「誰かイイ男紹介してください」と、アラサー女子から頻繁に相談があるタケマシュランですこんばんわ。しかし、今回はありそうであまりないご依頼。親しくしているソムリエール(香港の子じゃないよ)からの「合コンして下さい」でした。
ほう、合コン。私は若い時分より合コンに行ったことがあまり無かったんですよね。大人になってから折り目正しい合コンというものを経験したことがあまりない。一度本気で合コンの幹事をやってみるのもまた一興。ただ、僕、結婚してるから何のメリットもないじゃん、とソムリエールに素直な気持ちを伝えると「大丈夫です!こっちもめちゃめちゃ美人な人妻連れて行きます!」との返答。いったい何が大丈夫だというのだ。
お店は十番の大好きなお店「麻布れとろ」を予約。古民家を改装したフレンチレストランです(写真は公式webサイトより)。
ここは食事も美味しいし、面白い雰囲気の2Fを貸切にできるので、お食事会にうってつけ。
時間前に男性陣が揃ったので、一足先にビールで乾杯。今回私が提案させて頂く男子は
- 弁護士(LA在住、一時帰国中)
- 外資証券会社勤務
- コンサルティング会社勤務
の3名。いずれもアラサーの独身。近年稀に見る東京カレンダー感です。男性陣は上記3名に私を加えての4名。
女子到着。やべえ、確かに「めちゃめちゃ美人な人妻」だわ。大丈夫だわ。まあ、既婚者であれ何であれ、美女と食事するのはいつだって楽しい。最初にシェフより本日のコースの説明。料理に誠実な彼は北島亭出身。人妻はバナナが苦手とのことで、若干のテーラリングをくわえて頂きます。
ちなみに女性側の陣容は
- ソムリエール
- グルメ雑誌編集者
- 人妻
の3名。本当はもうひとり参加されるはずだったのですが、仕事の都合で不参加に。お店には、ひとりキャンセルで7名になりましたけど、予約のとおり8名分の料理を出してくださいきちんと食べますので、と申し出たのですが、「そんなそんな~、7名分で結構ですよ~」と有り難や有り難や。その分たくさん飲んで報いさせて頂きましょう。
泡で乾杯。ワインを選ぶのは私の役目なのですが、ソムリエールやワインエキスパートなど酒にうるさい集団なので、リストを持つ手が震えます。「人妻」ってなんか魅力的な響きだよなあと、童貞のような会話で合コンが幕開けです。ところで、「人妻」に比肩する私に誂え向きの単語として「妻帯者」を主張したのですが、「背負うものが大きそうで何か嫌だ」と、いきなりの戦力外通告を受けました。いいもん今夜の僕は審判だもん。
そうそう、お店には特に何も伝えていないのに、我々のテーブルの脇には数え切れないほどのワイングラスが待ち行列を作っていました。こいつらは飲むだろう、と眉毛を読まれていたのが何だか可笑しかったです。
鮎のムース、ホップ風味。鮎の苦味とホップの苦味が同期して絶妙なバランスです。
「そうだ!タケマシュラン、仏検6級合格したんですよね!おめでとうございます!」この女は私のことをバカにしているのかどうなのか判断に苦しみます。
バゲットにムースをベッタベタに塗りたくり、一口で頬張って泡で飲み下すのは最高の娯楽。今夜も楽しくなりそうです。
クスクスサラダとスイカのマリネ、あじ・かつお・たこ添え。クスクスのホニョホニョとした食感にスイカがズバリと割り込み、太陽の光溢れる味わいです。マリネの度合いも的確で、魚介類がクスクスの中で踊る。本日一番のお皿です。
ホッキ貝とマカロニサラダ。こんなに上物のマカロニサラダがあるか?臭みなど一切ないクリアなホッキ貝にマカロニサラダの懐古的な味わいがベストマッチ。我が心のマカロニサラダランキング1位に当選確実です。
自己紹介ほど難しいスピーチは無いので、男性陣の氏素性を私が40秒で一気に紹介。「ええっ!弁護士なんですか!?びっくり~、チャ」この人妻は今、絶対に「チャラい」と言いそうになって慌てて止めた。
それにしても、彼女の舌鋒鋭さには目を瞠るものがあります。既婚者は合コンにおいて特にがっつく必要も無いので、自然体で余裕を持って場を楽しむことができるのかもしれません。
とうもろこしのムースと鶏レバーソテー。とうもろこしの凝縮感に心地よい甘さ。穀物だけでここまで糖分を引き出せるのですね。他方、レバーの力強い鉄分に旨さったらない。ううむ、ビールが飲みたくなってきたぞ。
焼きなすの冷製とピーマンのブルーテ。焼きなすは日本料理店で出されても十二分に通用するような高潔な味わい。ピーマンのブルーテは懲りすぎて私の味覚の手に負えず。難解な料理でした。
