目当てにしていた寿司屋がどこにも見当たらないのでしびれを切らし、直接電話を架ける。
私:「今からふたりでお邪魔しても良いですか?」
寿司屋:「ファっ?」
私:「…?」
寿司屋:「あーっ!もしかしてお寿司の話!?」
私:「まさにお寿司の話です」
寿司屋:「ごめんなさい、体調崩しちゃって、もうやめちゃったんですよぉー。わざわざ来てくださったのにごめんなさーい」
私:「それはそれは失礼しました。お大事になさってください」
見ず知らずの、というか会ってもいない他人に対して「お大事になさってください」と優しい声をかけるのは、私の長い人生、後にも先にも今回が最初で最後であろう。これが島の力。
何だかんだで炎天下の中、20分以上さまよっていたので疲れちゃった。電話を切るとすぐ近くに弁当屋があることに気づく。地獄に仏とはこのことである。
どの弁当も600円前後。種類が豊富で目移りするのですが、量は少なめです。沖縄の島弁当とは異なり、ここは東京都なんだなあと再認識。
弁当を手に入れた後、お向かいのスーパーでビールを調達。店員さんが普通に「こんにちわ~」と話しかけて来る勢い。島の住民は全般的に人懐っこく、すぐに話しかけて来てくれます。みんな余裕があるんだろうな。「まだ東京で消耗してるの?」とは名コピーですが、消耗しない東京もあるのです。
ビーチに戻る。先のスイカ割り軍団がいなくなり、庇を貸しきり状態、というかビーチを貸切状態です。存在するのは我々ふたりとライフガードのみ。7月30日(土)というトップシーズンでこの空きっぷり。
ビールで乾杯。海にはスーパードライが似合います。
ようやく手に入れた甘酢あんかけ唐揚げ弁当。味はゴハンに挟み込まれた海苔の美味しさが光るものの、総体としては東京のオフィス街に現れるワゴン形式のお弁当屋さんと同様でした。まあ、太陽の下で頬張る食事は何だってごちそうである。
ライフガードの人とも雑談。彼は住人ではなく中目黒在住の会社員。新島はライフセーバーの人手が足りないらしく、都内でのオフィスワークの傍ら、金曜日に有給を取り、2泊3日でボランティアに来ているんですって。スズメの涙ほどの給金は出るらしいのですが、受け取ることはせず若手にまわす、もしくは新島の設備に充当してもらっているとのこと。
海水は限りなく透明に近いブルー。山や川の水のように清らかです。心なしか塩分濃度まで低く感じました。
泳いで疲れれば寝るだけです。この島で暮らしていればBrexit(BritainのExit)とか関係ないんだろうなあ。ちなみに私の投資戦略は日本を除いたETFで世界に投資し長期保有。これだけ。どうせ向こう数十年は売るつもりは無いのだから、株価の乱高下など耳に入れないようにしています。精神衛生上、何も得することは無いので。
そんなことを考えながら午睡を貪るとあっという間に15時。16時には船が出港し、これを逃すと月曜日まで空席は無いので絶対に逃すわけにはいきません。ああ名残惜しい。物足りない。気分はシンデレラ。
ビーチ沿いの道路にはトイレとシャワーが無料で利用可能です。我々のような日帰りの宿無しでも快適に過ごすことができ素晴らしい。散歩途中のアラスカンマラミュートが水浴びしていてとても気持ち良さそうでした。いいなあ、1度でいいから大型犬、飼ってみたいなあ。
港へ戻ると「パピコ食べたい」ということでふたりでひとつを頂きます。食べて驚き、パピコってこんなに美味しかったっけ?味はスタバのコーヒーフラペチーノと同等かそれ以上、生地の滑らかさが堪らない。昔はもっとザラザラした舌触りだったような気がするのに、、、ウチのオカンが節約のために私に偽モノをつかませていたのかもしれません。乗船時の列に並びながらチュウチュウしてると「ママー、アイスたべたーい」と泣き叫ぶ幼児。ママごめん、その子のワガママは私たちのせいです。
僅か5時間の滞在となりましたが、一目惚れしてしまいました。もちろん小笠原諸島のほうがトロピカルな雰囲気は強いのですが、やはり東京から船で2.5時間、飛行機で35分という近さは魅力的。近年の意外性のあるリゾートとしては最も印象深い島ですね。帰り道の船の中、思わず「新島 不動産」で検索する。
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