北海道マルハ・バル/大手町


北海道マルハ・バルです。大手町サンケイビルの地下2階。メトロの改札出て1分。
18:30まではハッピーアワーで飲み物が大体半額です。し、白穂乃香が400円だと?この価格設定は都内最安値ではないでしょうか。

ちなみに白穂乃香とはサッポロのプレミアムビールで、活きた酵母をそのまま残した無濾過の樽生ビールです。乳白色の優しいにごり。小麦麦芽特有のフルーティな香りとまろやかさ。専用グラスがきめ細かいクリーミーな泡を引きたて、酵母由来のアミノ酸の旨味がするすると肝臓に15秒で落ちていきます。
十勝彩美牛のカルパッチョ。北海道のブランド牛を厚切りにカットし表面を香ばしく炙ります。良質な脂と力強い鉄分が胃袋を満たしここは地上の楽園か。ソースはバルサミコ主体で、甘味あふれるタマネギが心地よい。量は150~200g程。これで1,000円を切るのは大手町の奇跡。直接材料費率はとんでもないことになってるじゃろう。
厚岸産の牡蠣は1個300円。Lサイズのクリーミイな生牡蠣に300円でありつけるのは、生産地であっても難しいのではあるまいか。ただしひとり3個まで。売り切れ必至。お早めにどうぞ。
合わせるワインはボルドーの白。生牡蠣を食べさせるために生まれてきたかのような琥珀色の液体。僅かな苦味が甘さを引きたて牡蠣の消化を先導する。
なぜかの鹿児島県産カンパチ。ミキュイすなわち半生状態に調理された甘いカンパチを、アーリオ・オーリオが包み込む。元気一杯の油を吸ったパン粉がアクセントになって食欲を刺激します。
みんな大好きチリのシャルドネ。こういったワインが大手町で数百円で飲めるのは大変にありがたいですね。
ライ麦パンとバゲット。前者は小麦の芳醇さが直線的に伝わって特に良かったです。
〆の1杯をお願いすると、ボルドーのフルボディ。トーストやローストの木の香り。黒系果実と思いのほか緻密な渋み。期待以上に健全で、真夏の夜を暗示させる彩り豊かな味わいでした。

独り飲みだったのですが、店員や客をぼんやりと観察するって面白いですよね。お客さんが「ハッピーアワー、あとどれくら時間ありますか?」「あと30秒でーす、どうぞー」というやり取りに思わず笑みがこぼれる。50近くの席を調子良く笑顔で駆け巡るソムリエールふたり。サービスとして働くっていいな。そんなことをぼんやりと考えながら、おにまるへと席を立つ。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。



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