「チーズ食べに行こう。何でも好きなもの食べて」と、チーズプロフェッショナル1次試験の合格祝いをして頂けることになりました。
酪農農家ビストロ Subrideo Restaurare。都内のチーズ好きの中で知らない人はいません。世界中のナチュラルチーズの魅力をリーズナブルな価格で提供してくれるビストロ。当店のオーナーシェフもチーズプロフェッショナルです。
チーズを用いた創意工夫に溢れる料理の数々。物腰柔らかなギャルソンからの説明は美味礼賛のアリアであり、一体何を選んで良いものか嬉しい悲鳴をあげてしまう。「1皿1皿ボリュームがあるので4皿程度が良いと思います」という助言に健啖家の我々は耳を貸さず、何事もなかったかのように5品注文。
食前酒はウエスティンのバーにてたっぷり3杯も頂いてきたばかりなので、グラスの白からお願いします。ギリシャのワイン。聞いたことのない土着のワインでマスカットっぽい芳醇な香りが面白い。
生ハムと桃、ブリア・サヴァランのサラダ。ブリア・サヴァラン、好きなんですよねえ。コッテリとした乳脂肪分を感じる滑らかさに不思議と爽やかな酸味を感じます。それだけで上質なチーズケーキのよう。辛味の効いた葉っぱと塩気の強い生ハムとあわせて食べれば最高の味覚。全くフランス人の豊かな食生活には羨望やみ難く憧憬は募るばかりである。
絶対に食べたかったスペシャリテ、ラクレットです。日本でも食べることができるのですね。私にとっては、ヴェルビエ(アルプスの高級ウインターリゾート)のスイス人宅で行ったラクレットパーティ以来です。
半円状の多きなチーズの断面をじっくりと炙り、
溶けたところを一気にナイフで削り落とす!ちなみに、料理名ならびにチーズの名前は共に「ラクレット」ですが、「ラクレ」とは削り取る、という意味です。これ豆な。
マッシュポテトと大和芋を合わせて揚げ焼きにした「フリコ」に、香ばしく、かつトロットロなラクレットチーズが流し込まれます。「もっともっと!」と連れがはしゃぐので、その可愛さに釣られたギャルソンはつい手元が狂いたっぷりとした量に。
12ヶ月熟成のコンテチーズが入った「焼きパテドカンパーニュ」。パテドカンパーニュを温かく食べるのは初めてです。滑らかなパテが熱を持ち、よりフワフワと解けるように。ハンバーグのような食感で、これはこれであり。マスタードをたっぷりつけて、美味しく頂けました。
「1本空けよう。品種、当ててみて」ということで、即答でグルナッシュ。「あなたがボルドー好きだから選んだのに…」と、いたたまれない表情を浮かべる連れ。ああ、それにしても最近ブラインドがてんでだめだ。銃の取り扱いを知らないまま引き金を引くようなことが続くので、1年ぶりに特訓し直そうかな。
見て見て!ふわっふわだよ!圧倒的に迫り来るこのチーズ!ゴーダを削り節の如く、これでもかと振りかけています。これに萌えないチーズ好きはいない。
中を開くと脂肪分に満ちたソースを身にまとったパスタ。惜しげもなく盛り付けられた生ウニは天上の美味。本日一番のお皿です。
メインは鴨のコンフィ。4種の豆とブルーデコースのソース。凝縮感の鴨肉が旨いのは当然として、本当の主役は青カビチーズのソースです。屈託の無いホロ苦さと強い塩味が柔らかく似た豆と手を取り合って脳天に一撃食らった心地。ワインが進んでしょうがない。
この店は素晴らしい。チーズ好きだけでなく万人受けする確かな美味しさがある。少しフレンチをかじったことのある人であれば、おお、チーズを用いてこんな捻りがあるのかと、フランス料理に対する新機軸を見出すことができます。
酒も料理もそんなに高くない。2次試験のテイスティング特訓として、また合格後も何度でもお邪魔させて頂きます。
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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。余所者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
- スブリデオ レストラーレ ←チーズ好きのカーバ神殿
- ガストロノミー ジョエル ロブション ←やはり最強。季節ごとにお邪魔したい
- ラ ターブル ドゥ ジョエル ロブション ←超高級ファミレス
- ビストロアム ←フレンチの出オチ最強選手
- ユーゴ・デノワイエ ←3,000円切るランチでこのレベルなら大満足
- レストラン間 ←日本で最もカリテプリに優れたお店なんじゃないか
- ビストロエビス ←うちの娘もああいうふうに育つと良いんだけれど
- 恵比寿くろいわ ←料理学校の和食クラスの生徒の料理を食べてるみたいな気分
- 博多もつ鍋 蟻月 ←玉石混交。うまく注文しましょう