君たちAirbnbについて議論してるけど実際に使ったことあるの?


シェアリング・エコノミー特集第2弾。前回のUBERを使い倒す旅行に引き続き、今回はAirbnbを活用した旅を楽しんできました。
結論から述べると、私にはAirbnbは馴染みませんでした。こんなことを言うと最先端の先端の方々から「保守的だ!」とこっぴどく怒られるかもしれませんが、私の「潔癖症」「完璧主義」「他人との交流が面倒」という三大資質がそう囁くのだから仕方がありません。そういう性格なのです。

それでは上の表に基づいてそれぞれの評価ポイントにつき、私の実体験を記していきたいと思います。

なお、本稿において対比に用いる「ホテル」とは、エクスペディアやホテルズドットコムなど、一般的なホテル予約サイトに掲載されるようなものをイメージして下さい。

<事前情報>
乏しい、または誤認する場合が多いです。

ゲストが知りたい宿泊先の情報は、自身が滞在する部屋や寝具・シャワー・トイレなどが中心になると思います。しかし、Airbnbのサイト上にこれらに係る情報の掲載は限定的。少なくとも私の場合、どのように宿泊先を利用できるかのイメージが全く沸かなかった。

なぜなら、ホストは自己の物件をいかに見栄え良くするかに腐心しており、いきおい(ホストと共用の立派な)リビングルームや、近所の名所の写真を載せることが多いからです。

さらにAirbnbの場合、「バスタオルの有無」「シーツの有無」「門限」「施錠の可否」「禁煙」「土足NG」「ゴミの捨て方」など種々のルールが物件ごとにバラバラで、驚くほどバラエティ豊かです。しかも、現地に到着して初めてそれを知る場合もあるため、宿泊前から常に不安を感じ続けなければなりません。

<予約/キャンセル>
面倒です。

予約のたびにいちいちホストに対して「私はこういう者で、この度はお宅にお邪魔させて頂くにあたり~」のような挨拶を英語で送る必要があります。

キャンセルポリシーは物件ごとに異なりますが、「厳格」すなわち一度予約すると変更は一切受け付けず、不泊であっても返金ナシというホストが多いです。もちろんホストの立場であれば当然の自衛策なので仕方ありません。

<チェックイン/チェックアウト>
チェックインが難解です。

まず、物件の場所がわかり辛い。安全上の配慮からか、物件までのアクセス方法を詳細に記載しているホストは限られています。ある程度の住所まで記載し、そこから先はホストとゲストでメッセージを送りあって、ようやく物件までのアプローチを理解できるという場合が殆どです。

ホテルであればホテル名を告げれば、その街の誰かしらは知っていますが、Airbnbは本当に普通の住居なので、駅員やタクシードライバー、観光案内所などに聞いても誰も知らないことでしょう。もちろんGoogle先生に聞いたとしても色好い返事はかえってきません。

さらに、ホテルのようにフロントマンが常駐しているということはないため、鍵の受け渡しをするために、到着予定時刻を事前に伝えホストと待ち合わせる必要があります。幸い私はスムーズにチェックインできましたが、それでもホストから「もう空港着いた?」「バス乗った?」「もうすぐ着く?」「今どこ?」のようなメッセージを送られ続け、せっかくの旅行なのに寄り道や予定外の行動は一切許されないのか、と悲しくなりました。

私の友人は、待ち合わせを整えることができず「ポストにカギ入れておくから」的なやり取りのまま到着すると、指定された場所にカギがなくホストとも連絡がつかず酷く困った、という苦難を経験しています。

チェックアウトは不安です。カギを置いて勝手に出て行くだけの場合が多く、ホテルのように書類を受け渡して「これでチェックアウト完了!」のような儀式がありません。「チェックアウトはあれだけで良かったのだろうか?」という不安をいつまでたっても拭い去ることができません。

<設備>
物件によってバラバラです。

ホテルでは自室にシーツやタオル、シャワー、トイレ、ティッシュ、ライティングデスク、テレビ、ドライヤー、ゴミ箱、鏡、窓、クローゼット、ハンガーなどが用意されているのが一般的でしょう。そこに冷蔵庫があったりなかったり、アイロンがあったりなかったり、金庫があったりなかったり、湯沸かし器があったりなかったり、それぐらいの違いだと思います。

