「日本一おいしいミートソース」がウリのお店。「○○で一番」と自称する店でその通りである確率は、私がキョンシーとなってしまう確率と同等ですが、食べログの点数は3.54と健闘しているので、ここはあえて釣られることとします。
店名はトスカーナ。私の記憶が確かならば、ミートソースすなわちボロネーゼはボローニャの名物であり、トスカーナ料理ではないはずですが、ここはあえて釣られることとします。
「日本一おいしいミートソース」は1,050円。大盛りは+100円。ちなみに「日本一おいしいミートソース」の価格につき、公式webサイトでは970円、食べログ上の店舗提供情報では990円、店内では1,050円と、相場にバラつきがあります。
面白いところでは「日本一おいしいミートソース」に対するオススメトッピングが「ひき割り納豆50円」。まさかとは思いましたが、ここはあえて釣られることとします。
食べ方につき提案。当店では、まず最初に生麺の品質を確かめてもらうために、器の底にミートソースを注いだ後、麺を上に置くという宮古そばスタイル。麺だけ食べて旨いはずがなかろうとは思いましたが、ここはあえて釣られることとします。
セットのサラダ。いわゆる普通のセットサラダで特筆すべき点はありません。
+210円で本日のスープ。カボチャの冷製です。旨味や塩味は充分なのですが、カボチャそのものの味わいは乏しい。また温度も中途半端であり、冷製であれば冷製らしくギンっと冷たくして欲しかったです。
「日本一おいしいミートソース」の登場。驚きました。提案を受けた盛り付けとは異なり、一般的なパスタ、すなわち麺が下ソースが上方式での提供です。ここはあえて釣られてみようとワクワクしていたのに、絵に描いたような梯子の外され方である。
支配人を呼びつけた上で、提案と違うじゃないかどういうことだ、と説明を求めるのも大人気ないし、まさかイタリア料理店で天地返しを試みるのも無粋なので、このまま頂くこととします。そうだ、1点普通じゃない所がありました。ミートソースの中央にトッピングのひき割り納豆が鎮座しています。
指示の通り、まずは麺のみを食べる。なるほど生パスタ特有の食感と小麦の深み。宮古そばスタイルを提案するだけの実力は充分であり、エスやビストロチック、AWキッチンの生パスタに比肩する味わいです。
ミートソースを絡める。ミートというよりもトマトと赤ワインが主体です。マッシュルームの良い意味での土臭さも加わり複雑な味わいで、パスタを口に運ぶ手が止まりません。ソースそのものの量もたっぷりであり大満足。もう少し値を上げて肉を増量すれば、コクも加わりより頼もしいパスタソースになるような気がします。
一方で、ひき割り納豆は完全に企画倒れ。惨憺たる味わいで絶望に次ぐ絶望。獅子身中の虫とはこのことであり、中々に美味しいパスタ料理の全てを台無しにする破壊力がありますこのトッピングは。おっ、糸ひいてるチーズ伸びてんじゃん!と思って飛びつくと、ああ、そうだった、納豆だったネバーネバー、という勘違いが、食事中に2度も生じてしまいました。
卓上の自家製ハラペーニョをぶちまけたら何とかなるかとも思いましたが、砂漠に水を撒くのと同義。
というわけで、パスタとしての美味しさは中の上で悪くない。ただし「日本一おいしいミートソース」というのは完全に誇大広告であり、日本一はおろか代々木一も怪しいレベルです。変な売り出し方をせず、普通に商売すればいいのになあ。売れるか売れないかはさておき、自分の値段ぐらい自分でつければいいのにな。
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