wine bar ex/表参道


ワインバーエックス。渋谷二丁目、青学脇の路地にあるワインバーです。グラスワインの種類が豊富な上に、ボトルに1杯の値段がしっかりと書かれているので、お会計でドキドキすることの無い優良店です。

「急遽シフト入ることになったから、飲みに来て~」と店長兼飲み仲間より連絡。行きましょう。私のフットワークは羽根まくらのように軽い。
わ!本当に来てくれた!跳ねて喜ぶ美人店長。カウンターが彼女と私を隔てていなければ、間違いなくギュッっとハグしてもらえただろうに。カウンターめ。
そうそう、チーズプロフェッショナルの1次試験に合格した旨を伝えると、今度は隣客からお褒めの言葉を頂きました。挨拶を交わすと、なんと私が愛用しているお店のオーナーでした。世の中狭いものである。
店長は9月のメドックマラソンに出場するとのこと。メドックマラソンとはボルドーで開催されるローカルのフルマラソン大会。参加者のほぼ全員が仮装で臨み、給水所ではワイン飲み放題。エイドにはカヌレやクロワッサンに始まり、生牡蠣、ステーキなど美食の限りを尽くす。参加者は競争意欲を削がれながら42.195kmを走り抜けるという、明らかに健康を害する稀有なマラソン大会です。

大会後、骨休めにコート・ダジュールに数日滞在するとのことだったので、私の旅程ともろかぶり。カンヌあたりの小路のテラス席でロゼでも飲もうと固く約束を交わしました。ああ、なんてロマンティック。
そうそう、と言いながら、風変わりなポップコーンを手渡される。「この前、北海道に行っててさ。チーズプロフェッショナル受けるって言ってたでしょ?だから、ほら、ブルーチーズ味」。嬉しいなあ。カウンターが彼女と私を隔てていなければ、うっかりギュッっとハグしていた所でした。カウンターめ。
奥の客が食べているカレーがとにかく美味しそう。スパイスをバリバリにきかせてはいるが、辛味は排除しているとのこと。素晴らしい。それでこそワインバー。ライスは五穀米ですって。最高かよ。
私はレバーパテ。600円と格安。スーパーで買うよりも安いのではないか。味わいにも密度があり鉄分がとめどなく押し寄せてきます。

隣客より「次の店に行くけど、一緒に来る?」とお誘い頂き、是非ともご一緒したかったのですが、私も友人に当店に来ないかと声をかけたばかりだったので、断腸の思いで遠慮させて頂きました。結局、私の友人は姿を見せませんでした。人生そんなもんである。
カラン、と戸が開き、日本人離れした美女とイケメンふたり組が登場。絵になる。私が何度生まれ変わっても彼のようなスタイルならびに目鼻立ちになることはないでしょう。

ちなみに彼女は産まれも育ちも西麻布。今月末に会社を辞め、来月から故郷西麻布でバー経営を始めるとのこと。必ず行くよと約束しハイファイブ。
隣客と入れ替わりでいらっしゃったゲストもこれまた偶然に西麻布で飲食店を複数経営している実業家。しかも共通の友人にミスターボリュームアップがおり、世の中狭いものである。あっという間に意気投合し、ピノノワールとサイコロステーキのご相伴に預かりました。ごちそうさまでっす!

それにしても西麻布原理主義集団です。私も昨年の今頃は西麻布に通い詰めていましたが、西麻布らしく濡れた遊び方は全くしていないんですよね。だいたい、徒歩である。雨の日は長靴で歩く。生来の吝嗇主義よりタクシーを拒絶し自宅から片道25分をかけてトボトボと通う。西麻布の住人はタクシーを湯水のように使うことに定評がありますが、私は何度生まれ変わっても西麻布らしい色気を身に纏うことはできないでしょう。

「終電無くなったし、これからみんなで遊びに行こう!」と店長が実に前向きな提案。しかし終電があろうがなかろうが、彼女は最初から同じ結論を持っていたことを私は知っている。
西麻布へ移動。目指すは実業家先輩のお店です。秘密の建物の秘密のドアのインターフォンを鳴らし、ISの襲撃すら食い止めそうな鉄の扉を開く。ガールズバー?ラウンジ?そこには若く美しい芸能人の卵のような女の子たちが大勢いらっしゃいました。 ぬわーーーーーーーーーーーー!
オーナーのゲストであるためか、大層立派なソファ席にご案内いただけました。引き続きワイン。今夜はひたむきにワイン。私の涙はシャルドネ。私の血液はカベルネ。
美人店長が「おなかすいた!ばんごはん食べ損ねちゃった」とダダをこねると、実業家はスマートに近くの焼き鳥屋から盛り合わせをデリバリー。かっこいいなあこういうの。こういう人に、私はなりたい。
最終的には他のお客さんや女の子を交えての大カラオケ大会。 「やすむら奈美恵って誰ですか~?」と年端も行かぬ女の子。いいかお嬢ちゃん。奈美恵ちゃんはな、キミの歳の頃には子供を産んで立派なお母さんだったんだぞ。まあいい、今夜は大目に見よう。今日から大人の夏休み。歓びあっての人生だ。



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