあります。
当店の場合、カジュアルで若者向けな店構えであり、外人の受け入れにもこなれているのに安心したのが間違いでした。正統派も正統派で無茶苦茶に臭いのである。SOUL'd OUT風に言うとオェエラオェララレイェレーィイ!!!!である。

最後の最後で地雷を踏んでしまいました。しかしこれは当店が悪いのではなく、怖いもの見たさで注文した私の責任。今回ばかりは妻のハンバーガーの圧勝である。

食べ物の味はさておき、前夜と同じくオペレーションが全然だめでした。当店も1皿を持って来るのに30~40分を要します。周りの客を見渡してみても、何か口にしているテーブルは殆ど無く、酒を片手にダベっているだけです。

もちろんこれはディジョン人にとって普通のことであり、我々がせっかちなだけかもしれません。それでも盛り付けるだけのアイスクリームを持ってくるだけで30分もかかるようでは味も雰囲気も台無しである。

フランス人のサービスは瞬間最大風速的にパーフェクトな場合があり、今回の旅で言うとパルムドールシェーブルドールがそれにあたります。しかしそれは例外中の例外であって、フランスの飲食店全体のサービスレベルを平均すると、日本のそれに格段に劣るように感じています。

私は日本のサービスレベルに慣れきってしまっているので、やはりフランス人のサービスは評価を下げざるを得ない。そんな陰々滅々とした思いを抱いてしまった最後の夜でした。



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