お師匠様が私と赤坂のヴァッカロッサで食事の後、おひとりで当店に行かれた際、馴染みのマスターに『今夜は男の子と食事してきたよ。若いのにすっごくレストランに詳しくってさ』と話したら『それってもしかしてタケマシュランですか?』と回答をしたという逸話の舞台です。
今夜はラ・ファソン古賀での食事の後、「本人連れて行くと面白そうじゃん」ということでご一緒させて頂くことに。マスターをガッカリさせてしまわないかと、何故か私が緊張してしまう。
何とも魅力的な空間設計です。ちょっと屈んで秘密基地に入り込む感覚。広がる丸みのある空間。優しい家具とセンスの良い小物の配置。温かいBGM。虚勢を誇示したようなエロいバーとは一線を画し、当店の居心地はどこまでも柔らかく奥ゆかしいです。ここに住みたい。ある意味では健康的で、女の子を下心なくお連れするのも素敵でしょう。
まずはフレッシュフルーツが揃っていたので、マンゴーのカクテルをお願いしました。香りを取ると南の島の香りが弾ける。今年は真夏に東京サマーランドに行きたいな、などと場違いな計画が頭に浮かぶ。味わいはマンゴーよりもマンゴー味。素材を凝縮して開花させたような味わいで美味しかったです。
皆はスイカのカクテル、トマトのカクテルを注文。平均年齢四十数歳のオッサン飲みにそぐわない女子力である。
チャームにもフルーツ。レモンピールの適度な苦味の爽快感が気持ちよい。
続いてメロンのカクテルを。繰り返しにはなりますが、メロンよりもメロンです。舌の上でとろりと広がる濃厚な高級感。酒であることを忘れてしまうほど完熟した味わいです。
マール。普段、蒸留酒は飲まないのですが、マールは特別扱いです。マールはやはりマールですね。香りの豊かさが爆発する。
写真はありませんが、モスコミュールが少年のような清涼感があって印象的。夏のラムネを連想させる健康的な味わいです。
私が帰らなければならない時間になったので、お師匠様より「マスター、紹介するよ。彼が例のタケマシュラン」。
ところで『タケマシュラン』というのはあまり深く考えずノリで名付けた『ブログのタイトル』であり、決して私の名前およびあだ名ではありません。しかしながら最近は色々な方が私のことをタケマシュランと呼ぶようになり、そのたびに漠然とした気恥ずかしさがこみ上げるのです。よくよく考えると村上春樹に対して『ノルウェイの森さん』と呼びつけるぐらい変な行為なんだけどなあ。
そもそも、『タケマシュラン』とは文字で読むことを前提とした造語であり、発声を見込んでいなかったことに私の詰めの甘さがありました。ああ、なんて間抜けな響き!『タケマシュラン』という音階を耳にする度に、後悔の念が私の心に渦巻くのです。
「初めまして!いつも読んでます!なんだ、もっと性格悪そうな方を想像してました!」
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。