北米西海岸 vol.1~ホンクーバー~

「不夜城」でスターダムにのし上がった馳星周。彼の代表作に「ダーク・ムーン」というものがあります。中国系マフィアの抗争劇で、読後感は最悪ながらも爽快という魅力的な本なのですが、その舞台が北米最大の中華街を抱えるバンクーバーなんですね。

この本を読んでから一度はバンクーバーを訪れてみたいと長い間想いを募らせてきたのですが、古くからの友人がバンクーバーに移住したのを大海の木片と捉え、すぐさま私も彼の地へ向かいます。
「空港まで迎えに行くよ」と連絡を受けており、税関を抜けてすぐに再開をハグで祝おうと準備運動していたのに、彼の姿はどこにも見当たりません。慌ててメッセージを送ると「むかっています!」と、安定のクオリティ。
夕食まで少し時間があったので、Metropolis at Metrotownという超巨大ショッピングモールへお連れ頂き、カナダ発ブランドのお店をいくつかご紹介頂きました。化粧品のMAC。あれ、カナダのものだったんですね。
それにしてもアジア人が多い。「ホンクーバーって揶揄されているからね」、と友人。ヘタすると香港よりもアジア人が多いかもしれません。右も左も中華系。飛び交う中国語。T&Tという中華系のスーパーに足を踏み入れると、自分がどこに何をしに来たのか不安になってしまいます。ちなみに写真は鶏の足。こちらの中華系の人々の好物らしく、永遠にムシャムシャ食べ続けておしゃべりするのが最高の娯楽とのこと。
魚を買うのに謎の大行列。言っておくがこれは平日昼間の出来事である。ただし、こちらの中華系の人々は銀座で幅を利かせている方々とは雰囲気が大きく異なり、話し方や物腰が極めて穏やかとのこと。「むしろこっち生まれの中華系は、本土の中国人を嫌ってたりするんだよね」。
「もっと中国な所がある」と連れられたのはお隣のThe Crystal Mall。こちらはもはや英語よりも中国語のほうが支配的です。独特の漢方の香りが漂い、北米にいることをうっかり忘れてしまう。
「カナダは規制社会。酒はスーパーとかコンビニで売ってなくて、官が運営する酒屋でしか買えないんだよ。だから酒屋の店員は公務員」。当然にuberは許されておらず、タクシーマフィアたちが業界を牛耳っているそうな。
奥様お嬢様と合流し、予約を入れておいてくれたDINESTYという中華料理屋へ。詳細は別記事に記しますが、「ここは酒を提供する免許がおりてなくて、アルコールは置いていない」と、規制の壁。街中の飲食店の看板にやたらと「Fully Licensed」と記載されているのですが、なるほど、酒の提供が許されているというだけで店としては立派な競争力なのですね。
宿泊代がわりに日本酒をお持ちしました。「カナダだと小瓶(300ml)で40ドルとかザラだから有り難い!」
夕食時に飲めなかったので、宅飲み開始。カナダはクラフトビールづくりが盛んで多様な麦酒が2ドルほどで買えるとのこと。
乳児の頃から知っているお嬢さんはすっかりバイリンガルに。友人がKUMONを元に勉強を教える姿が微笑ましい。「だから、ファーマーがレイジーだからダックがワークすることになったんでしょ?」ルー大柴かお前は。
奥様は「周りが中国人だらけだから、英語よりも中国語を勉強しないと」とWeChat(中国のLINEみたいなアプリ)を操作する。

中国語と英語が自然に飛び交う正真正銘の人種のるつぼ。これまで色々な国を訪れましたが、ここまで人種が雑多な空気は珍しい。興奮のあまり時差ボケなど意に介さず夜中まで話し込む。


「北米西海岸」シリーズ目次


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