コンサルタントは顔の濃い高身長の好青年であり一般的にはイケメンに分類されるのですが、私にとっては小島よしおの遠戚にしか見えないので、そのあたりをイジってみたのですが、「全然似てない、どっちかっていうと錦織圭!」と持ち上げる人妻。小島よしおの鼻の下は伸びっ放しである。
唐突に「タケマシュラン、あなたは何になりたいんですか?」と訊ねられる。突然どうしたんだい?と質問に質問で返すと「あなたみたいに何でも持っている人がどんな目標を持っているのか興味があって」と真剣な眼差し。
難しい質問です。そもそも私は何も持っていない。私は楽しい仲間に囲まれて美味しいものを食べることができればその日は大体それでオッケーという、マッキンゼーが聞いたらひっくり返りそうな向上心の無い非論理的な人生を歩んでいるので、思いのほか返答に悩んでしまいました。
結局、今日みたいな日が明日も続けばいいと思う、という言葉が自然と口を衝いて出る。セカオワか。
イワシ・ズッキーニ・トマトの重ね焼き。わんぱくなイワシとトマトの爽やかさが調和し思わず唸る。これは日本人なら絶対に好きな味だなあ。オーブンでカリカリに焼かれたカリカリも心地よいアクセント。
事件発生。当ワインの味わいにつき、ソムリエールが「チャーミング」とコメントしたことについて、弁護士の目尻がピクりと動く。彼はワインを「かわいい」と表現することを蛇蝎のように忌み嫌い、その怨念はもはやすべらない話という芸術の域に達しており、私はこの話を聞くのは6度目ぐらいなのですが、やはり何度聞いても面白いものは面白い。
メインは鴨胸肉のスパイスロースト。これモロ好み。カレーせんべいのようなノスタルジックな味付けが元気一杯の鴨を引きたて元気が出る。やはり当店は十番において私のトップ3に入るフレンチレストランです。
「あとの2店は?」と身を乗り出す編集者。ラ・リューン、タストゥー、と答えると、なるほど確かに、とすぐに納得する編集者。そんなに有名な店じゃないのに詳しいなあ。話を聞くと、彼女は日本の料理界の頂点に立つ料理人の殆どに取材に赴いています。最高峰の哲学に触れ続けることができるなんて、何とも羨ましい仕事である。
外資証券は数日後にワインエキスパートの筆記試験を控えています。テイスティング試験はまだまだ先ですが、力試しで品種だけでも当ててみよとの指示に「絶対に違うのはシラー」との回答。精進なさい。
バナナのタルトとガトーショコラ、ココナツ、パッションフルーツのムース。ド定番の直球勝負です。文句なしに美味しい。もっとふざけた、すなわちOLが1秒でときめくような装飾的デセールも試してみたいですね。
お茶をたっぷり頂いてごちそうさまでした。
いやあ、楽しかったし、何より旨かった。もはや合コンといういかがわしい響きに全くそぐわない、知的好奇心を刺激するお食事会でした。普段友人ときちんとした食事に行くノリや、ワイン会で初めましてな感覚と何も変わらない。
ここで提案なのですが、もう、合コンとしう言葉を使うのはやめにしませんか?いっそのこと死語にしてしまいたい。あの疚しい語感は何なんでしょうね不健全にも程がある。今後は我々が先頭に立って「会食」や「お食事会」という単語を流行らせるべきだ!と帰宅後に妻に熱弁をふるうと、「今時、合コンなんて言うの、あなたぐらいよ。恥ずかしいから二度と言わないで」と背中越しに私を突き放す。
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麻布十番にはフランス料理屋がたくさんあるのですが、残念ながら割高でハズレなお店も多い。外さない安定したお店は下記の通り。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。
ホッキ貝とマカロニサラダ。こんなに上物のマカロニサラダがあるか?臭みなど一切ないクリアなホッキ貝にマカロニサラダの懐古的な味わいがベストマッチ。我が心のマカロニサラダランキング1位に当選確実です。
自己紹介ほど難しいスピーチは無いので、男性陣の氏素性を私が40秒で一気に紹介。「ええっ!弁護士なんですか!?びっくり~、チャ」この人妻は今、絶対に「チャラい」と言いそうになって慌てて止めた。
それにしても、彼女の舌鋒鋭さには目を瞠るものがあります。既婚者は合コンにおいて特にがっつく必要も無いので、自然体で余裕を持って場を楽しむことができるのかもしれません。
