エレベータを降りるとレセプションの方が待機しており、名前を告げるとすぐに案内して頂けます。このあたりのオペレーションは極めてシステマティックであり、さすがパーク・ハイアット様だなあと感服する。
前菜とデザートはビュッフェスタイルで、メインのみを選択する仕組みです。スペシャリテはステーキなのですが、¥5,600~¥13,000の追加料金が必要となります。一般的な感覚であれば食べ放題の前菜は可能な限り食べたいでしょうし、デザートについても別腹と言い聞かせて無理にでも詰め込みたいもの。したがって、メインに追加料金を払うのは賢い投資戦略とは言えません。当然に私も追加料金ナシで注文でき、かつ、最も胃袋に優しそうな鮮魚のグリルをオーダーしました。
前菜ビュッフェ。一般的な食べ放題とは異なり高級感に溢れています。個別の料理説明が無いため、下記の説明に誤りがあるかもしれませんがご容赦を。
12時から時計回りに、グァカモレ、サーモンをふんわり炊いたもの、牛肉のカルパッチョ、鶏肉の冷製、ブリ(?)のカルパッチョ、イカのマリネ、中央部はシュリンプカクテルです。
牛肉のカルパッチョとブリ(?)のカルパッチョが良かったです。エビは食べ放題だからといって食材を抜いているわけではなく、大ぶりでかなり上質。この時私は幸せでした。
前菜中に焼きたての自家製オリーブパンをお持ちして下さいました。ホカホカに温かくザクザクと特徴的な食感で面白い。キミとは食べ放題じゃない場所で出会いたかった。
前菜の終盤に差し掛かると「もし良ければもう少し前菜いかがですか?メインの調理を遅らせますよ~」という確認が入りました。望むところです。「どうぞ、ごゆっくり!」と背中を押してくれるのも気持ちが良い。大箱ながらもこういった細やかな気遣いができるサービス陣の堅牢さに舌を巻く。
前菜おかわり。12時から時計回りに、シュリンプカクテル、ブリ(?)のカルパッチョ、牛肉のカルパッチョ。このあたり前回で特に美味しかったシリーズです。
4時からアスパラ・タマネギ・ニンジン・ガルバンゾーのサラダ。6時のシイタケをニンニクとナッツで調理した謎の料理が旨味たっぷりで意外に美味しかった。7時からハムに生ハムにグラタン(?)。中央はチーズです。
この時点で既に腹8分目であったので、メインをお願いしました。並のレストランでは客のペースお構いなしで厨房の都合を優先しドンドコドンドコ持って来ますが、当店はお客様に必要なものを必要な時に届ける意識が極めて高いです。
私のメインは長崎県イサキのグリル。第一印象は「デカい!」です。一般的なレストランの魚料理の2~2.5倍のポーション。容積だとタバコ2~3箱はあります。
フレッシュなオリーブオイルで爽やかに焼かれ、セミドライトマトで旨味を付与しレモンソルトで味を調え、ケッパーとバジルとブラックオリーブで複雑味を加えています。普通界の頂点。シンプル・イズ・ベストを具現化したような調理。大満足。
食後はラウンジへと席を移し、デザートビュッフェのゴングが鳴ります。
12時から時計回りに、ピーカンナッツのパイ、クレームブリュレ(?)、メレンゲ、フランボワーズのムースにチーズケーキ、ブラウニーです。アメリカ料理屋であるためいずれも繊細さには欠けていますが、直線的な味わいで素直に美味しかった。ピーカンナッツのパイがナッツてんこ盛りで印象的。
毒々しいチョコレートまみれのクッキーやカラフルなフルーツパンチなど、魅力的な品々は数多あったのですが、既に内臓は臨界状態に達してしまいました。
香ばしいコーヒーで〆てごちそうさまでした。
世間の評判に違わず素晴らしいレストランでした。食べ放題って、高級ホテルであったとしても食べ放題味に陥ることが殆どですが、当店の食事はその中でもレベルが高く、選択肢も豊富なほうだと思います。
サービスも申し分なし。若くて快活な青年たちがスマートに接客してくれます。慇懃無礼でないところが心地よい。完全にストレスフリーな食事でした。食べログの情報によると席数は138。これだけの客を手懐けるサービスを統率するのは至難の業。席料やサービス料、お通し代などを価格調整の手段としか捉えていない飲食店が多い中、当店は納得のサービス料15%です。
ランチで6,000円強は一見高く感じますが、都内を一望できる開放的な空間、豊かな客層、完璧なサービス、外さない料理たち、腹十二分目。これらの価値をよどみなく提供してくれるので、非常にリーズナブルと言えます。また来たい。でもやっぱ今度はディナーでステーキ食べようっと。
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