Airbnbではシーツやタオルがあったりなかったりすることから始まります。全ての設備があったりなかったりする。

私は共用設備としてコーヒーメーカーがあるのに、トイレにはトイレットペーパーが無いという事態を経験しました。部屋にティッシュがあったことなど1度としてありません。仕方なく近所のスーパーにまで自腹で買出しに行く必要があります。このように、宿泊施設として最低限の設備でさえも、その存在が疑わしいのがAirbnbです。

また、ホテルでは「Private」「Staff Only」という表示が無ければ基本的にどこへ立ち入っても良く何を使用しても良いのが一般的だと思いますが、Airbnbはどこまで立ち入り可能で何が使用可能なのかが良くわかりません。共用らしきリビングルームがあったとしても、勝手にソファに寝っ転がって良いものか不安になる。どこまで踏み込んで良いのか不明な状況が非常に多かったです。

<サービス>
ほぼ無いです。仮にホストから親切にしてもらったとしても、それはホストの人柄に因るもので、ビジネスとしてのホスピタリティではありません。

部屋から電話1本で誰かが駆けつけてくれるということは当然無く、何かトラブルが生じた際にAirbnbは非常に弱いです。

また、部屋が毎日掃除されることはなく、シーツやタオルなども替えられることもありません。ゴミもそのまんまです。

もちろん、ホテルの毎日の清掃は過剰品質だという意見は理解できますが、私のように病的なまでに真っ白なリネン類に価値を見出している人間も、少なからずいるのです。

<プライバシー>
あまり無いです。

基本的に普通の住居なので、部屋で同泊者と会話をすると、家じゅう丸聞こえです。そのためどうしても小声でのコソコソ話となってしまいます。逆に、ホストが夫婦喧嘩をすることもあり、非常に気まずい思いをすることもあります。

また、自分はどこから来てどんな仕事をしていて今日は何をする予定なのかと、ホストと顔を合わせればコミュニケーションの一環としていちいち説明する必要があります。他室にもゲストがいたとすると、「私は決して怪しい人間ではありません」と証明するために、意味の無い会話をする必要が生じます。もちろんこのような交流が好きな人にとっては堪らないかもしれませんが、私にとっては苦痛でしかありませんでした。

<安全性>
キャンプと大差ありません。ホストが不在になることも多く、家に全く見ず知らずのゲスト同士が残されることもしばしば。女性ひとりでの利用は本当に危険だし、なんなら私(男性)ひとりでの利用もためらうレベルです。

また、自室に金庫が無いのが普通です。もちろんホテルのように「フロントで貴重品預かり」のようなサービスもありません。そのうえ自室にカギが無い場合も多く、さらには玄関の鍵を開けっ放しにするホストもいます。

<料金>
安いです。占有面積および定員を基準にすると、ホテルの3~5割は安い印象です。

<結論>
「潔癖症」「完璧主義」「他人との交流が面倒」という性格に因り、私にはAirbnbは馴染みませんでした。ひとりあたり1泊数千円の差であればホテルでいいや、と私は結論付けています。

また、うまく言葉で説明できないので評価ポイントから外してはいるのですが、ホテルに泊まる場合、自分はあくまで「客」であるのに対し、Airbnbは「居候」なんですよね。主役はあくまでホストであり、彼らが定めるルールが全てです。

結局はあまり細かいことを気にしない、いい加減な人同士がWin-Winになれる仕組みのような気がします。図々しくいい加減な人であればあるほど快適に過ごすことができる。まさしく居候。バックパッカーとかには向いているかも。

とは言え、Airbnbというコンセプト自体には大賛成です。競争が促されAirbnbよりもイケてないホテルなどが淘汰され、業界全体のサービスレベルが向上することを期待しています。Airbnbの繁栄はホテル愛好家に間接的に寄与する。

いずれにせよ、Airbnbに賛成する人も反対する人も、ちゃんと体験してから意見を述べたほうが良いと思います。実体験を伴わないまま悪戯に危機感を煽る人よりも、実際に試したことがある人の体験談のほうが、より説得力があって話が早い。

私も少し前までシェアリング・エコノミー厨でAirbnb大賛成という立場でしたが、実際に利用したことにより少し考えが変わりました。同じシェアリング・エコノミーでも、UBERは認めるけれどもAirbnbには距離を置くというスタンスは、私の中で新たな発見です。

ところで、日本人が日本国内でAirbnbを活用する場合は、同じ文化圏内という意味でもう少し快適性は増すんじゃないか、という仮説が私の中にあります。そのため近々沖縄あたりで実験する予定。近日公開。お楽しみに。

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