とうもろこしのムースと鶏レバーソテー。とうもろこしの凝縮感に心地よい甘さ。穀物だけでここまで糖分を引き出せるのですね。他方、レバーの力強い鉄分に旨さったらない。ううむ、ビールが飲みたくなってきたぞ。
焼きなすの冷製とピーマンのブルーテ。焼きなすは日本料理店で出されても十二分に通用するような高潔な味わい。ピーマンのブルーテは懲りすぎて私の味覚の手に負えず。難解な料理でした。
コンサルタントは顔の濃い高身長の好青年であり一般的にはイケメンに分類されるのですが、私にとっては小島よしおの遠戚にしか見えないので、そのあたりをイジってみたのですが、「全然似てない、どっちかっていうと錦織圭!」と持ち上げる人妻。小島よしおの鼻の下は伸びっ放しである。
唐突に「タケマシュラン、あなたは何になりたいんですか?」と訊ねられる。突然どうしたんだい?と質問に質問で返すと「あなたみたいに何でも持っている人がどんな目標を持っているのか興味があって」と真剣な眼差し。
難しい質問です。そもそも私は何も持っていない。私は楽しい仲間に囲まれて美味しいものを食べることができればその日は大体それでオッケーという、マッキンゼーが聞いたらひっくり返りそうな向上心の無い非論理的な人生を歩んでいるので、思いのほか返答に悩んでしまいました。
結局、今日みたいな日が明日も続けばいいと思う、という言葉が自然と口を衝いて出る。セカオワか。
イワシ・ズッキーニ・トマトの重ね焼き。わんぱくなイワシとトマトの爽やかさが調和し思わず唸る。これは日本人なら絶対に好きな味だなあ。オーブンでカリカリに焼かれたカリカリも心地よいアクセント。
事件発生。当ワインの味わいにつき、ソムリエールが「チャーミング」とコメントしたことについて、弁護士の目尻がピクりと動く。彼はワインを「かわいい」と表現することを蛇蝎のように忌み嫌い、その怨念はもはやすべらない話という芸術の域に達しており、私はこの話を聞くのは6度目ぐらいなのですが、やはり何度聞いても面白いものは面白い。
メインは鴨胸肉のスパイスロースト。これモロ好み。カレーせんべいのようなノスタルジックな味付けが元気一杯の鴨を引きたて元気が出る。やはり当店は十番において私のトップ3に入るフレンチレストランです。
「あとの2店は?」と身を乗り出す編集者。ラ・リューン、タストゥー、と答えると、なるほど確かに、とすぐに納得する編集者。そんなに有名な店じゃないのに詳しいなあ。話を聞くと、彼女は日本の料理界の頂点に立つ料理人の殆どに取材に赴いています。最高峰の哲学に触れ続けることができるなんて、何とも羨ましい仕事である。
外資証券は数日後にワインエキスパートの筆記試験を控えています。テイスティング試験はまだまだ先ですが、力試しで品種だけでも当ててみよとの指示に「絶対に違うのはシラー」との回答。精進なさい。
バナナのタルトとガトーショコラ、ココナツ、パッションフルーツのムース。ド定番の直球勝負です。文句なしに美味しい。もっとふざけた、すなわちOLが1秒でときめくような装飾的デセールも試してみたいですね。
お茶をたっぷり頂いてごちそうさまでした。
いやあ、楽しかったし、何より旨かった。もはや合コンといういかがわしい響きに全くそぐわない、知的好奇心を刺激するお食事会でした。普段友人ときちんとした食事に行くノリや、ワイン会で初めましてな感覚と何も変わらない。
ここで提案なのですが、もう、合コンとしう言葉を使うのはやめにしませんか?いっそのこと死語にしてしまいたい。あの疚しい語感は何なんでしょうね不健全にも程がある。今後は我々が先頭に立って「会食」や「お食事会」という単語を流行らせるべきだ!と帰宅後に妻に熱弁をふるうと、「今時、合コンなんて言うの、あなたぐらいよ。恥ずかしいから二度と言わないで」と背中越しに私を突き放す。
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麻布十番にはフランス料理屋がたくさんあるのですが、残念ながら割高でハズレなお店も多い。外さない安定したお店は下記の通り。
- ラリューン ←クラシックな調理で正統派。むちゃ穴場です。
- 麻布れとろ ←ここで合コンすれば幹事がモテる(と信じている)。
- RRR ←ワインが割安。飲みまくれ!
- ルバーラヴァン52 ←全般的に安い。2時間で追い出されるのが玉に瑕。
- タストゥー ←トリュフを使ったデザートに身悶え。
- 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!