「女の子と3時まで飲んでUBERで送った結果www」のソムリエールから飲みのお誘い。飲食関連の女友達をひとり連れて来るとのことだったので、これはワインを勉強するに良い機会と、ワインエキスパート試験2次試験勉強中の外資証券を招聘します。
お店は表参道駅すぐのワインバー「ダブリュー表参道 ザ セラーグリル」を予約。巨大なボトルが軒先にあり大いに目立ちます。
当店はワインリストが分厚い他、併設するワインショップで買ったボトルであれば持ち込み料が600円で済むという良心的な店。試験に出そうなワインを選んでブラインドで外資証券に飲ませるには打ってつけのお店です。
乾杯は泡。グラスが小さく3口で飲み干してしまいました。
初めましての参加者はYOU似の美女。「ねえ、○○(私の名)さんってさ、なんか可愛いっていうか、男らしさ、もっと言えばいやらしさが全くないよね。恋愛対象外。あたし、人生で一番大切にしてるのは恋愛だから」と、出会って4秒で戦力外通告を受けました。
お通しは薄くスライスされたバゲットにカマンベールチーズ。しっかりと食べている感があるお通しで、わかり易くて大好き。
僕が人生で一番大切にしているのは趣味かもしれない、と答えると、彼女の私への興味はますます失せるばかりです。UBERソムリエールは暫く黙り込んだままであり、ようやく口を開いたかと思うと「趣味か仕事かで迷っていたけど、そう言えばどっちもワインだった」。
さてブラインド特訓の秘密兵器、ローソンで84円のアルミホイルです。本当はボトルの形状や注ぎ口である程度の産地まで絞り込めるのでデキャンタージュしてしまうのが望ましいのですが、そこまでお店に要求すると確実に鬱陶しがられるので、アルミホイルぐるぐる巻きの刑で何とか格好をつけます。
「あたしってね、一目惚れしかしたことないの。外見が無理な人とは何回会ってもムリ」うわーお、ここまで言い切ってしまう女性も珍しい。ただ、彼女はとてもモテるらしいので、それぐらいの思い切った選別手段を用いたほうが効率的なのかもしれません。
鮮魚のカルパッチョ。魚は何だったっけなあ。スライスが薄く食べ応えに乏しかったのが残念賞。
「付き合うつもりもないのに2人で会うとか考えられない。男女の関係になるつもりも無いのに飲みに行くとかありえない」それは付き合うではなく突き合うではないか。なんと短兵急な考え方なのでしょう。私とは完全に真逆。私はとりあえず2人きりで2~3時間かけて食事を共にし、気品や教養、哲学、相性の良さを確かめないと、次に進むことは絶対にありません。
ワイン屋さんのグリーンサラダ。もっと広範に渡っての緑を想像していたのですが、思いのほか色々な具材が散りばめられています。
サンセールのソーヴィニョンブラン。全員ハズレ。私はフランスのリースリングと答えてしまいました。言い訳すると温度がかなり低めであり香りが全く立っておらず酸味も強烈であったためです。先のニュージーランドとも全く異なるキャラクターであり、さらには同じ品種を2連続は出さないだろうという深読みも相俟って、です。ぐぬぬ。
GRILLED VEGGIE。日本全国から旬の野菜を直送しているとのことで、我々はズッキーニとシイタケを選択。ズッキーニは普通だったのですが、シイタケは小ぶりながらも旨味の凝縮感が途轍もなく力強い味わいでした。
山盛りプライドポテト。安定の味わい。これだけ入って550円はお買い得。のんびり飲むには最高の盟友です。
パテ・ド・カンパーニュも標準的な味わいではあるものの、このボリュームで650円は優秀。無類のパテ好きとしてはこれだけでもう満足です。
ここからはグリル料理。鶏もも肉は300グラム近くあるのではないでしょうか。脂の乗った皮目をバリっと焼き上げ、トマトソースの酸味で軽やかに仕上げます。
このあたりで店員のシニアソムリエが輪に加わり、ワイン選びを手伝ってくれるようになりました。ワインの達人は人に物事を教えるのが大好きであり、無償の愛をもって後進を育てることに余念がありません。
アメリカのカベルネソーヴィニョン。品種は全員正解だったのですが、産地まで明察したのは外資証券のみでした。これは試験前に大きな自信となるでしょう。答え合わせ時にシニアソムリエが見分け方のポイントを丁寧に解説して下さります。ワインとは連帯感。
和牛ハンバーグもコクのある脂がたっぷり。細かい説明は不要。良くできたハンバーグは長い演説に勝る。
「そう、あたしってすごく恋愛体質の女なの。ちょっとストーカー気質あるし。カレシのケータイ絶対見るし」めんどくせー!と、男性陣一同、悲鳴と怒号のオーケストラ。それでも彼女は引く手あまたな人生を歩んでおり、我々からの非難などどこ吹く風です。
自家製厚切りベーコンは700円。直接材料費がかなり高いのではないでしょうか。味も申し分なし、ワインにもぴったり。まともなベーコンって普通に買うとすごく高いから、これは誠にお買い得です。
〆の1本はオーストラリアのシラーズをチョイス。が、特徴が立っておらず、品種すら全員不正解というバッドエンド。まあ、なぜそう思ったかの根拠やコメントは的確であったので、試験と言う意味ではそう悪い点にはならないことでしょう。何を飲んだかよりも意見を持っている方が重要です。
炭水化物タイム。とろ煮牛すじガーリックライス。ぐわーなんだよこれネーミングセンスもさることながら見た目からしてヨダレが止まりません。暴力的なまでのニンニクの香りは先のシラーで受け止める。牛すじの量も望外に多く、米料理というよりは肉料理を食べているかのよう。最後の最後で本日一番のお皿でした。
え、で、結局、恋人はいるんですか?とYOUに訊ねる。「今はいなーい。子どもは2人いるけど」ガチョーン。男性陣全員の目の玉が飛び出ました。こんなイケてるオカンがいるか!?何故だか理由はわかりませんが男性陣は妙に熱狂してしまいました。
「今夜は楽しかった!素敵な人がいたら紹介してね!」と婀娜っぽいウインクで解散。ううむ、離婚経験者って、どことなくセクシーで陰があって不思議とモテるのですが、当の本人は厭世的で恋に臆病になりがち。全力で恋愛できない人が多いんですよね。しかし彼女は売れっ子恋愛中毒。鬼に金棒、虎に翼。「肩ごしの恋人」のるり子を思い出しました。
彼女は今も幸せで、これからもっと幸せになることでしょう。斜に構えることなく遺伝子に忠実な人生。なんてチャーミングな二児の母。歳を重ねるごとに、魅力的な女性になるんだろうなあ。
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テイスティングは生まれ持っての繊細な味覚に拠るといったことはなく、地道な練習あるのみです。誰でも最初は「赤ワインなんて全部同じじゃーん」と思うものですが、そのうちコーヒーと紅茶ぐらいの違いに感じるようになります。その特訓記録をまとめました。
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ソムリエの筆記試験の勉強方法は千差万別ですが、私は地理から入りました。地図と一緒に対応するアペラシオンなどの表が記載されており、上手に整理されていると思います。白地図もついており、復習し易いです。